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第35話 メッセージ
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「どれどれ、これは?」
俺は、送られていたメッセージに頬を緩ませた。
鳴海ユズカ@たけプロ1期生
『騒動になっていますが、大丈夫でしょうか? 同期のオルネちゃんも心配していると思うので連絡をしてあげてください』
阿波ノンカ@たけプロ1期生
『ちわっ! 大変な事になってんでな! 落ち着いたら、動画にするから、話きかせてな!』
猿渡モモカ@たけプロ2期生
『あんた、大丈夫? 大炎上じゃん! 何かあったら、事務所にマネージャーとして雇ってもらいなよ(ウッキキー』
赤崎フユカ@たけプロ3期生
『こんにちわ。昨日から、貴方の同期であるオルネちゃんが泊まりに来ています。
今、彼女は目を回して、寝込んでいます。 何か声をかけてあげて!』
野町オルネ@たけプロ4期生
『うぅ……ライガ元気? わたし、げんき……』
たけプロの先輩たちからのメッセージだった。
全員が心配してくれてる。 あと、オルネは大人しく寝てろ。
俺は1つ1つを返信していく。 その間にも、メッセージは増えていく。
禍代たむ@貴方の彼女
『大丈夫? 心配しなくても良いからね。いざとなったら私との子供って事にしてくれていいからね?』
白田 田作
『ご無沙汰しています、白田です。何でも相談してください。一緒にジムに行って、飯を食いましょう』
暮夜 鈴音
『今、騒動を知りました! なんかできる事ある?』
兎岸たましぃ
『こんばんは(キラッ いろいろ大変だったね(汗汗
あんなの、気にしちゃダメだよ~ 一生懸命がんばってるんだから(ムキッ!
おじさんにはそれ、ちゃんと伝わってるよ(ハート
無理せず、ちゃんとご飯食べてね(ぱくぱく
睡眠も大事だよ~(Zzz
あったかくして寝るんだよ!』
うん、みんな温かいなぁ。
思わず、たむさんのメッセージのおかしな部分を見落としても良いと思ってしまうほどだ。
けど───
Go・D・たけし
『社長です。すぐに連絡しなさい。あと、しばらくは配信を禁止します』
「マジか! いや、確かに炎上中に普通の配信はダメなんだろうけど……」
配信禁止は困るなぁ。とは言え、解決する方法は思いつかない。
SNSでは相変わらず、大炎上中。
けれども、あの配信内容は普段と違うと主張している無駄無駄氏のファンがいたり、考察している人がいたりする。
そういう人たちが叩かれているのを見ると、自分が叩かれているのより申し訳ない気持ちになってくる。
「よし! 何か、ヒントはないか?」
俺は例の配信を最初から見直す。
「────あれ? 何かおかしい音が入っている。何かいる」
普通の人間では気づかない音。
ダンジョンで鍛えた人間が持つ五感。 それは超能力に等しい。
俺は、魔力を使って脳を強化する。
本来には配信から聞こえるはずのない音でも聞こえるようになる。僅かな情報から脳が音を再現してくれた。
「これは予想外─── 俺個人の問題じゃなくて、下手したら世界が滅ぶぞ」
配信を停止すると、スマホに手を伸ばす。 電話をかけると───
『お電話ありがとうございます。こちらダンジョン管理局でございます。本日は、どのようなご用件でしょうか?』
「こちらは、黒瀬大河だ。ダンジョンのM案件について担当者に繋げて貰いたい」
『───畏まりました』と保留音が流れて来る。
ダンジョン管理局。
要するに、ダンジョンを管理するための役所。まぁ、そのままの名前だな。
探索者、配信者の情報。 モンスターの情報。 それらからダンジョンの情報を分析する公的期間。それがダンジョン管理局だ。
『俺だ、何かあったか、大河?』
とても公務員とは思えない口調。 無頼漢や荒くれのような男の声が聞こえてきた。
「ご無沙汰しています、本田さん」
電話の相手は、ダンジョン探索者時代にお世話になった人物だ。口調だけじゃなくても、見た目は反社……いや、今は置いといて。
「本田さん、その様子だと、俺の仕事を知らないみたいだな?」
『あぁ、知ってるよ。タレント業だろ? 世の中舐めてたクソガキが大きくなったな』
「……お互い忙しい身分だ。世間話をしたいわけじゃない」
『クソガキなのは相変らずだな。それで? 用件は?』
「ダンジョンからモンスターが1匹」
『あん?』
「外に出て、悪さをしている。駆除をする許可を出してくれ」
『待てよ。詳細を寄こせ、こっちはお堅い公務員だぜ』
「……もう、そっちに送ってるさ」
『ちっ、どうやって俺のアドレスを知った。なになに……コイツは大事だぞ』
「義理は果たした。俺は俺で動かせてもらうぜ」
『まて。お前、何を───』
俺は電話を切った。 これで俺の炎上騒動も鎮火できるかもしれない。
「よし、張り切って仕事を始めるかぁ!」
俺は外に出た。 目的地は─── オラオラ系YouTuber無駄無駄さん、そのご自宅だ。
