VTuberでもできるダンジョン配信!

チョーカ-

文字の大きさ
74 / 121

第74話 ダンジョンの隠し通路 その②

しおりを挟む
 神酒《ソーマ》 不老不死の薬とも言われる液体。

 究極の回復薬と言われる良い効果がある。 怪我や病気を治す万能薬。 

 その材料である植物が大量に生えている。

 過去、ダンジョンの下層で同じ物をあった事を思い出す。

「───これは良くないのでは? 本来、ダンジョンの下層で取れる植物が大量に採取できる場所が発見されたって……」

 最強の回復薬が誰でも簡単に作れるようになる。 世界が変わってしまうほどの大発見だ。

 「う~ん、とりあえず採取してみて、ダンジョン庁に報告&提出かな?」

 俺個人が判断できる範疇を超えてる。 

「よし」と草むしりを始めていると違和感に気づいた。

「あれ? コメント欄の反応がおかしいぞ?」

『音聞こえないよ!』

『ミュートにしてる?』

『音声トラブル?』

「え? 俺の方じゃミュートに設定してないぞ。 ドローンカメラの不具合か?」

 調べてみても、変な所はない。 いや、何か違和感があるぞ。

「あー あー 聞こえているか? テスト、テスト、マイクテスト。あめんぼ赤いな、あいうえお・・・・・・」

 だが、視聴者たちの反応は?

『?』

『ざわ・・・・・・ ざわ・・・・・・』

『YouTubeくんの不具合かな?』

 ───と音は届いていない。 俺はその原因に気づく。

「聞いたことがある。 配信者の知り合いからだ」 

 誰から聞いたのだろうか? たしか、同期のオルネだった記憶がある。 

「音鳴り。 室内で音の反射が起こり、マイクが異音を拾ってしまう現象がある」

 彼女は、こう言っていた。

「音鳴りの対策に、部屋にぬいぐるみと植物をたくさん置いている・・・・・・と」

 俺はソーマの草を見た。 この草が音を吸収している?

 そんなバカな。ここまで完全に音を吸収する植物があり得るのか?

 いや、そんなことよりも・・・・・・ 

「これが、自然ではなく何者かの意図があるとしたら?」

 嫌な予感がした。 背筋に寒気が通り過ぎていく感覚。 

 もしも、誰かが─── もしも、誰かが、この場所に入った時。声を外に聞こえなくするための仕掛けだとしたら?

 つまり、悪意を持った誰かが─── ここで助けを叫んでも聞こえない仕掛けを───罠を仕掛けていたのなら───

「まずい。 どんな罠があるかわからないが・・・・・・俺のカンが危機を告げてる!」

 脱出を! 俺は駆け出そうした。だが、できなかった。

 体がふらつく。 真っ直ぐに進めず、倒れそうになる。

「なっ! これは毒? いや、俺に毒は効かないはず・・・・・・」

 気づけば、呼吸が大きく乱れている。 ひどい頭痛と眠気に襲われている。

「いや、毒ではない。 これは・・・・・・」

 俺は、ソーマの草に目を向ける。 コイツが原因だ。 だが、あり得るのか?

 完全に音を吸収する植物。そして、大量のを吐き出している!

