Broken Flower

なめめ

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open your flower

open your flower①

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亨との恋が実って五度目の春が来た。
春は心を前向きにさせる。

「あの、付き合っている女性に花束を渡したいなって。俺、その時にプロポーズしようと思ってて指輪あるんですけど、花の中に仕込んで欲しいと言いますか·····。此処の店員さん素敵な花を組んでくれるって評判だったので……」

「葵、お客さん」

週末の午前中、比較的若めの男性が少しおどおどしながらもお店に足を踏み入れてきた。紺色のカジュアルなジャケットにスラックス。整髪料で固められた髪の毛。よそ行きの格好をしていることからこれから恋人とレストランで食事でもあるのだろうと伺える。

男性が店に来ること自体珍しいので、この男性もきっと初めてなのだろう。
入口で作業していた亨に呼ばれて、出てきては男性に一礼をする。

学校を卒業し、フラワーデザイナーの資格を取得した葵はリピーターがいるほど巷では功績を残していた。その人伝の噂が呼びつけたのか、彼女のプレゼントやお店の装飾用に·····と依頼されることが多くなった。

依頼に来た男性の恋人の好きな色や、花、特徴を聴きながら正方形の箱に薔薇の花を敷き詰め、その中心部分に指輪の箱を忍ばせる。

数時間後、再び来店してきた男性は出来上がりを確認した後に満面の笑顔で退店していった。

「上手くいくといいね」
「ですね」

男性を見送った後、背後から亨に話しかけられて振り返る。髪の毛を流して清潔感のある水色のワイシャツに紺色のエプロン。学生特有のあどけなさがあった彼はもう、大学を卒業し、すっかり社会人となった。

今は花屋と農家さんを繋ぐ仲卸業者を営む会社に就いていて、土日はこうして店を手伝ってくれている。

歳を重ねる度に色気が増す亨にドキッとしながらも静かに微笑む。

「葵があんな素敵な花束作れるなら、俺のときどうしよう。越えられる気がしないんだけど」

顳かみを掻きながら、困り果てた顔をする。

「それは·····。気持ちが一番大事なので亨くんが組んでくれたものなら何でも嬉しいです·····。それより、俺のときって·····」

これまでに誕生日や何かお祝いごとがあると亨は葵に内緒で花束を作ってくれることがあった。資格を持っている身からしたら、有名デザイナーさんのようにセンスが逸脱とは言い難いが亨らしさのある花束は嬉しかった。

だから僕より感動的なものを作ろうとしなくても亨から好きな花を貰えるだけで充分、葵の心を燻らせる。

「やっぱりあげるからには、俺が納得するものだしたいしさ。葵なら尚更。それにずっと言ってるじゃん。今は手伝うことしか出来ないけど俺がもっと勉強して、本格的にフラワー大藪に就けるようになったら結婚しようって」

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