俺は、送られていたメッセージに頬を緩ませた。
鳴海ユズカ@たけプロ1期生
『騒動になっていますが、大丈夫でしょうか? 同期のオルネちゃんも心配していると思うので連絡をしてあげてください』
阿波ノンカ@たけプロ1期生
『ちわっ! 大変な事になってんでな! 落ち着いたら、動画にするから、話きかせてな!』
猿渡モモカ@たけプロ2期生
『あんた、大丈夫? 大炎上じゃん! 何かあったら、事務所にマネージャーとして雇ってもらいなよ(ウッキキー』
赤崎フユカ@たけプロ3期生
『こんにちわ。昨日から、貴方の同期であるオルネちゃんが泊まりに来ています。
今、彼女は目を回して、寝込んでいます。 何か声をかけてあげて!』
野町オルネ@たけプロ4期生
『うぅ……ライガ元気? わたし、げんき……』
たけプロの先輩たちからのメッセージだった。
全員が心配してくれてる。 あと、オルネは大人しく寝てろ。
俺は1つ1つを返信していく。 その間にも、メッセージは増えていく。
禍代たむ@貴方の彼女
『大丈夫? 心配しなくても良いからね。いざとなったら私との子供って事にしてくれていいからね?』
白田 田作
『ご無沙汰しています、白田です。何でも相談してください。一緒にジムに行って、飯を食いましょう』
暮夜 鈴音
『今、騒動を知りました! なんかできる事ある?』
兎岸たましぃ
『こんばんは(キラッ いろいろ大変だったね(汗汗
あんなの、気にしちゃダメだよ~ 一生懸命がんばってるんだから(ムキッ!
おじさんにはそれ、ちゃんと伝わってるよ(ハート
無理せず、ちゃんとご飯食べてね(ぱくぱく
睡眠も大事だよ~(Zzz
あったかくして寝るんだよ!』
うん、みんな温かいなぁ。
思わず、たむさんのメッセージのおかしな部分を見落としても良いと思ってしまうほどだ。
けど───
Go・D・たけし
『社長です。すぐに連絡しなさい。あと、しばらくは配信を禁止します』
「マジか! いや、確かに炎上中に普通の配信はダメなんだろうけど……」
配信禁止は困るなぁ。とは言え、解決する方法は思いつかない。
SNSでは相変わらず、大炎上中。
けれども、あの配信内容は普段と違うと主張している無駄無駄氏のファンがいたり、考察している人がいたりする。
そういう人たちが叩かれているのを見ると、自分が叩かれているのより申し訳ない気持ちになってくる。
「よし! 何か、ヒントはないか?」
俺は例の配信を最初から見直す。
「────あれ? 何かおかしい音が入っている。何かいる」
普通の人間では気づかない音。
ダンジョンで鍛えた人間が持つ五感。 それは超能力に等しい。
俺は、魔力を使って脳を強化する。
本来には配信から聞こえるはずのない音でも聞こえるようになる。僅かな情報から脳が音を再現してくれた。
「これは予想外─── 俺個人の問題じゃなくて、下手したら世界が滅ぶぞ」
配信を停止すると、スマホに手を伸ばす。 電話をかけると───
『お電話ありがとうございます。こちらダンジョン管理局でございます。本日は、どのようなご用件でしょうか?』
「こちらは、黒瀬大河だ。ダンジョンのM案件について担当者に繋げて貰いたい」
『───畏まりました』と保留音が流れて来る。
ダンジョン管理局。
要するに、ダンジョンを管理するための役所。まぁ、そのままの名前だな。
探索者、配信者の情報。 モンスターの情報。 それらからダンジョンの情報を分析する公的期間。それがダンジョン管理局だ。
『俺だ、何かあったか、大河?』
とても公務員とは思えない口調。 無頼漢や荒くれのような男の声が聞こえてきた。
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電話の相手は、ダンジョン探索者時代にお世話になった人物だ。口調だけじゃなくても、見た目は反社……いや、今は置いといて。
「本田さん、その様子だと、俺の仕事を知らないみたいだな?」
『あぁ、知ってるよ。タレント業だろ? 世の中舐めてたクソガキが大きくなったな』
「……お互い忙しい身分だ。世間話をしたいわけじゃない」
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『あん?』
「外に出て、悪さをしている。駆除をする許可を出してくれ」
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「……もう、そっちに送ってるさ」
『ちっ、どうやって俺のアドレスを知った。なになに……コイツは大事だぞ』
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『まて。お前、何を───』
俺は電話を切った。 これで俺の炎上騒動も鎮火できるかもしれない。
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