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第80話 『V祭り』開催!
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『V祭り』
音が聞こえて来る。
ドラムがリズムを刻む。その名前の通り、ベースは音楽の土台を生み出していく。
ご機嫌な重低音《サブウーファー》が響く。だが、それは長くは続かない。
重低音を切り裂くように鋭いギターが通り抜けて行った。
嗚呼……ロックだ。 演奏は『オレンジナイト』の3人。
そして、主役は最後にと言わんばかりにボーカル────雷刃が登場した。
ギターをかき鳴らす不知火さんに背中を預けるようにシャウトを放った。
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
───というわけで『V祭り』のオープニングは『オレンジナイト』のライヴによって幕を開けた。
「はい! 『V祭り』開始です!」
実況の不知火さんが開始の宣言をした。
「オープニングは私、不知火がリーダーを勤めさせていただいている『オレナイ』がやらせていただきました!」
不知火さんは『V祭り』が配信されている公式チャンネルでの実況を行う。
VTuberや配信者限定の大会のように、公式配信以外にも、参加者は自分のチャンネルでの個別配信も許可されている。
ちなみに俺はと言うと───
「素晴らしい演奏だったぜ。解説は、たけプロ4期生獅堂ライガが担当するぜ!」
───公式チャンネルでの仕事が決まっていた。
結局『V祭り』って何をするのか? そんな疑問があるだろうが、これから実況の不知火さんが説明してくれるぜ。
「競技内容は3つです! それぞれ───
競争《マラソン》 ───指定されたダンジョンの道順を走って、順番を競う。
狩猟《ハント》───運営が捕獲したモンスターを戦い。その様子を採点する競技。
決闘《バトル》───文字通り、1対1のバトル。なお安全面は配慮されている。
───参加者には、この3部門のどれか1つに挑戦していただきます!」
どれも、ダンジョン配信者として技量を測る競技として作られている。
けど、それだけだと強い人間が参加する大会。
あくまでこれは『V祭り』だ。 誰でも気楽に参加できるように工夫をさせてもらった。
「今回は参加者を『初心者《ビギナー》』と『達人《マスター》』と2種類に分けています」
『初心者』と『達人』
今回は初開催という事で、俺が面接内容(例のブレイキングダウンの事だ)で、参加者を区分させてもらった。
~~~ ~~~ ~~~ ~~~ ~~~ ~~~ ~~~ ~~~ ~~~ ~~~ ~~~ ~~~
「なんで私が競争《マラソン》じゃなくて狩猟《ハント》の参加なの!!!」
初心者の部門。狩猟の第一試合で参加者は泣いていた。
参加者は野町オルネ。 俺の同期であった。
「えっと、オルネ。言い難いけど、公式配信が撮影中だ。マイクが入ってるぞ」
「え? ライガ? 私の声……配信されてる???」
「うん」
「……うぅ、うわぁん! やっぱり、止める!!!」
「待て待て! 棄権するな!」
ちなみに、オルネは公式配信以外にも自分の配信を開始している。
彼女のコメント欄を見ると───
『よしよし、うんうん、そうだね!』
『オルネちゃんは頑張った!』
『絶対、大丈夫だから! 泣かないで!』
めっちゃ、甘やかされてる!
しかも、視聴者の名前を確認すると俺の配信の常連たちじゃねぇか!
俺の知らない所で、何やってんだ? みんな?
僅かなタイムラグがあって、コメントの質が変化する。
『ライガもよう見とる!』
『ライ×オル、尊い!』
『はぁはぁ、俺の4期生がてぇてぇよ!』
うん、何かヤベェやつもいたぞ。 見なかった事にしておこう。
さて───
「これは競技前のインタビューなのだが……意気込みをどうぞ!」
「うぅ……絶対優勝するので、視聴者たちは応援してください」
「意外なほど、やる気があるコメント!?!?」
優勝宣言。 お前の度胸とそのメンタル、見合ってないぞ!
「まぁ大丈夫だから、頑張って」
「え!? もうちょっと話を───」
と言うわけで、スタジオに音声が戻って来た。
「えっと、野町オルネさん……ライガくんの同期なんだよね? なんだか、冷たすぎない?」
不知火さんは俺たちのやり取りを苦笑していた。
「この日まで、俺が指導《コーチング》してきましたからね。大丈夫ってのは応援じゃなくて、彼女の実力に対しての正統な評価ですよ」
「おぉ、それじゃ彼女が『初心者』の部門で優勝候補ですね」
「ん? え? それは言い過ぎかな?」
こうして、彼女─── 野町オルネの挑戦がはじまった。
音が聞こえて来る。
ドラムがリズムを刻む。その名前の通り、ベースは音楽の土台を生み出していく。
ご機嫌な重低音《サブウーファー》が響く。だが、それは長くは続かない。
重低音を切り裂くように鋭いギターが通り抜けて行った。
嗚呼……ロックだ。 演奏は『オレンジナイト』の3人。
そして、主役は最後にと言わんばかりにボーカル────雷刃が登場した。
ギターをかき鳴らす不知火さんに背中を預けるようにシャウトを放った。
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
───というわけで『V祭り』のオープニングは『オレンジナイト』のライヴによって幕を開けた。
「はい! 『V祭り』開始です!」
実況の不知火さんが開始の宣言をした。
「オープニングは私、不知火がリーダーを勤めさせていただいている『オレナイ』がやらせていただきました!」
不知火さんは『V祭り』が配信されている公式チャンネルでの実況を行う。
VTuberや配信者限定の大会のように、公式配信以外にも、参加者は自分のチャンネルでの個別配信も許可されている。
ちなみに俺はと言うと───
「素晴らしい演奏だったぜ。解説は、たけプロ4期生獅堂ライガが担当するぜ!」
───公式チャンネルでの仕事が決まっていた。
結局『V祭り』って何をするのか? そんな疑問があるだろうが、これから実況の不知火さんが説明してくれるぜ。
「競技内容は3つです! それぞれ───
競争《マラソン》 ───指定されたダンジョンの道順を走って、順番を競う。
狩猟《ハント》───運営が捕獲したモンスターを戦い。その様子を採点する競技。
決闘《バトル》───文字通り、1対1のバトル。なお安全面は配慮されている。
───参加者には、この3部門のどれか1つに挑戦していただきます!」
どれも、ダンジョン配信者として技量を測る競技として作られている。
けど、それだけだと強い人間が参加する大会。
あくまでこれは『V祭り』だ。 誰でも気楽に参加できるように工夫をさせてもらった。
「今回は参加者を『初心者《ビギナー》』と『達人《マスター》』と2種類に分けています」
『初心者』と『達人』
今回は初開催という事で、俺が面接内容(例のブレイキングダウンの事だ)で、参加者を区分させてもらった。
~~~ ~~~ ~~~ ~~~ ~~~ ~~~ ~~~ ~~~ ~~~ ~~~ ~~~ ~~~
「なんで私が競争《マラソン》じゃなくて狩猟《ハント》の参加なの!!!」
初心者の部門。狩猟の第一試合で参加者は泣いていた。
参加者は野町オルネ。 俺の同期であった。
「えっと、オルネ。言い難いけど、公式配信が撮影中だ。マイクが入ってるぞ」
「え? ライガ? 私の声……配信されてる???」
「うん」
「……うぅ、うわぁん! やっぱり、止める!!!」
「待て待て! 棄権するな!」
ちなみに、オルネは公式配信以外にも自分の配信を開始している。
彼女のコメント欄を見ると───
『よしよし、うんうん、そうだね!』
『オルネちゃんは頑張った!』
『絶対、大丈夫だから! 泣かないで!』
めっちゃ、甘やかされてる!
しかも、視聴者の名前を確認すると俺の配信の常連たちじゃねぇか!
俺の知らない所で、何やってんだ? みんな?
僅かなタイムラグがあって、コメントの質が変化する。
『ライガもよう見とる!』
『ライ×オル、尊い!』
『はぁはぁ、俺の4期生がてぇてぇよ!』
うん、何かヤベェやつもいたぞ。 見なかった事にしておこう。
さて───
「これは競技前のインタビューなのだが……意気込みをどうぞ!」
「うぅ……絶対優勝するので、視聴者たちは応援してください」
「意外なほど、やる気があるコメント!?!?」
優勝宣言。 お前の度胸とそのメンタル、見合ってないぞ!
「まぁ大丈夫だから、頑張って」
「え!? もうちょっと話を───」
と言うわけで、スタジオに音声が戻って来た。
「えっと、野町オルネさん……ライガくんの同期なんだよね? なんだか、冷たすぎない?」
不知火さんは俺たちのやり取りを苦笑していた。
「この日まで、俺が指導《コーチング》してきましたからね。大丈夫ってのは応援じゃなくて、彼女の実力に対しての正統な評価ですよ」
「おぉ、それじゃ彼女が『初心者』の部門で優勝候補ですね」
「ん? え? それは言い過ぎかな?」
こうして、彼女─── 野町オルネの挑戦がはじまった。
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