Broken Flower

なめめ

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突然の…

突然の...... 12-6

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「私は別れたつもりはないわ。言ったじゃない葵君とあなたは不釣り合いだって。それに葵君と付き合ったらあなただって江藤君たちの標的になるかもしれないのよ?私は亨を救ってあげたの。だからあんな子は止めて、大人しく私とつき·····」

「そんなこと頼んでない。ふざけんなっ」

葵を全否定してくる西田の言葉が憎い。
江藤に標的にされるかもしれないから何だ。
何が俺の為だ。
お前が興味あるのは顔がいいだけの俺であって俺自身じゃない。

そう思った途端に口ではなく手が出ていた。
右手で平手打ちをして、叩かれた抵抗で右下に俯いた西田は目じりを釣り上げて涙を含ませながら睨んできたが、微塵も怖くなどない。

「なにするのよっ!女に手あげるなんて最低!」
「どっちが最低だよ。何が俺のためだ?生徒に色目遣うやつが一丁前に大人ぶってんじゃねーよ。ろくに葵のこと助けもしねー奴が何が俺を救ってやっただ?」

理性など忘れ、怒鳴り散らかすと白衣の襟口を掴み拳を上げる。
途端に保健室の扉が勢いよく開かれると生徒指導の教員が入ってきては
亨を羽交い絞めにし、西田のことを援護していた。

ぞくぞくと入ってくる、亨の怒声を耳にし、騒ぎを聞きつけたであろう授業をしていた教員たちが西田を守るように匿う中、手足をバタつかせ暴れながらも教員によって保健室から追い出される亨の視界には涙が滲む。

いじめてる奴が怖いからいじめられてる奴とは関わらないなんて
そんなんで自分の人間関係を決めて何が楽しい?
その人の本質すら見抜けない奴はただの幼稚な人間だ。

葵はもっと芯が強くてそれでも屈せず生きている。
面倒ごとに巻き込まれたくないからと逃げて見て見ぬふり
大人達よりずっと強い。

そんな葵が好きなのになんで|西田に邪魔されなきゃいけない?
強く戦っている葵の心の支えに、全力で守りたいと思ってるのになんで·····。
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