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第14話 花峰ココロ(ブロガー)
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とあるブログ~『ダンジョン配信者ボス戦 感想戦』~より
『獅堂ライガVSキメラ』
ダンジョン配信者のボス戦を専門に追っている当ブログ。
キメラはボス戦なのか? そう思われるかもしれないが、安心していただきたい。
今注目のダンジョン配信系VTuber 獅堂ライガにとってキメラはボスの前哨戦。
つまり、1人でキメラを倒した後、ボスに挑むという事は先に告げておこう。
さて、前置きはここら辺にして───
舞台は歪庭《ソララシェル》。 ダンジョンの内部でありながら、まるで草原のような広々とした階層である。
巨大な木の影に隠れた野生のハンター……キメラが1匹。
本日の獲物は、人間───獅堂ライガである。
彼も、普通の人間ではない。 気配を消して襲い掛かろうとしているキメラの存在を素早く察知。
迎え撃つ……ではなく、気配を消して、隠れているキメラに接近していくではないか?
前回の当ブログで獅堂ライガは格闘技タイプの配信者と述べたが、今回もその考察を裏付けるような動きを見せてくれた。
なんと、キメラに急接近した獅堂ライガは、肘打ちを放ったではないか!
凄まじい打撃音が聞こえた。 あれは本当に人間が出せる音なのだろうか?
さすがのキメラもたじろいている。 しかし、それも僅かな時間のみ。
草原の王者と言われるプライドか? キメラも反撃にでた。
獅堂ライガの頭を狙って飛び掛かり、牙と爪……それに尻尾を加えた連続攻撃。
これで何人ものダンジョン配信者が犠牲になったことか?
だが、獅堂ライガはそれを華麗にやり過ごし、カウンターで投げ技を披露している。
巴投げだ。 長年、ボス戦をウォッチしている筆者ではあるがネコ科モンスターを投げ飛ばした配信者は初めてではないだろうか?
(もしかしたら、獅堂ライガに隠されたスキルがあるのかもしれない)
それからは圧巻の一言である。なんと、キメラを首を絞めだしたではないか?
キメラを絞め殺す。
前代未聞の光景ではないか? 少なくとも、私の記憶ではこのような倒した方をした配信者を知らない。
~~~ ~~~ ~~~ ~~~ ~~~ ~~~ ~~~ ~~~ ~~~ ~~~
「このブログの執筆者が君だって? えっと、名前が……」
「はい、花峰ココロと申します」
彼女は名刺を差し出して来た。 女子高生から名刺を渡されるのは初めての経験だ。
確か、名前の部分に触れないように、両端を持って受け取るのが、ビジネスマナーだったよな?
「これは、これは、ご丁寧に」と受け取って、名刺入れ入れた。
「恐縮ですが、こちらは名刺を切らしております」
「珍しいですね。配信者なのに、社不じゃないなんて!」
「しゃふ? 何かの略ですか?」
「はい、社会不適合者の略ですね」
「……(なんて事を言うんだ、この子?)」
今時の女子高生……それも、Webで商業をしている子は、こんな感じなのだろうか?
ブロガーに広告をつけて収益を得る。 アフィリエイトって奴だ。
昔は、まとめサイトとか月100万を稼ぎ強者もいたが……
現在は人気でも10万円とかじゃないかな? ブログを読むと他にもマネタイズで手広くやってるみたいだけど……ん?
コスプレ写真とか売ってじゃねぇか! 良いのか、こんな未成年が?
「あっ、ライガさん。この写真が気にました? なら、これはどうです? 流石に攻めすぎてNGにした写真が、私のスマホに……」
「やめなさい。本当に事案になってしまうだろうがっ!」
「あはははっ……」と彼女は、陽気に笑ってみせた。
どうやら、俺とオルネのコラボ配信を見ていた彼女は、撮影場所を事務所付近にあるスタジオだと考えたようだ。
配信後に事務所に戻って来るだろう。 そして、その読みは当たっていた。
「それで、俺に突撃インタビューをしてきた……と?」
「はい、今注目のダンジョン配信系VTuber 獅堂ライガさんの素顔に迫りたいのです!」
「いや、ダメだろ。VTuberの素顔に迫ったら!」
しかし、花峰ココロという少女は「?」と疑問符を頭に浮かべると───
「え? どうしてダメなのですか?」
当たり前のように聞いてきた。 あぁ、どうやらVTuber界隈について詳しくないようだ。
「そうだなぁ。界隈のルールで言うなら、俺が獅堂ライガとして君と話しているのはルール違反なんだ」
「えっと……それはVTubeは正体をバレていけないみたいな事ですか?」
「その通りだ」と俺は頷く。俺は獅堂ライガというキャラクターを表現しているに過ぎない。
黒瀬大河と獅堂ライガは同一人物であると同時に別人でもある……いわゆる、中の人とVTuber自身は別人論って事だ。
「そう、インタビューがしたいなら会社を通してくれ。あと、俺の話した内容はオフレコで……」
「あら、構わないわよ!」と急に会話に入って来た人物がいた。
「……たけし社長。いつからいたのですか?」
「あら、アナタがワタクシの気配に気づいてなかったの? もしかして、内心は凄く動揺していたのじゃない?」
「俺の話はいいです。それよりも、どういうつもりで?」
「うん、この子のネット活動を調べて見たわ。ちょっとしたインフルエンサーじゃない。だったら、こちらで情報を制限して……うちの広告塔になってもらいましょう!」
「商魂を出し過ぎなのでは!」
俺の抗議も虚しく、独占インタビューの予定が作られてしまった……
『獅堂ライガVSキメラ』
ダンジョン配信者のボス戦を専門に追っている当ブログ。
キメラはボス戦なのか? そう思われるかもしれないが、安心していただきたい。
今注目のダンジョン配信系VTuber 獅堂ライガにとってキメラはボスの前哨戦。
つまり、1人でキメラを倒した後、ボスに挑むという事は先に告げておこう。
さて、前置きはここら辺にして───
舞台は歪庭《ソララシェル》。 ダンジョンの内部でありながら、まるで草原のような広々とした階層である。
巨大な木の影に隠れた野生のハンター……キメラが1匹。
本日の獲物は、人間───獅堂ライガである。
彼も、普通の人間ではない。 気配を消して襲い掛かろうとしているキメラの存在を素早く察知。
迎え撃つ……ではなく、気配を消して、隠れているキメラに接近していくではないか?
