VTuberでもできるダンジョン配信!

チョーカ-

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第75話 既視感の通路

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 デジャヴ。



 フランスの言葉で『すでに経験した感覚』という意味の言葉だ。



 日本語にしたら既視感きしかんとなる。



「妙だなぁ……」と俺、獅堂ライガはデジャヴを感じている。



 ダンジョンで配信を終えた帰り道。 俺はダンジョン上層部で隠し通路を発見した。



「これを公開すべきか…… それとも秘密にして、独占すべきか……」



 いや、俺はVTuberだ。 こんな話題性の高そうな状況なら、迷わず配信をするべきだ。



「たけプロ4期生、獅堂ライガだ! 今、緊急で動画を回しています!」 



 俺は配信を開始した。 普段なら、滅多にやらない緊急配信に視聴者の集まりは良い。



『どうした、どうした?』



『配信終わったばかりに二回行動? 珍しいね』



『言うほど珍しいか? ちょっと前に同じ事なかったけ?』



『↑ねぇよ アーカイブ確認してみろ』



 いつものように流れていくコメント。 途中、妙に気になるコメントもあった気がする。



「ここはダンジョンの上層部だぜ! 実は……出入口の付近で地図に書かれていない通路を見つけたぞ」



『マジか!』



『すげぇ、本当に未確認なら3億だろ?』



『公開したら、価値がなくなる……はず』



 なんだろ? コメントの歯切れが悪い気がある。



 俺は隠し通路に入り、少し進んだ。



 しかし、拭いきれない違和感。 俺は足を止めた。



「えっと……妙な事を聞くけど、過去に同じような配信を見た事ある奴いる?」



 俺はYouTubeのアンケート機能を使ってみた。 



 その結果─── 



 はい 65%



 いいえ 35%



 10万人の65%。単純計算で6万人以上……



 もちろん、視聴者の全員がアンケートに参加しているわけではないと思うが……



 それでも、数万人の人数が俺の配信で既視感を持っている。



 十分に異常事態だ。 視聴者たちも気づき始める。



『やっぱり、おかしいよな!』



『正直、同じ配信を見た気がしたんだ。それも昨日!』



『やっぱり! 俺も変な感じがしたんだ』



「……もしかしら、既に俺は何らかの攻撃を受けている可能性があるぜ」



 俺は振り返り、来た道を戻る。



 だが───



「……今、俺は通路から外に出た。 そのはずだよな?」



 そこは通路の外ではなかった。 俺が立っている場所は通路の中。



 まるで数秒だけ時が巻き戻ったかのように───



 まるで強制的に瞬間移動させられたかのように───



 通路の外に出れず、通路の中に戻っていた。



「どういうことだ、これ?」と俺は拾い上げた石を出口に向けて投げた。



 だが、通路出口の直前に石は消えた。 そして、消えた石は───



「痛っ! 投げた俺に石が戻ってきた!」



 石は俺の背後から出現して、背中に直撃した。



「空間が捻れてる? 結界系の魔法か?」



 俺が出口に向かって進むと、今立っている位置に戻される。



 通路がループしている? いや、そんな事よりも─── 



『誰かがライガの配信を妨害してるんだ!』



『この結界を作ってるヤツがデジャヴを起こしてるって……コト!?』



 ───と視聴者たちも気づいたようだ。



 結界魔法が使われている。 誰か、何者かが俺を閉じ込めている。



 いや、閉じ込めているっての正確ではないか。



「今のところ、通路がループしているのは出口方向だけだ……前に向かうとどうなる?」



 俺は駆け出した。 



 前方に人の気配を感じたからだ。 ここで現れる人物がいるとしたら、明らかに敵。



 俺は一撃を与えるために、さらに加速─── だが、思わず足を止めた。

 

 なぜなら、場違いなピエロがいたからだ。 大きな鎌をもったピエロ……



「そんだそりゃ? 夢の世界に閉じ込められた系の映画で出て来る怪物か?」



 だが、そのピエロと意思の疎通は可能だった。



「ひょっひょっ……」と最初はわからなかったが、どうやらピエロの笑い声らしい。



「何者だ? お前が俺を閉じ込めているのか?」



「ひょっ、ひょっ……その通りでございます。 私はマダラ。 マダラ・ゾーアと申します」



「それで、マダラさんとやらは、なんで俺を閉じ込めている?」



「なぜ? わかりませんかね。私は───」  



 ピエロのマダラは鎌を握る手に力を込めた。 



 攻撃の予備動作。それを見逃すような俺ではない。



「ひょっ!」とマダラは驚いただろう。 自分の武器である鎌を俺に掴まれ───



 ぼきっ! と破壊されると夢にも思わなかったのだろう。



「お前、敵だろ? 敵と対峙して油断し過ぎじゃないか?」



 俺は、素早く拳を叩き込んだ。



「ひゃわわわ……」とマダラは意味の分からない声を出して、吹き飛んで行った。



「しまった。手加減をする事を忘れていた」

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