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亨の痛み
亨の痛み⑤
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園内を一周した後、近くの広い公園で休憩することにした。芝生の上に敷物を引き、百合に無理やり軽食だと持たされたサンドイッチを鞄から取り出して亨と食べる。
大きめの青竹の細ひごのお弁当箱が三箱。
そのうちふたつはハムやチーズ。レタスや卵、ツナなど様々な百合お手製のサンドイッチが入った主食用。
もうひとつはフルーツとホイップクリームで挟んだデザート用だろう。
断面が花の形になるように作られているデザートサンドは百合らしかった。
しかし、軽食とはと疑問を浮かべるほどの弁当箱の数に正直食べ切れるか不安ではあったが、亨は「余裕だよ。百合さんのサンドイッチ、凄い美味しそう」と口を綻ばせて受け取っていたので安堵した。
今度は自分の手作り弁当で亨とピクニックできたら亨は喜んでくれるだろうか……。なんて考えては約束もしていない予定に胸がワクワクする。
亨にお手抜きを渡したところで肝心の飲み物がないことに気づいた葵は案内所前の自動販売機でお茶を買ってくることにした。
「俺が買って来るよ」と立ち上がった亨を説得して彼を残して自販機へと向かう。じゃないと今日は付き合ってもらっている側なのに亨が飲み物代を出すと言いかねそうで、してもらってばかりの彼には日頃の感謝も込めてささやかではあるが御礼がしたかった。
ペットボトルのお茶を二本手にして亨の元へと戻ると、亨ともうふたり男女が敷物の近くに立ち止まって彼と話をしているようだった。
ゆっくりと近づくと何やら親し気に亨が男相手に受け答えしている姿が見えた。少しだけ焦燥感に見舞われながらも足早に亨の真横に立って「塩谷さん、お待たせしました」と声を掛けると亨の視線が葵に移り「おかえり、葵」と声を掛けられると後ろ二人の視線も此方を向いた。
ひとりは少し髪の色が明るめの短髪の青年。もう一人は黒髪の趣ある女性。
年齢は近そうだし亨の友人だろうか。
「なんだ。連れって彼女じゃなかったか。野郎二人でピクニックだなんて塩谷も悲しい男になったな」
「別にいいだろ。大きなお世話だ星野」
「だってさ、高校の時はあの恋愛マスターだった塩谷が大学入ってから彼女いないの不思議じゃん。まあ西田と別れたときはクラスの奴らにハブられたりして酷かったけどさ……。お前あれ以来恋愛にトラウマになったんじゃないかって俺なりに心配してるわけよ。聞いたぞ、同じサークルの子から告られたけど振ったんだろ?」
「そうなの?」と女性が星野という男に向かって問う。
テンポよく交わされる会話。話しの内容から亨の高校からの同級生なのだろうことは分かったが、自分がこれを聞いていい話なのか内心で戸惑っていた。
現に亨は、ちらちらと此方を気にしながらもバツが悪そうに苦笑を浮かべて深い溜息を吐く。
「はぁ……。その噂どっから聞いたんだよ」
「俺の情報網なめんなよ」
「いいから佐和田とどっかいけよ」
手の甲を男に向けて邪険に追い払っている亨。星野は含み笑みを浮かべながら
隣の女性に「さえぴぃー行こうか」とデレデレの甘い声を出してその場を去って行った。嵐の後の静けさのように得も言えぬ気まずい空気が亨との間に流れる。
大きめの青竹の細ひごのお弁当箱が三箱。
そのうちふたつはハムやチーズ。レタスや卵、ツナなど様々な百合お手製のサンドイッチが入った主食用。
もうひとつはフルーツとホイップクリームで挟んだデザート用だろう。
断面が花の形になるように作られているデザートサンドは百合らしかった。
しかし、軽食とはと疑問を浮かべるほどの弁当箱の数に正直食べ切れるか不安ではあったが、亨は「余裕だよ。百合さんのサンドイッチ、凄い美味しそう」と口を綻ばせて受け取っていたので安堵した。
今度は自分の手作り弁当で亨とピクニックできたら亨は喜んでくれるだろうか……。なんて考えては約束もしていない予定に胸がワクワクする。
亨にお手抜きを渡したところで肝心の飲み物がないことに気づいた葵は案内所前の自動販売機でお茶を買ってくることにした。
「俺が買って来るよ」と立ち上がった亨を説得して彼を残して自販機へと向かう。じゃないと今日は付き合ってもらっている側なのに亨が飲み物代を出すと言いかねそうで、してもらってばかりの彼には日頃の感謝も込めてささやかではあるが御礼がしたかった。
ペットボトルのお茶を二本手にして亨の元へと戻ると、亨ともうふたり男女が敷物の近くに立ち止まって彼と話をしているようだった。
ゆっくりと近づくと何やら親し気に亨が男相手に受け答えしている姿が見えた。少しだけ焦燥感に見舞われながらも足早に亨の真横に立って「塩谷さん、お待たせしました」と声を掛けると亨の視線が葵に移り「おかえり、葵」と声を掛けられると後ろ二人の視線も此方を向いた。
ひとりは少し髪の色が明るめの短髪の青年。もう一人は黒髪の趣ある女性。
年齢は近そうだし亨の友人だろうか。
「なんだ。連れって彼女じゃなかったか。野郎二人でピクニックだなんて塩谷も悲しい男になったな」
「別にいいだろ。大きなお世話だ星野」
「だってさ、高校の時はあの恋愛マスターだった塩谷が大学入ってから彼女いないの不思議じゃん。まあ西田と別れたときはクラスの奴らにハブられたりして酷かったけどさ……。お前あれ以来恋愛にトラウマになったんじゃないかって俺なりに心配してるわけよ。聞いたぞ、同じサークルの子から告られたけど振ったんだろ?」
「そうなの?」と女性が星野という男に向かって問う。
テンポよく交わされる会話。話しの内容から亨の高校からの同級生なのだろうことは分かったが、自分がこれを聞いていい話なのか内心で戸惑っていた。
現に亨は、ちらちらと此方を気にしながらもバツが悪そうに苦笑を浮かべて深い溜息を吐く。
「はぁ……。その噂どっから聞いたんだよ」
「俺の情報網なめんなよ」
「いいから佐和田とどっかいけよ」
手の甲を男に向けて邪険に追い払っている亨。星野は含み笑みを浮かべながら
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