VTuberでもできるダンジョン配信!

チョーカ-

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第13話 チョボギョの寿司

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 チョボギョの寿司。 初めてのモンスター料理にオルネは、緊張している様子。

 VTuber黎明期、今を輝くトップVTuberたちもゲテモノ食いをしていた時期があった。

 主にタランチュラを食べる事が流行っていた。 それよりは遥かに美味しいと俺は思うのだが───

 彼女は決心を固めたように寿司を口に運ぶ。すると─── 

「ふわぁ!すごっ!」 と彼女は声を弾ませた。

「何て言うか・・・・・・旨味? 旨味が濃縮されてる感じ? なんだろう? マグロと言うよりもタイに近い気がする!」

 いきなり大絶賛だった。  さらに寿司に手を伸ばしていく。

「あっそっか! マグロみたいに大きな魚だもんね。身の位置で味が変わるんだね! 面白い!!!」

 彼女の言う通りだ。 マグロも腹部の上部を大トロ。 中部を中トロと言うように、チョボギョも巨大魚になると部分によっての味の差が如実に出てくるのだ。

「美味しいですねっ!たけし社長!」

「え?」

「あっ! お酒飲んでる!? 配信中なのに!」

 いつの間にか、たけし社長は熱燗《あつかん》を持っていた。 

「いいの、いいの。ワタクシは今だけライガくんだから!」

「もう! その企画、終わってますよ! それに刺身をパクパク食べて! 食レポする予定はどうしたのですか!!!」

「食レポは、アンタとライガにおまかせ! ワタクシはお酒……あんたも飲みなさい、アンタも!」

「社長! 私は未成年ですよ! 未成年のタレントにお酒を進める社長が、どこにいるんですかぁ!」

「ここにいるぞ! ……あれ? 設定じゃなくてオルネってリアルJKだったわね。こりゃ失敬、失敬!」

「もう酔っぱらい嫌い! 助けてライガくん! ・・・・・・あれ? ライガくん? もしかして、裏で何かやってる?」

 やべぇ、ばれた!

「なぁに! ワタクシに黙って何を企んでるの!」

 どっどどどどどど・・・・・・と足音を立てて俺のいる調理室に社長は雪崩れ込んできた。 

『バレたw』

『逃げろw逃げろw』

『ワロたwww』

 コメントで大ウケで草が生えている。 たけし社長とオルネが食事をしている間、画面上では俺が無言で別の食べ物を用意してバレないように食べる。

 そういう企画が進行されていたのだ。

 そして俺が食べてる物は───

「わぁ! どんぶり・・・・・・漬け丼だぁ! ワタクシにも食べさせなさい!」

 漬け丼。 出汁醤油に魚の切り身を染み込ませて、ご飯を入れたどんぶりの上に並べた物……それが漬け丼だ!(美味い!)

 こうして、俺と社長で、漬け丼を賭けた熱いバトルが行われることになったのだが・・・・・・ それは、また別の話で。

・・・

・・・・・・

・・・・・・・・・・

「「「おつかれさまです!」」」

 料理用に借りたスタジオから事務所に戻った俺たちは、その場で解散することになった。

「ほい! それじゃライガくん、次のコラボ予定は帰ったら送るからね!」

 女子高生キャラVTuberであるオルネ。

 中の人は、本当に女子高生だったりする。なんなら、本人をモデルにしたデザインのアバターだったりする。

「バッバイ!」と彼女はタクシーで帰って行った。

「貴方もタクシーで帰ったら? 足代くらいは会社が出すわ」

「いえ、駅まで歩いて帰りたい気分なんですよ。今日の手ごたえを噛み締めながら……ね」

「あら、貴方も人間らしい感情があるのね」

「ん~ 俺以上に人間らしい感情を持ってる人間はいないと思うけどなぁ」

 俺は社長の申し出を断って歩いて帰る事にした。もちろん、センチメンタルな理由は誤魔化しだ。

 本当の理由は────

「それで、どなた? 俺の後を付けてる人は?」

 何者かの視線を感じていたからだ。

「まさか、俺のファンやストーカーではないだろう? いや、数十万人に知られると、1人くらいは俺を追いかけ回すような危険人物が出現してりするのだろうか?」

 相手は尾行がバレていると思っていなかったのだろう。

 声をかけられた事に驚いた様子。 それから逃げ出すつもりらしい。

 けど───

 「悪いけど、誰かわからないまま、逃がすつもりはない」

 俺は、素早く追跡者の背後に周り、ぽんぽんと肩を叩いた。

 素顔を写真に撮られてネットにばら撒かれたらVTuberとしては致命傷だ。

 ……いや、致命傷は良い過ぎか?  しかし、視聴者たちが俺の素顔がチラついて配信を楽しめなくなったら、VTuberとしてのダメージは大きい。

「……ん? 子供? 中学生か?」

「ちゅ! 中学生じゃないです! もう高校生です!」

 俺を尾行していた相手は、学校の制服を着た少女だった。

 どうやら、体が小さい事を気にしているようだが……そんな場合じゃないだろ。

 しかし───  未成年の女性。 夜の繁華街。

 ここで対応をミスすると、俺の方が悪役になってしまう可能性がある。

「それで、君は誰? 俺に何か用件でもあるのかい?」

「うっうぅ……こ、これを」と彼女は、タブレットを取り出して俺に見せてきた。

 そこに書かれていたのは───

 『ダンジョン配信者ボス戦 感想戦』

 そういう考察サイトのタイトル。 

 ダンジョン配信者は人気コンテンツだ。その戦い方───主にボス戦について解説をしているネット評論家たちは少なくない。 

 このサイトも、そういう物なのだろう…… あっ! 俺の記事も書かれている。 それも結構な分量だ。

「う~ん すごいなぁ。正確に文書に直して記録してある」

「あっ、ありがとうございます!」と彼女は頭を下げてきた。

「ん? ありがとう? 君は、このサイトの関係者ってこと?」

「はい、私はこのサイトの管理人をやらせてもらっている。花峰ココロを言います。よろしくお願いします!」

 
 
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