VTuberでもできるダンジョン配信!

チョーカ-

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第73話 ダンジョンの隠し通路

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 今、俺は人生の岐路に立っている。 例え話ではない。

 場所はダンジョン。 

 配信を終えての帰り道。 つまり、ダンジョンから外に向かう道。 

 そこで隠されている通路を発見したのだ。

 岐路とは選択肢だ。 これを公開するのか? それとも秘密を独占するのか?

 俺、獅堂ライガの選択は───

「たけプロ4期生、獅堂ライガだ! 今、緊急で動画を回しています!」

 ───そんな事を悩むより、とにかく配信のチャンスだぜ!

「ダンジョンの上層。出入口の付近で地図に書かれていない通路を見つけたぞ」

『え? 未発見の通路?』

『それ、凄いの?』

『すげぇよ! 未知のモンスター……つまり、未知の素材を採取できる可能性があるってわけよ!』

 未知の素材。 ダンジョンで採取できる素材は、特殊な特性を持っていて高額で売買できる……場合もある。

 つまり───

「この通路の情報だけでも高額で取引ができる可能性がある。具体的には、3億円……くらいかな?」

『すげぇ!』

『ダンジョンドリームだ』

『3億!? 散財配信希望!』

「まぁ、こうやって配信で公開してるから、情報の価値はなくなってるけどな」

『えぇぇぇぇ!』

『3億ないなった\(^o^)/』

『金より、取れ高を優先したのかぁ』

 この獅堂ライガは金のために配信をしているわけではないのだ!

 3億円よりも撮れ高を優先するのは当然。 

 おっと、スイカ農業の事は忘れてくれよな? アーカイブは消さないけど。

「まぁ、おかげで同時接続者数が凄い事になったぜ。 ……え? この時間帯で同時接続1位になってないか?」

『本当だ。 同接10万人だ』

『未知の通路発見したなら、当然だけどな』

『同接10万人が当然ってマジ?』

「よし!」と俺は心の中でガッツポーズを決める。

 最近はダンジョン配信もマンネリ化したのか、同時接続者数が減っていた。

 久々の10万人越え。 これは新規さんを増やすチャンスだ!

「それじゃ、隠し通路の奥に進んでいくぞ!」

 未知の通路でしか味わえない緊張感がある。

 どんなモンスターが、どんな罠があるのか分からない。 

 通常攻撃が無効化される特殊なモンスターが出現する可能性もあれば、複雑な謎解きを強制される罠もあり得るだろう。

 油断をすれば、俺だって死ぬ可能性が―――

「足音、呼吸音……奇襲を狙っているモンスターがいる。それも複数だ」

 早速来た。 久しぶりにヒリつくような緊張感。一体、そんなモンスターが俺の前に―――

「GROOOOORGOOOO!!」

 ───と叫び声と共に出現したのはゴブリンだった。

 何か特殊なゴブリンではない。 普通に雑魚として扱われるゴブリンたち……

 そもそも、待ち伏せからの奇襲攻撃を狙っていたはずなのに、どうしてコイツ等は叫びながら攻撃を仕掛けてきたのか?

「……っまぁ、隠し通路と言っても、ここはダンジョン上層部になるから弱いモンスターしか出現しないというわけで」

 俺は、合計で20匹を超える武装したゴブリンたちを瞬殺して、さらに隠し通路の奥に進んだ。

 隠し通路トンネルを抜けると、そこは神殿だった。

 黒い神殿だ。

「どう見ても邪教の神殿だ! ちゃんと左右にガーゴイルの石像あるぞ」

 このガーゴイルたち……中に入ろうとすると動き出さないよな?

 警戒しながら、扉を開く。 すると、ぬめりとした空気が外に流れで来る。

 中から異臭がする。埃臭さと……

「なんだ、この臭いは…… 植物の臭いか?」  

 俺は足を踏み入れた。 邪教の神殿───ヤバそうなモンスターが出現しそうだが、果たして?

 だが、いつまで待ってもモンスターが出現する様子もない。

 このままじゃ、ただの廃墟観光ツアーにならないか?

「しかし、妙だよな。 ダンジョンが出現して25年……この神殿だって人間が作ったかのようにしか見えないけど……」

 人の出入りが激しいダンジョン上層。 隠れながら神殿を作れるものか?

 作った連中はどこからやってきて、どこに消えた。 それよりも───

「どう考えて、建設されて25年以上は経過してる。廃墟になってる劣化具合も不自然だ」

 ダンジョンの謎。 明らかに人間が作った建造物があるが……人が作ったには矛盾が生じる。

 そんな場所がたくさんある。 まぁ、疑問を考えても、俺には答えを導く事はできないわけだが……

 神殿の奥。

 聖壇───儀式などで使われる台──それを囲むように草が生えていた。

 神殿の中でありながら、その周辺だけが野原のようだった。

 「なんだ、この草…… 普通の草じゃないぞ?」

 銀色の花が咲いている草。 薄く光りを灯している。

 どうやら、全ての草が同じ種類のようだ。

 俺は、自分の脳に眠っている知識を無理やり引き出した。

「思い出したぜ。神酒《ソーマ》……神秘の秘薬と言われる液体。その材料である草が、これと同じ特徴を持っているんだ」

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