Broken Flower

なめめ

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一歩ずつ

一歩ずつ③

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上機嫌なのが分かるほどにニコニコと葵の作った朝食に手をつけて、ヒマワリを頬袋に溜めたハムスターのようにほっぺいっぱいにご飯を頬張る。

時折噎せては、味噌汁をかきこんでいたので「ご飯は逃げないので落ち着いて下さい」と注意してやると亨は顔を真っ赤にさせていた。そんな朝を亨と過ごしたのが二週間ほど前の話だった。

今までは控えめ出会った亨の好意が、あの日を境に包み隠さなくなった。百合にも気づかれるのでは無いかと思うほど、ずっと憧憬の目で見つめてくる。




そして今に至っては、壁際の詰め寄りアプローチだ。亨が単なる軽薄な気持ちで自分のことを想っているわけではないのは充分に伝わってくる。だが、葵もどう答えていいのか戸惑う一方だった。

「葵ちゃんコンテスト明日からよね?」

亨の壁際攻めに困惑していると事務所から顔を出してきた百合がお店に出てきては問うてきた。葵と二人きりだと積極的にら、物理的な距離を詰めてきていた亨も流石に百合の前だと自重するのか、スッと離れていったことに安堵する。

「うん、個人と学校のグループで出したのが、東の方の公園に飾られるって」

「今回は優勝出来るといいわね、でもあまり気張るんじゃないのよ?葵ちゃんのお花、母さん大好きだから」

「うん、ありがとう」

秋に開催されるフラワーコンテスト。全道の学生が挙っと応募している、春先と秋口の年に二回ほどある祭典。コンテストの結果は来場者とガーデン協会の審査員によって決まる。

もちろん優勝を目標に切磋琢磨しているが、
何より一般の人にも気軽に花を楽しんでもらえる機会に胸が躍る思いでいた。
それに他の生徒の作品は見ていて刺激をもらえる。

「俺、ここで働くまでそんなのがあるなんて知らなかったです」

隣で葵と百合の話を聞いていた亨が割って入ってきた。

「そうよね。葵ちゃんの作品凄いのよ?去年だって、優秀賞取ってたんだから」

百合は自慢げにあれよ、と作業台の後ろに飾ってあった賞状を指す。自分の功績を誉められるのは素直に嬉しいが、こうまで実母に持ち上げられるのは恥ずかしさがあった。


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