追放された魔法使いは孤高特化型魔法使い(ぼっち)として秘密のダンジョンと大食いに挑む

チョーカ-

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第2章

第106話 堕天使と魔導書の脅威

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 堕天使は魔剣を振る。

 剣の間合いを越えて斬撃を放つ。 

(しかし、魔力を感じられない。理屈を考えるのも馬鹿らしい)

 剣の振りから、斬撃を予測する。 ユウトは回避は容易いと気づく。

(堕天使の剣技は武のそれではない。 人間の見よう見まねに過ぎない)

 そして回避と同時にカウンターの一撃————  
『炎剣《イグニスグラディウス》』

 炎の魔剣が堕天使へ直撃した。 

「やったか?」とユウトは声を漏らす。

 しかし、堕天使は動き続けて、剣を振る腕を止めない。

「――――ッ! 魔法の効果が薄い。おそらく全身が膨大な魔力そのもの」

 続けて、暴れるように剣を振り回す堕天使。 まさに目前————ユウトの目の前を魔剣が通り抜ける。
 
 僅かに遅れた無魔力の斬撃が巻き起こり、襲い掛かってくる。

(タイミングは取り難い……だが、簡単に避ける)

 再び、回避したユウトは炎の魔法を浴びせた。 

 やはり、ダメージは少ない――――けれども、堕天使は無傷とはいかない。

(このまま持久戦に持ち込めれば勝てる) 

 ユウトは体力に自信があった。 事実、重装備の防具で動き回る彼には無尽蔵のスタミナを有している。

 2発、3発……ユウトの魔法が一方的に堕天使に叩き込まれていく。 そのたびに堕天使の動きは鈍くなっていった。

 ――――そのはずだった。

(……? 妙だな。攻撃の速度は減少している。 それは間違いないはずだが、逆に鋭さが増している?)

 その違和感の正体にユウトは気づいた。

 出鱈目に――――少なくとも武の心得がある者にとって、技術とは言えない剣の振り。 そのはずだった堕天使の技に――――そう技に昇華されている。

(まるで剣を覚えたばかりの太刀筋。しかし、明らかに洗礼されている?)

 それはあり得ない事だった。 剣を初めて持って武器をして使用しているであろう堕天使。

 それが、僅かな攻防で剣の基礎のような動きを見せ始めている。

(実戦の中で武を見出している? この短時間で?)

 それこそ、あり得ないことであろう。 剣術とは、人間が戦うための技。

『様々な実戦を得て、どう効率的に相手を殺すか?』 

 人類が数千年という膨大な年月をかけて成熟させていった技術————もはや、剣術は兵器であると言っても良いはずだ。

(人類が数千年の年月が必要だった技術を、たった数合と言える戦いで生み出している)

 それは恐怖であった。しかし、同時に納得もあった。

 魔導書……7人が行う命を賭けた儀式。 

 それにより、膨大な魔力を注入され続けた魔導書がどうなるのか? 
 
 答えが、目前で剣を振るう堕天使なのだ。

「なるほど、もしもこれが『料理』なら、数日で人類を越えるのだな……お前は?」

 それが『料理』ならいい。 しかし、それが『毒』ならば?

 きっと、僅か数日で人間を全滅に追い込む事ができるのだろう。

 それが『毒』なら、まだいい―――― もしも、それが『魔法』だったら?

 それが、魔導書の力であり、堕天使の真の力なのだろう。

「短時間で人類を学習して滅ぼすことが可能な兵器なのだな……ならば、ここでお前を倒し切る!」

 ユウトの言葉。その言葉とは裏腹に、堕天使の剣技は達人のソレに迫っていた。

 だが、その剣はユウトには届かない。

『炎壁《イグニスムルス》』

 彼の防御魔法が斬撃を弾いた。 

 堕天使が持つ2つの剣は魔剣。魔法に対して、どのような効果があるのは不明だった。

「――――けど、俺の魔法を切り払うような真似をしてこなかった。お前の魔剣は魔法には干渉できなのだろ?」

 その魔剣は魔法の防御壁に特殊な効果はない。 それを見破り――――『風斬《ウェントゥス》』

 今度は斬撃の魔法をユウトは放った。 直撃を受けた堕天使は、肩口から反対の腰に斬撃を――――剣で言えば袈裟斬りの一撃を受けた。

「このまま接近戦で決着を――――」

 この時、ユウトは切り札を切るつもりだった。 

 直撃爆破《リーネア・レクタ・イグナイテッド》 彼の手甲に仕掛けた魔石による爆破魔法。

 使用すれば、ユウト自身にも大きなダメージを受ける自爆技。 その分、通常の魔法攻撃と比較しても破格とも言える威力が与えれる。

 しかし――――

『炎壁《イグニスムルス》』 

 その魔法は、ユウトの物ではなかった。 むしろ、彼を阻むように炎の壁が堕天使を守っている。

「――――学習したのか? 俺の魔法を?」

 自ら発したはずの言葉にユウトは戦慄するしかなかった。    

 

    
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