VTuberでもできるダンジョン配信!

チョーカ-

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第51話 ドッキリ!『13日の金曜日』 前編!

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猿渡モモカ───二つ名は『極悪猿』

 イタズラと言うには大がかりなドッキリ企画を得意とする彼女の異名だ。

 なお、彼女の被害者はたけプロの所属メンバーだけにとどまっていない。

 そんなコラボに戦々恐々としている俺だったが────

「うっきうき! 猿渡モモカだよ!」
 
 ───というわけで、撮影が始まった。そう、配信ではなく撮影だ。

 ドッキリを仕掛けた様子を撮影して、後で配信で流す。 少し前に説明した同時視聴配信に近いスタイルのようだ。

 まぁVTuberがVTuberにドッキリを仕掛けている様子を、無加工で配信することはできないので……

「───ほい、今回は後輩のライガくんに協力してもらうよ。それじゃ、ライガくん、挨拶を張り切って、どーぞー!」

「はい、たけプロ4期生 獅堂ライガだ! 今回は、モモカ先輩の共犯者に指名されたぞ」

「わー! パチパチ……って共犯者って何よ!」

「いや、VTuberじゃなかったら、犯罪だぜ。先輩のドッキリ企画は」

「ぬぐぐぐ……できない。反論が! それじゃ、今回の企画説明!」

 モモカ先輩は俺の姿を写した。 

 VTuberの姿ではなく、生身の姿…… ただし、顔に不気味な仮面を付けているので素顔は写されていない。

「どうで~す? その衣装は?」

「シークレットブーツで動きにくいですね。服もサイズが大きめでダブダブだ……本当に何ですか? これ?」

「ふっふふ……よくぞ、聞いてくれた。 今回は───」

『13日の金曜日直前企画! 暗闇で殺人鬼に襲われたらドッキリ!!!』

「───となっています! はい、拍手! パチパチパチ!」

 なるほど、だから俺の仮面はアイスホッケーのやつなのか……いや、試合じゃ40年以上前から使われなくなったそうだけど……

「つまり、ここ……のりプロが所持している倉庫に、知り合いを呼び出して脅かすって事で良いだよな?」

「うっきき! その通り! みんなが、どれだけ驚いてくれるか楽しみだね!」

 そこで一度、カメラを止められた。

「しかし、うちの事務所も倉庫を持っていたのですね。知りませんでしたよ」

「倉庫と言うか、昔の事務所だったらしいよ。良くない噂があったから安く借りれたって社長も言ってた」

「う~ん、もしかして本物の心霊スポットだったりします?」

 漂う空気が良くない。 悪い存在も呼び込んできそうだ。

「あっ! ライガくんって霊感あるんだよね。 本物の幽霊を殴ったり、引き千切ったりしてる映像をみたよ!」

 あ~ 炎斉士の時の映像かぁ。 まとめサイトでも『悲報! 本物の幽霊、恐くない』って話題にされていたからなぁ。

「まぁ、ダンジョンのゴースト系モンスターとほぼ同じですからね。あとで簡単にお祓いしておきまししょう」

「おぉ、頼もしい。ライガくんが入れば、過激な心霊配信が可能そう。本番の夏が楽しみだね!」

「本番の夏って……悪い事を企んでそうですね」

「配信者として腕が鳴るね! ……ところで、ライガくんってキャラ作ってるの? 配信中と口調が違うけど」

「いや、配信中はVTuberとして振る舞うのが当然じゃないですか。モモカ先輩だって……」

 そこで会話が止まった。 最初の被害者がやってきたからだ

「ライガ~ モモカ~ ど~こ!」

 声の主は、俺の同期───野町オルネだった。 

 彼女には『事務所の倉庫で、懐かしグッズとか探そう!』と企画を説明して、呼び出している。

 当然、生身の彼女であるが、配信ではVTuberの姿に加工されることになるだろう。

「え~ 何で電気つかないの!? 配信できないじゃん!」

 ……ひとり言が多くなるのはVTuberの職業病かもしれない。 俺も気をつけよう。

「ぎゃぁ!」と彼女は悲鳴を上げた。

 詰んでいた荷物が倒れるドッキリだ。軽めのつもりだが、反応がすごい良かった。

「さすが、オルネちゃん! 取れ高の神さまに愛されているね! それじゃ、ライガくん、行ってきて」

「……はぁい」と同期を脅かすのは気が進まないが、悪く思わないでくれよオルネ。

 俺が姿を見せると同時に彼女は───

「───ぎ……ぎゃあああああああああああぁぁぁ!」

 ───と振り向くこともなく逃げ出していった。 

「あっ、ちょっと待てよ。俺だよ俺、獅堂ライガだよ」

「ぎゃあああ! 変質者がライガの声真似しているうううううう!」

「そんな変質者がいるか、落ち着け! 本物だよ、本物のライガ!」

 もう、倉庫の外まで出ている。 それでも彼女は足を止めない。

 仕方がないので、マスクを脱いで素顔を見せた。

「う~ん、あまりにもライガの素顔を見てないから本人かわからないなぁ。似てるかも……」

「だから、本人……いや、同期の素顔を忘れるなよ」

「なんだ~ ライガかぁ! 驚かせないでよ。 さぁ今日の企画も一緒に───」

「いや、悪いけど、今日の企画はドッキリなんだ」

「え? これで終わり……???」

「うん」と俺が頷くと彼女は、地面に座り込んだ。 異常な健脚で忘れていたが、彼女は運動が苦手だ。

 とんでもない勢いで両足がガクガク震えている。

「ラ、ライガ……動けない。抱っこ! お姫様抱っこしろ!」

 この後、高度な交渉術と心理戦が行われたが、俺がオルネをどうやって運んだかは、企業秘密だ。 

 
 
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