前回の当ブログで獅堂ライガは格闘技タイプの配信者と述べたが、今回もその考察を裏付けるような動きを見せてくれた。
なんと、キメラに急接近した獅堂ライガは、肘打ちを放ったではないか!
凄まじい打撃音が聞こえた。 あれは本当に人間が出せる音なのだろうか?
さすがのキメラもたじろいている。 しかし、それも僅かな時間のみ。
草原の王者と言われるプライドか? キメラも反撃にでた。
獅堂ライガの頭を狙って飛び掛かり、牙と爪……それに尻尾を加えた連続攻撃。
これで何人ものダンジョン配信者が犠牲になったことか?
だが、獅堂ライガはそれを華麗にやり過ごし、カウンターで投げ技を披露している。
巴投げだ。 長年、ボス戦をウォッチしている筆者ではあるがネコ科モンスターを投げ飛ばした配信者は初めてではないだろうか?
(もしかしたら、獅堂ライガに隠されたスキルがあるのかもしれない)
それからは圧巻の一言である。なんと、キメラを首を絞めだしたではないか?
キメラを絞め殺す。
前代未聞の光景ではないか? 少なくとも、私の記憶ではこのような倒した方をした配信者を知らない。
~~~ ~~~ ~~~ ~~~ ~~~ ~~~ ~~~ ~~~ ~~~ ~~~
「このブログの執筆者が君だって? えっと、名前が……」
「はい、花峰ココロと申します」
彼女は名刺を差し出して来た。 女子高生から名刺を渡されるのは初めての経験だ。
確か、名前の部分に触れないように、両端を持って受け取るのが、ビジネスマナーだったよな?
「これは、これは、ご丁寧に」と受け取って、名刺入れ入れた。
「恐縮ですが、こちらは名刺を切らしております」
「珍しいですね。配信者なのに、社不じゃないなんて!」
「しゃふ? 何かの略ですか?」
「はい、社会不適合者の略ですね」
「……(なんて事を言うんだ、この子?)」
今時の女子高生……それも、Webで商業をしている子は、こんな感じなのだろうか?
ブロガーに広告をつけて収益を得る。 アフィリエイトって奴だ。
昔は、まとめサイトとか月100万を稼ぎ強者もいたが……
現在は人気でも10万円とかじゃないかな? ブログを読むと他にもマネタイズで手広くやってるみたいだけど……ん?
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「あっ、ライガさん。この写真が気にました? なら、これはどうです? 流石に攻めすぎてNGにした写真が、私のスマホに……」
「やめなさい。本当に事案になってしまうだろうがっ!」
「あはははっ……」と彼女は、陽気に笑ってみせた。
どうやら、俺とオルネのコラボ配信を見ていた彼女は、撮影場所を事務所付近にあるスタジオだと考えたようだ。
配信後に事務所に戻って来るだろう。 そして、その読みは当たっていた。
「それで、俺に突撃インタビューをしてきた……と?」
「はい、今注目のダンジョン配信系VTuber 獅堂ライガさんの素顔に迫りたいのです!」
「いや、ダメだろ。VTuberの素顔に迫ったら!」
しかし、花峰ココロという少女は「?」と疑問符を頭に浮かべると───
「え? どうしてダメなのですか?」
当たり前のように聞いてきた。 あぁ、どうやらVTuber界隈について詳しくないようだ。
「そうだなぁ。界隈のルールで言うなら、俺が獅堂ライガとして君と話しているのはルール違反なんだ」
「えっと……それはVTubeは正体をバレていけないみたいな事ですか?」
「その通りだ」と俺は頷く。俺は獅堂ライガというキャラクターを表現しているに過ぎない。
黒瀬大河と獅堂ライガは同一人物であると同時に別人でもある……いわゆる、中の人とVTuber自身は別人論って事だ。
「そう、インタビューがしたいなら会社を通してくれ。あと、俺の話した内容はオフレコで……」
「あら、構わないわよ!」と急に会話に入って来た人物がいた。
「……たけし社長。いつからいたのですか?」
「あら、アナタがワタクシの気配に気づいてなかったの? もしかして、内心は凄く動揺していたのじゃない?」
「俺の話はいいです。それよりも、どういうつもりで?」
「うん、この子のネット活動を調べて見たわ。ちょっとしたインフルエンサーじゃない。だったら、こちらで情報を制限して……うちの広告塔になってもらいましょう!」
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