VTuberでもできるダンジョン配信!

チョーカ-

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第36話 暴露系配信にお邪魔してみた

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「皆さん、先日取り上げたVTuber獅堂ライガさんのことを覚えていますか?」

 オラオラ系YouTuber無駄無駄の配信がスタートした。

 あっという間に同時接続者数が伸びていく。 同時接続者数が1万を超えれば、VTuberのトップ戦線で戦っている言える。 しかし、無駄無駄の場合は────

「同時接続者10万越えましたね。いつも見てくださってありがとう」

 どこか、飄々とした感じ。 まるで、そのくらい当たり前のように集まると思っているようだ。

「今回、ライガさんから連絡がありました。なんと、今日は配信に出てくれるそうです。早速、連絡を取って見ましょう」

「───」と暫く彼は無言になった。

「───あれ? 出ないなぁ。おいおい、約束と違うじゃないですか」

 朗らかな言葉使いとは裏腹に焦りも出ている。 

 このままだと配信事故になる。その焦りだろう。

「う~ん、ちょっと待ってくださいね。さっきからチャイムが鳴らされていて……こんな時間に誰だよ?」

 そう言って、彼は配信画面から離れた。

「もしもし、どなたですか?」

『―――あっ、どうも無駄無駄さん。始めまして、声でわかりますか?』

「……悪戯ですか? 警察を呼びますよ?」

『俺ですよ。獅堂ライガですよ』

「なっ! 本人っ!? どうしてここに!」

『どうして? 配信に出てくれって言われたので直接来ちゃいましたよ』

「直接、家に来る奴が……いや、どうして僕の家がわかって?」

『ダンジョン配信者の直感ですかね。俺くらいになると、配信画面から自宅の特定が簡単にできるようになったり……』

「わかりました、わかりましたから……今日の所は帰ってくれませんか?」

『良いじゃないですか。今回はオフコラボという事で、入れてくれても』

「……ダメに決まっているでしょ!」と無駄無駄は言葉を強めた。

『あっ、言い忘れてましたが、こちらは配信中です』

「なっ! そんな黙って!」

『え? そちらは配信してるのに、俺はダメなんですか?』

「───っ」と悔しそうな雰囲気が伝わって来た。 

 こうなったら俺は返したくないだろう。

 普通の人ならまだしも……少なくとも配信者として、ここまでおいしいネタはない。

『わかりました。お入りください』

「それじゃ、お言葉に甘えて。お邪魔します」

~~~ ~~~ ~~~ ~~~ ~~~ ~~~ ~~~ ~~~ ~~~ ~~~ ~~~ ~~~

 無駄無駄の配信では、普通のYouTuberのようにリアルタイムでの映像は流れていない。

 様々な情報がまとめられて、画面で流れている。 それを見て無駄無駄が相談者と会話するスタイルだ。

「お待たせしました。配信を再開します」

 コメント欄では───

『おっ帰って来た』

『なんか妨害されたのかと思った』

『弁護士とか連絡来たんじゃねぇの?』

 へぇ、凄いな。 俺のチャンネルよりコメントの数が多い。

 それに無秩序だ。

 俺が会社に入った時は、たけし社長から───

『配信者たるもの、視聴者の統率も取らなければならない!』

───と、視聴者の教育と言うと大げさだけど、そういう配信者としての姿勢ってのを習ったけどな。

 そんな事を思い出していると、無駄無駄が視聴者への説明を始めた。

「えっと、獅堂ライガさん。予定を変更して、なんと僕の家に直接来てくれました」

『はぁ? リア凸!?!?』

『まじか!? リア凸ヤバすぎw』

『なんで家を知ってるの???』

『殴り込みでワラタwww』

 ちなみに、コメントであるリア凸ってのは、リアルで突撃するって意味だ。

 ネットでのやり取りを現実に持ち込む。直接会ってやり取りをする……いや、別にネットも現実の一部には違いないが…… それをリア凸と言う。

「それじゃ、ライガさんどうぞ」

「はい、たけプロ4期生の獅堂ライガだ。無駄無駄さんから来いって言われたので、直接来ました。ちなみ、俺のチャンネルでも配信してます」

『すげぇ、行動力』

『何しに来たんだ?』

『無駄無駄、殴りに来たか』

『無駄無駄、逃げろ! 逃げろ! 逃げろ!』

「いやぁ、今日は誤解を解こうと思いましてね」

「誤解? 先日の女性を妊娠させたという話ですね。実は彼女は未成年って話も出てきましたが?」

「あぁ、そんな話でしたね。今回は別件です」

「別件ってアンタ…… そんな誤魔化してる場合じゃないでしょ!」

「誤魔化しているわけじゃないですよ。無駄無駄さん……モンスターに憑かれてますよ」

「……はぁ!?」

 困惑するのは当然だろう。 ダンジョンに潜ってモンスターと戦う。

 今の日本で当たり前に起きている事だが…… 普通の人には、関係のない話だ。

 せいぜい、エンタメとしてダンジョン攻略を配信で見る程度。 どこか他人事に思っていたのだろう。

「それじゃ、モンスターを祓いますね」

 俺は構える。それを見た無駄無駄が慌て始めた。

「ちょ! 何を、僕を殴るつもりですか!」

「大丈夫、無傷で終わらせます───せい!」

 俺は拳を走らせた。  

 無駄無駄の配信画面では、俺が何をやっているかわからないだろう。

 逆に、俺の配信画面ではいつも通り、ARにより処理されたVTuberの俺が無駄無駄に殴りかかり、寸前で拳を止めた映像が流れている。

 寸止めだ。

丁寧に、丁寧に、鍛錬を続けた拳。 それは修行僧が体を鍛え、心も鍛えるように───

 俺の拳には聖なる力が宿っている。

 それを向けられ、寸前で拳を止められた無駄無駄の様子はと言うと───

「何とか、体から剥がし取る事は出来たな」

 滑るように床に座り込んだ彼の体。 だが、彼の体から離れていく白い影があった。

 その白い影は───

「獅堂ライガ! 何度、俺の邪魔をすれば気がする」

 ───と叫ぶ。 白い影の顔は……物申す系VTuber炎斉士と同じ顔をしていた。
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