交わらない心

なめめ

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交わる心

交わる心⑬

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「いつから?優はいつから、俺のことそう思うようになった?」

吉岡が顔を上げてこちらを見てきて、椅子をガタッと音をさせてながら座席から立ち上がる。

静かな教室中に広がる音によって、吉岡が自分に対してやはり怒っているような気がした。

「水澤の事から吉岡を意識するようになってから·····」

水澤に触れられた時、吉岡に抱きしめられたいと思った。吉岡以外には触れてほしくないと思った。

「俺さ、優に初めてキスされた時。すげぇ傷ついたんだよね。好きな人なのに冷たくて。俺の事好きじゃないんだなーって分かった」

「ごめん」

今の俺では考えられない行動。
振られたことの哀しみと怒りからした当て付けのキスを吉岡にした。あの時に戻れるのなら、やり直したいくらい後悔している。

吉岡の気持ちを分かっていたとしてもしちゃいけないことだった。それだけならまだしも、想ってもいないのに吉岡に乗り換えようとしていた。

「だから友達だと割り切ろうとしたんだけど。最近、おかしいと思ってはいたよ。
妙に距離が近くなるし、普段待ってないくせに一緒に帰ろうとするし、まさか·····とかもしかして·····なんて期待したくなったけど、
期待したら期待した分だけまた傷つくのは怖いから普段の優の冗談だって受け止めるしかなくて、わざと遠ざけて·····それでも一緒にいたいから優の重荷にならないように装ってたのに·····」

自分が苦しいなんてばかり思っていたけど、
吉岡にはそれ以上に苦しい思いをさせていた。散々心揺さぶられて仕舞いには振られた男からの告白。

もし自分だったら耐えられない。
冗談だと疑われてもおかしくはないことを今までしてきた。

吉岡はゆっくりこちらへと向かってくる。別に逃げなくてもいい筈なのに吉岡の圧に負けて後ずさる。責められてるようで言葉がでない。


何回謝ったって許してくれなんて思ってないし、散々吉岡の気持ちを振り回しておいて吉岡がすんなり自分を受け入れてくれるなんて虫が良すぎる。それなら一層のこと俺を殴ってくれて構わなかった·····。
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