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一歩ずつ
一歩ずつ②
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葵が後ろを振り返ると、先ほどくったりとしていた髪の毛がドライヤーで乾かされ、ふわっと無造作な髪型になった亨が立っていた。
警察のように命令したわけでないが、両手を頭で掲げて頬を赤らめては、目を伏せている。「ごめん……」と呟いたことから、一連の出来事を反省しているように思えた。
「あの、やり直すとは言いましたけど。いきなりそういうことをするのは……順序があると思うんですけど。それに、貴方と向き合うとは言いましたけどまだ付き合うとは言ってません」
葵は腰に両手を当てて優しく叱咤すると、亨は悪さをした飼い犬のように眉を下げて肩を竦めてた。あまり調子に乗らせて、彼のペースに流されてはいけない。過去に好きだった人とはいえ、なあなあで彼に好意を寄せることはしたくないからこそ、葵は葵なりのペースで彼のことを知っていきたかった。
「だよな……。ごめん、ちょっと浮かれちゃったというか……。俺ん家で料理してる葵見てたらたまらなくなったというか……」
亨は両手を下ろして、腹部の前で組み合わせると恥ずかしそうに呟く。
以前までは鬱陶しいく、気分を害していた亨からの好意。少しずつ亨の人となりを理解しようと彼の本気を受け止めることができたからか、自然と嫌悪感のようなものは抱かなくなっていた。むしろ、聞いている葵まで恥ずかしくなる。
「もう少しでできるので、テーブルで待っててください」
「……うん」
葵は伝染した照れを隠すように正面に向き直ると、亨に部屋で待っているように促した。おぼんに朝ごはん一式を乗せて、部屋に戻ると亨はシクラメンのあるラックに手を掛け屈んでは、覗くように蕾を眺めていた。
「あの塩谷さん、できました」
葵が部屋に入ってきても気が付かないほど夢中で眺めていたのか、声を掛けて漸く振り向いてくると、「うん、有難う」と亨は返事をするなりそそくさとテーブル前に正座する。
テーブルに朝食を並べると頬を緩めて嬉しそうに「わぁ、美味そう」と呟く亨が少しだけ愛らしくみえた。
警察のように命令したわけでないが、両手を頭で掲げて頬を赤らめては、目を伏せている。「ごめん……」と呟いたことから、一連の出来事を反省しているように思えた。
「あの、やり直すとは言いましたけど。いきなりそういうことをするのは……順序があると思うんですけど。それに、貴方と向き合うとは言いましたけどまだ付き合うとは言ってません」
葵は腰に両手を当てて優しく叱咤すると、亨は悪さをした飼い犬のように眉を下げて肩を竦めてた。あまり調子に乗らせて、彼のペースに流されてはいけない。過去に好きだった人とはいえ、なあなあで彼に好意を寄せることはしたくないからこそ、葵は葵なりのペースで彼のことを知っていきたかった。
「だよな……。ごめん、ちょっと浮かれちゃったというか……。俺ん家で料理してる葵見てたらたまらなくなったというか……」
亨は両手を下ろして、腹部の前で組み合わせると恥ずかしそうに呟く。
以前までは鬱陶しいく、気分を害していた亨からの好意。少しずつ亨の人となりを理解しようと彼の本気を受け止めることができたからか、自然と嫌悪感のようなものは抱かなくなっていた。むしろ、聞いている葵まで恥ずかしくなる。
「もう少しでできるので、テーブルで待っててください」
「……うん」
葵は伝染した照れを隠すように正面に向き直ると、亨に部屋で待っているように促した。おぼんに朝ごはん一式を乗せて、部屋に戻ると亨はシクラメンのあるラックに手を掛け屈んでは、覗くように蕾を眺めていた。
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