 二酸化酸素。 空気中に普通にあるガス。 無味無臭・・・・・・

 だが、それが高濃度になれば人間には有害。 最悪、死に至る。 

「光が不足している空間だと植物は、酸素を吸収。それから二酸化酸素を放出する。だが・・・・・・こんなにも大量に? 誰かが品種改良したのか? 人を殺せるように!」

 俺は地面に倒れている。 もう動けない・・・・・・このままだと俺も死が・・・・・・

「だが、収納空間《アイテムボックス》を使う。 大量の道具を収納できるスキル。だったら・・・・・・内部の酸素を全て取り出す」

 新鮮な空気。収納空間から吐き出された。 

 それが周囲に充満している二酸化酸素を吹き飛ばしていく。

「やれやれ、ここまで追い詰められ、死を意識させられたのは久々だぜ。一体、何者が、ここまで悪辣な罠を考えたんだ?」

 俺は、悪態をつきながら外に出た。

~~~ ~~~ ~~~ ~~~ ~~~ ~~~ ~~~ ~~~ ~~~ ~~~ ~~~ ~~~ 

 翌日、ダンジョン庁の人間と共に、隠し通路が発見された場所に戻ってきた。

 神酒の材料。 危険な罠があるとわかっていても採取を行う者が出てくるだろう。

 それを禁止させるべきか、ダンジョン庁が決めるための調査である。

 だが・・・・・・

「隠し通路がない。痕跡も完全に消えている」

 俺の配信をアーカイブで確認するばわかるだろう。 

 あれは、事実だ。 夢ではない。 

 だが、ダンジョン庁の人間が数日かけて、周囲を調べてもあの通路は発見されなかった。

「あれは何だったのか?」 

 俺は自室に飾っている神酒《ソーマ》の草を眺めながら呟いた。

 ・・・・・・いや、正確には『神酒の草』に似せて品種改良された殺人植物ということが後からわかった。

「1本だけなら問題がないのだろうが・・・・・・」

 それでも、ダンジョン配信者を狙って殺害するために品種改良されたもの。

 その背後にいる何者かについて想像を膨らませることしかできなかった。

 今は、まだ・・・・・・

 その人物と対峙する日は、意外なほどに早かった。 
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

学年一可愛いS級の美少女の令嬢三姉妹が、何故かやたらと俺の部屋に入り浸ってくる件について

沢田美
恋愛
名門・雄幸高校で目立たず生きる一年生、神谷悠真。 クラスでは影が薄く、青春とは無縁の平凡な日々を送っていた。だがある放課後、街で不良に絡まれていた女子生徒を助けたことで、その日常は一変する。救った相手は、学年一の美少女三姉妹として知られる西園寺家の次女・優里だった。さらに家に帰れば、三姉妹の長女・龍華がなぜか当然のように悠真の部屋に入り浸っている。名門令嬢三姉妹に振り回されながら、静かだったはずの悠真の青春は少しずつ騒がしく揺れ始める。

転生したら世界一の御曹司だった〜巨乳エルフメイド10人と美少女騎士に溺愛されています〜

まさき
青春
異世界転生した最強の金持ち嫡男、 専属エルフメイドと美少女騎士に囲まれて至福のハーレム生活   現代日本で「地味だが実は超大富豪」という特殊な人生を送っていた青年は、ある日事故で命を落とす。   しかし目を覚ますと、そこは魔法と様々な種族が存在する異世界だった。   彼は大陸一の富を誇る名門貴族―― ヴァン・バレンティン家の嫡男カイルとして転生していたのだ。   カイルに与えられたのは ・世界一とも言える圧倒的な財力 ・財力に比例して増大する規格外の魔力   そして何より彼を驚かせたのは――   彼に仕える十人の専属メイド全員が、巨乳美少女だったことである。   献身的なエルフのメイド長リリア。 護衛騎士でありながら隙あらば誘惑してくる女騎士シルヴィア。   さらに個性豊かな巨乳メイドたち。   カイルは持ち前の財力で彼女たちの願いを叶え、最高級の装備や生活を与えていく。   すると彼女たちの忠誠心と愛情はどんどん加速していき――   「カイル様……今日は私が、お世話をさせてください」   領地を狙う貴族を金と魔力で圧倒し、 時にはメイドたちの愛が暴走して甘すぎる時間に巻き込まれながらも、   最強の御曹司カイルは 世界一幸せなハーレムを築いていく。 最後までお読みいただきありがとうございました。よろしければ応援をお願いいたします。

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。 木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。 しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。 そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。 【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

異世界帰りの少年は現実世界で冒険者になる

家高菜
ファンタジー
ある日突然、異世界に勇者として召喚された平凡な中学生の小鳥遊優人。 召喚者は優人を含めた5人の勇者に魔王討伐を依頼してきて、優人たちは魔王討伐を引き受ける。 多くの人々の助けを借り4年の月日を経て魔王討伐を成し遂げた優人たちは、なんとか元の世界に帰還を果たした。 しかし優人が帰還した世界には元々は無かったはずのダンジョンと、ダンジョンを探索するのを生業とする冒険者という職業が存在していた。 何故かダンジョンを探索する冒険者を育成する『冒険者育成学園』に入学することになった優人は、新たな仲間と共に冒険に身を投じるのであった。

魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。

カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。 だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、 ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。 国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。 そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。

処理中です...