13 / 140
知り合い以上友達未満
知り合い以上恋人未満⑥
しおりを挟む
「わぁー!こんなとこにいたんだあー」
椿は優作を脅かすように両肩に手を置くと、上半身ごと彼の背中にのしかかってきた。
彼女の重みで前のめりになった優作は眉間に皺を寄せ心底嫌そう。
椿を羨んでいる男共からすると、彼女の胸は確実に背中に当たっているし、どんなに夢のような光景だろうかと思う。
「うざっ·····」
「うざってひどいぃー」
椿を毛嫌いしている優作は案の定、塩対応ではあるが彼女はそれすらも楽しんでいるように笑顔を絶やさない。
可愛さアピールからか、彼女は拗ねたように頬を膨らませ、優作に伸し掛かるのを止めると、彼の隣の椅子に背もたれを脇にして座った。
千晃になんか目もくれず、可愛いらしく振舞って優作にアピールしているのが丸分かり。
「ねえ、優作君。今日こそ連絡先交換しようよ?」
椿は優作の顔を見つめながら赤い頭巾を被った兎のキャラクターのケースのスマホを右手で握って、優作の膝に空いてる方の手を置く。
当の本人はまるで椿を空気扱いしているのかと思うほど、見向きも返事もしない。
むしろ顔はより一層険しくなっている。
パシンっ。
「きゃっ」
優作から手が弾かれる音がした。どうやら我慢の限界だったのか、椿の手を払い落としたらしい。椿はそれに驚いたのか、優作に触れていた手を自分の元へと引っ込め目を丸くする。
「膝、やめてくんない?不愉快」
「ごめん」
椿は手の甲を右手で擦りながら落ち込んだように椅子を座り直す。優作の行動は何人の男を敵に回してるんだと言いたくなるほどヒヤヒヤする。その証拠に、周りを見ると先程から椿がいるからこちらへと注目をしていた男たちがざわつき始め、中には怒って飛出しそうになるのを友人に止められているものまでいた。
「いたぁーい。吉岡くん撫でて?」
ふと自分の手の甲を撫でている椿と目が合うと、何か思いついたかのような表情をしては甘い顔をして強請ってきた。
目の前に差し出される細い椿の手。
これだ。彼女の男をその気にさせる行動。
2年前の俺だったらこの自分を頼ってくる顔に負けて言われるがままにしていただろう·····。
「ごめん。優も悪気はないから多分」
しかし、今は振られた女の手を撫でるなんてことは何となくしたくなくて、やんわりと断る。
まぁー優作本人は悪気はありありだと思うけど·····。
「ふーん。そうだ。吉岡君に教えてもらえばいいんじゃん。ねえ、優作君のアド教えて?
いつも一緒だから知ってるでしょ?」
そんな千晃の気遣いも虚しく、自分に向けられても直ぐに優作の話に切り替わる。
それにしても、嫌われているとあからさまな態度をとられてもなお、優作に執着する椿のメンタルの強さには感心する。
椿は優作を脅かすように両肩に手を置くと、上半身ごと彼の背中にのしかかってきた。
彼女の重みで前のめりになった優作は眉間に皺を寄せ心底嫌そう。
椿を羨んでいる男共からすると、彼女の胸は確実に背中に当たっているし、どんなに夢のような光景だろうかと思う。
「うざっ·····」
「うざってひどいぃー」
椿を毛嫌いしている優作は案の定、塩対応ではあるが彼女はそれすらも楽しんでいるように笑顔を絶やさない。
可愛さアピールからか、彼女は拗ねたように頬を膨らませ、優作に伸し掛かるのを止めると、彼の隣の椅子に背もたれを脇にして座った。
千晃になんか目もくれず、可愛いらしく振舞って優作にアピールしているのが丸分かり。
「ねえ、優作君。今日こそ連絡先交換しようよ?」
椿は優作の顔を見つめながら赤い頭巾を被った兎のキャラクターのケースのスマホを右手で握って、優作の膝に空いてる方の手を置く。
当の本人はまるで椿を空気扱いしているのかと思うほど、見向きも返事もしない。
むしろ顔はより一層険しくなっている。
パシンっ。
「きゃっ」
優作から手が弾かれる音がした。どうやら我慢の限界だったのか、椿の手を払い落としたらしい。椿はそれに驚いたのか、優作に触れていた手を自分の元へと引っ込め目を丸くする。
「膝、やめてくんない?不愉快」
「ごめん」
椿は手の甲を右手で擦りながら落ち込んだように椅子を座り直す。優作の行動は何人の男を敵に回してるんだと言いたくなるほどヒヤヒヤする。その証拠に、周りを見ると先程から椿がいるからこちらへと注目をしていた男たちがざわつき始め、中には怒って飛出しそうになるのを友人に止められているものまでいた。
「いたぁーい。吉岡くん撫でて?」
ふと自分の手の甲を撫でている椿と目が合うと、何か思いついたかのような表情をしては甘い顔をして強請ってきた。
目の前に差し出される細い椿の手。
これだ。彼女の男をその気にさせる行動。
2年前の俺だったらこの自分を頼ってくる顔に負けて言われるがままにしていただろう·····。
「ごめん。優も悪気はないから多分」
しかし、今は振られた女の手を撫でるなんてことは何となくしたくなくて、やんわりと断る。
まぁー優作本人は悪気はありありだと思うけど·····。
「ふーん。そうだ。吉岡君に教えてもらえばいいんじゃん。ねえ、優作君のアド教えて?
いつも一緒だから知ってるでしょ?」
そんな千晃の気遣いも虚しく、自分に向けられても直ぐに優作の話に切り替わる。
それにしても、嫌われているとあからさまな態度をとられてもなお、優作に執着する椿のメンタルの強さには感心する。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
20
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる