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第1話 ダンジョン発生
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震度2
199×年7月───
日本は未曾有の大震災に見舞われた。
同時多発的に起きた地震は、僅か震度2。 しかし、その直後に地下からダンジョンが出現した。
ダンジョンの中から、神話や創作でしか存在しない怪物たち。
ゴブリンが、オークが、トロルが、ゴーレムが、ドラゴンが───
人間たちに攻撃を開始した。
自衛隊や警察。さらには諸外国───
盟国であるアメリカの参戦。 さらに韓国は米韓相互防衛条約を行使。
人類は、怪物たちをダンジョンに押し戻す事に成功した。
その後、各国から研究団を形成してダンジョンの調査を行った。
『魔法のように超常的な力』
『物理法則を無視した金属』
『人類を強制的に進化させる物質』
宝───危険を顧みずとも、手に入れたい宝がそこにはあった。
人々は、ゴールドラッシュの如く、武器を手にダンジョンに挑み始めた。
それから25年────
ダンジョンは娯楽になった。
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・・
地下迷宮《ダンジョン》には王が玉座に君臨していた。
『憐れなり、人類よ。最強の探索者を名乗っていたが───実に他愛無い』
人間の言葉。しかし、王は人間ではなかった。
頭には王冠。 老人の顔をしているが───
5メートルを越える巨体。 片手には、装飾が施された棍棒を手にしている。
魔族だ。 人間とは違う種族の怪物の王様。───つまり、魔王である。
『嘆きの魔王』
───そう言われる怪物だ。 神出鬼没の超レアモンスター
ドラゴンに匹敵する戦闘能力を持ち、出現する条件も期間も不明。
討伐成功すれば、間違いなく英雄の名誉を与えられる。例え、ここが攻略された旧ダンジョンであっても───
『弱者なり、人類よ! 武人を気取ろうが、この魔王の前には塵芥に等しい!』
魔王は、自身を鼓舞するように棍棒を突き上げた。
そして、彼の前には────
「いくぞ! ここで魔王を倒して、俺たちが英雄だ!」
10人ほど武装した人間たちがいる。
彼等は探索者。ダンジョンでモンスターを倒して、資源を採取する事を専門とする者たち───そう言われていたのは過去の事。
すでに、ここ旧ダンジョンでは、開拓が終わっている。
現在では、モンスターと戦う所をネットで配信する者───ダンジョン配信者が富と名誉を目的に戦っている。
このダンジョンは娯楽の場になったのだ。
そして、今日もダンジョンに挑み、死んでいく者たちが記録された。
「ば、馬鹿な。俺たちが全滅? こんなところで?」
意識があるのは1人だけ……
彼等は最強クラスの配信者たち。全員が、この旧ダンジョンの完全攻略を目指すために集まった精鋭たちだったはずだ。
まだ命はあるものの、それも風前の乏し火と言える状態。
しかも、魔王は玉座から座ったままで、最強の探索者を倒してみせたのだ。
それでも───
「うぉぉ! 立て! 立たなきゃ死ぬんだぞ! 動け、俺の体!」
配信者は戦い続けようと立ち上がろうとする。
『最後まで醜く足掻き続けるか。それに美しさを見出す者もいるが───余に取っては見苦しいぞ』
王の棍棒に火が灯る。 黒い火だった。
小さな火だが、巨大な魔力を極限にまで圧縮されている。
あの火だ。
あの火による一撃によって最強の配信者たちは瀕死状態に追いやられたのだ。
立ち上がろうとした男も、それを見て心が折れた。
死。 そして諦め……
『散れ……ん?』
王は棍棒を止めた。新しい人間の気配を感じ取ったからだ。
『ほう……新手か? 今度は楽しめるだろうな』
巨大な眼が、気配の方向を睨む。 出現した新手の探索者。その姿は───
「なっ! あんた、何者だ!? なんだ、そのふざけた姿は!?」
配信者が叫んだ。 それほどまでに、現れた男の姿は、とても……ふざけていた。
ジーンズに白シャツ、その上から薄手のアウターを羽織るだけの軽装。
それだけなら、良いだろう。
普段着に等しい姿で戦う探索者もいる。
だが───
(なんだ、あの黒い玉……頭や関節部分に付いてるが? 筋肉を強化するアイテムか?)
配信者は困惑した。 ダンジョンで見つかった物質《アイテム》には現在化学でも再現できない物もある。 しかし、それは明らかに別物。
(あれは見た事あるぞ。たしか……トラッキングとかモーションキャプチャーとか……)
間違ってもダンジョン探索に付ける物ではない。明らかに異形。
魔王ですら『うむ? 道化の類いか?』と困惑を口にしている。
困惑する探索者と魔王だったが───
「あぁ、先客がいたのか? ここで俺がアレを倒すのはマナー違反になるのか?」
その奇妙な男は、そんな事を言い出した。どこか活力に欠ける・・・・・・微妙にやる気のない男だ。
「え? あぁ…… た、助けてくれるのか?」
「うん、わかった。その代わり、今から見る事は内緒な? ……一応、確認しておくけど配信中じゃないよね?」
「あぁ! カメラは止めている。だから、助けて───」
『笑止! 突然現れて笑わせる。貴様に何ができる……消え失せい!』
魔王は棍棒に込めた魔力を、男に向けた。
だが――――『ぬっ!』と魔王は声を上げた。
目前にいた男が消えたからだ。次の瞬間───
「少しだけ熱いなぁ」
彼は棍棒に灯ってる火に触れ、そのまま握りつぶして見せたのだ。
『なっ! 貴様、何者だ!』
「俺? 俺は黒瀬大河と言う。別に覚えなくてもいいぞ」
男───黒瀬大河を名乗る男は、拳を握って───
そのまま、魔王を殴り飛ばした。
「え? えぇぇぇぇぇっぇぇぇ!?」と目撃者である探索者は声を上げた。
(な、何が起きたのか? 殴った……それだけに見えたが……そんな馬鹿な!)
魔王は座ったままの状態。壁に衝突して、めり込んでいる。
『こ……この魔王が……素手…で? い、命が……失われ……』
折れた棍棒。それに、ひび割れた王冠が床に落ちた。
遅れて魔王の肉体が消滅していく。
「い、一撃? 魔王を……? あんたは一体? 何者なんだ?」
しかし、大河は「あー」とめんどくさそうに答えた。
「えっと、これは企業秘密なので、今見たこと、これから話すことは、配信やSNSにアップすることは禁止します」
「ん? あっはい?」
「俺の名前は獅堂ライガ。 たけプロ所属の企業VTuberだ」
そう言って、黒瀬大河あらため獅堂ライガは帰って行った。
残された配信者は、
(黒瀬大河? 獅堂ライガ? いや、VTuber??? だって人間じゃないか?)
あまりにも意味不明。 配信者は、見た出来事を誰にも話さなかった。
そもそも、説明する事ができなかったからだ。
199×年7月───
日本は未曾有の大震災に見舞われた。
同時多発的に起きた地震は、僅か震度2。 しかし、その直後に地下からダンジョンが出現した。
ダンジョンの中から、神話や創作でしか存在しない怪物たち。
ゴブリンが、オークが、トロルが、ゴーレムが、ドラゴンが───
人間たちに攻撃を開始した。
自衛隊や警察。さらには諸外国───
盟国であるアメリカの参戦。 さらに韓国は米韓相互防衛条約を行使。
人類は、怪物たちをダンジョンに押し戻す事に成功した。
その後、各国から研究団を形成してダンジョンの調査を行った。
『魔法のように超常的な力』
『物理法則を無視した金属』
『人類を強制的に進化させる物質』
宝───危険を顧みずとも、手に入れたい宝がそこにはあった。
人々は、ゴールドラッシュの如く、武器を手にダンジョンに挑み始めた。
それから25年────
ダンジョンは娯楽になった。
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・・
地下迷宮《ダンジョン》には王が玉座に君臨していた。
『憐れなり、人類よ。最強の探索者を名乗っていたが───実に他愛無い』
人間の言葉。しかし、王は人間ではなかった。
頭には王冠。 老人の顔をしているが───
5メートルを越える巨体。 片手には、装飾が施された棍棒を手にしている。
魔族だ。 人間とは違う種族の怪物の王様。───つまり、魔王である。
『嘆きの魔王』
───そう言われる怪物だ。 神出鬼没の超レアモンスター
ドラゴンに匹敵する戦闘能力を持ち、出現する条件も期間も不明。
討伐成功すれば、間違いなく英雄の名誉を与えられる。例え、ここが攻略された旧ダンジョンであっても───
『弱者なり、人類よ! 武人を気取ろうが、この魔王の前には塵芥に等しい!』
魔王は、自身を鼓舞するように棍棒を突き上げた。
そして、彼の前には────
「いくぞ! ここで魔王を倒して、俺たちが英雄だ!」
10人ほど武装した人間たちがいる。
彼等は探索者。ダンジョンでモンスターを倒して、資源を採取する事を専門とする者たち───そう言われていたのは過去の事。
すでに、ここ旧ダンジョンでは、開拓が終わっている。
現在では、モンスターと戦う所をネットで配信する者───ダンジョン配信者が富と名誉を目的に戦っている。
このダンジョンは娯楽の場になったのだ。
そして、今日もダンジョンに挑み、死んでいく者たちが記録された。
「ば、馬鹿な。俺たちが全滅? こんなところで?」
意識があるのは1人だけ……
彼等は最強クラスの配信者たち。全員が、この旧ダンジョンの完全攻略を目指すために集まった精鋭たちだったはずだ。
まだ命はあるものの、それも風前の乏し火と言える状態。
しかも、魔王は玉座から座ったままで、最強の探索者を倒してみせたのだ。
それでも───
「うぉぉ! 立て! 立たなきゃ死ぬんだぞ! 動け、俺の体!」
配信者は戦い続けようと立ち上がろうとする。
『最後まで醜く足掻き続けるか。それに美しさを見出す者もいるが───余に取っては見苦しいぞ』
王の棍棒に火が灯る。 黒い火だった。
小さな火だが、巨大な魔力を極限にまで圧縮されている。
あの火だ。
あの火による一撃によって最強の配信者たちは瀕死状態に追いやられたのだ。
立ち上がろうとした男も、それを見て心が折れた。
死。 そして諦め……
『散れ……ん?』
王は棍棒を止めた。新しい人間の気配を感じ取ったからだ。
『ほう……新手か? 今度は楽しめるだろうな』
巨大な眼が、気配の方向を睨む。 出現した新手の探索者。その姿は───
「なっ! あんた、何者だ!? なんだ、そのふざけた姿は!?」
配信者が叫んだ。 それほどまでに、現れた男の姿は、とても……ふざけていた。
ジーンズに白シャツ、その上から薄手のアウターを羽織るだけの軽装。
それだけなら、良いだろう。
普段着に等しい姿で戦う探索者もいる。
だが───
(なんだ、あの黒い玉……頭や関節部分に付いてるが? 筋肉を強化するアイテムか?)
配信者は困惑した。 ダンジョンで見つかった物質《アイテム》には現在化学でも再現できない物もある。 しかし、それは明らかに別物。
(あれは見た事あるぞ。たしか……トラッキングとかモーションキャプチャーとか……)
間違ってもダンジョン探索に付ける物ではない。明らかに異形。
魔王ですら『うむ? 道化の類いか?』と困惑を口にしている。
困惑する探索者と魔王だったが───
「あぁ、先客がいたのか? ここで俺がアレを倒すのはマナー違反になるのか?」
その奇妙な男は、そんな事を言い出した。どこか活力に欠ける・・・・・・微妙にやる気のない男だ。
「え? あぁ…… た、助けてくれるのか?」
「うん、わかった。その代わり、今から見る事は内緒な? ……一応、確認しておくけど配信中じゃないよね?」
「あぁ! カメラは止めている。だから、助けて───」
『笑止! 突然現れて笑わせる。貴様に何ができる……消え失せい!』
魔王は棍棒に込めた魔力を、男に向けた。
だが――――『ぬっ!』と魔王は声を上げた。
目前にいた男が消えたからだ。次の瞬間───
「少しだけ熱いなぁ」
彼は棍棒に灯ってる火に触れ、そのまま握りつぶして見せたのだ。
『なっ! 貴様、何者だ!』
「俺? 俺は黒瀬大河と言う。別に覚えなくてもいいぞ」
男───黒瀬大河を名乗る男は、拳を握って───
そのまま、魔王を殴り飛ばした。
「え? えぇぇぇぇぇっぇぇぇ!?」と目撃者である探索者は声を上げた。
(な、何が起きたのか? 殴った……それだけに見えたが……そんな馬鹿な!)
魔王は座ったままの状態。壁に衝突して、めり込んでいる。
『こ……この魔王が……素手…で? い、命が……失われ……』
折れた棍棒。それに、ひび割れた王冠が床に落ちた。
遅れて魔王の肉体が消滅していく。
「い、一撃? 魔王を……? あんたは一体? 何者なんだ?」
しかし、大河は「あー」とめんどくさそうに答えた。
「えっと、これは企業秘密なので、今見たこと、これから話すことは、配信やSNSにアップすることは禁止します」
「ん? あっはい?」
「俺の名前は獅堂ライガ。 たけプロ所属の企業VTuberだ」
そう言って、黒瀬大河あらため獅堂ライガは帰って行った。
残された配信者は、
(黒瀬大河? 獅堂ライガ? いや、VTuber??? だって人間じゃないか?)
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