VTuberでもできるダンジョン配信!

チョーカ-

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第105話 2035年 月面への旅???

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 今日も1日、ダンジョン配信をして飯を作った。

 うん! 安定したチャンネル登録者の伸び。 同時接続者数も増えている。

「それじゃ、また見てくれよな! おつライガ!」

『おつライガ』

『おつライガ!』

『乙~』

 そんな感じで、配信を閉じたタイミングだった。

 まるで狙ったかのように、緊急事態を告げる音がスマホとドローンから鳴り出した。

「おぉ、びっくりした! これは……救難信号か?」

 凶悪なモンスターが歩き回るダンジョン内。 人工的な音が鳴るのはタブーだ。

 そりゃそうだろ? 危険なモンスターを隠れてやり過ごそうとしている最中に音がなったら……

 例外的に許されているのは、この緊急信号だ。 

 危険な状態に陥った者が最後の手段として、近くにいる人間に助けを求める。

「さて……それじゃ助けに行くとするか」

 ちなみに、ダンジョン配信者が緊急信号を無視する事は許されない。

 ダンジョンは、治外法権ではあるが───唯一の法律があるとしたら、助けを求める者を無視する事だ。

 ・・・

 ・・・・・・

 ・・・・・・・・・・

「血の臭い……人間の血だ。 どこかに隠れているのか?」

 ここは崖の下。 剥き出しの岩肌が続いている。 

「姿を隠すには、良い場所ではあるが……さて? どこにいる?」

 救難者の位置くらいGPSでわかるようにして欲しいのだが……

 岩に亀裂が入っている場所。 人間くらいのサイズなら入れそうだ。

 確認していくと、血の跡が見つかった。 

 おそらく、ここに隠れているのだろう。 岩と岩の間に向かって───

「誰かいるか!」 

 中で何かが動いた。 

 だが、油断したらいけない。もしかしたら、モンスターかもしれないのだから……

「ここだ。助けてくれ」

 俺は亀裂の中に入った。 すぐに救難者は見つかった。

 意外な事に救難者は複数人……3人組だった。 日本人じゃないのか?

「私はテレンス・サン。我々はアメリカから来ました」

 サンさんは、日系人なのだろう。黒目黒髪......流暢な日本語だ。

「女性がジェシー。こっちはトーマスだ。申し訳ないが治療キットはあるかい?」

 女性、ジェシーは衰弱している様子。それよりも────

「怪我をしているのか?」

 トーマスと言われた大柄な欧米人(?)はうつ伏せに寝かされている。

 その背中には、大きな傷───  

「我々はモンスターに襲われ、彼は背中を爪で……」とサンさんは説明してくれた。

「うぅ……うっ…」とトーマスさんの顔は見えないが、呻き声を漏らしている。

 意識も混濁しているのだろう。 

「俺は治療キットは持っていない。だが───失礼。あなたのポケットの中身がソレなのでは?」

 俺はジェシーのポケットを差した。

「え!? いえ、私は……違う。違います!」

 激しく動揺。 彼女が何を隠しているのか、一目瞭然だ。

「ジェシー! 君は……本当に!」とサンさんが問い詰め出す。

「まぁまぁ、落ち着いて。間違いや勘違いは誰にでもある。こんな極限状態ならなおさら……ってやつだ」

 こんな状態に人間関係がギスギスになるのは勘弁してほしい。

 とりあえず、収納空間を発動させて、中から小瓶を取り出した。

「これを傷口にかけて、余った分はみんなで飲んでくれ」

「こ、これは?」

「超がつく上質なポーションだぜ。胴体が千切れても有効だ」

「そ、そんな物が……あなたは一体?」

「そんな事より、今のは───まさか、収納空間! 世界でも5人の保有者しか観測されていないはずの超レアスキル!」

 ん!? ん??? さっきまで激しく動揺していたはずのジェシーが、俺のスキルに食いついてきたぞ!

「そんなに希少スキルだったのか? 収納空間が?」

 俺の知り合いでも、4~5人は使える奴がいたけどな。 みんな、登録とか面倒で申し出てないだけじゃ…… いや、俺もスキルの全部をダンジョン庁で登録してないけど!

「これは、いざと言う時にセーフティハウスとして使えますか? 例えば深海だったり……宇宙では?」

「ジェシー! 落ち着きなさい! 初対面の人間にスキルを聞くのはマナー違反だ」

「おぉ、ソーリー! ソーリー! 私とした事が、それじゃポーションをトーマスに使うわ」

「……」と俺は違和感を覚えた。 

 なんだろ? さっきまで、重要な治療キットを隠して揉めそうだったはずなのに…… まるで、そんな事はなかったように2人は振る舞っている。

 まるで、お芝居でも見せられているような違和感があった。

「助かりました。トーマスの傷が塞がっている。呼吸も安定してきた」

「そうですか、役に立てて良かった……」

 チラッと見えたトーマスの怪我。 モンスターの爪で斬られたと言うには妙に鋭利な傷跡で─── まるで、日本刀で斬られたかのように見えた。

「もう少し回復したら、地上に向けて脱出しましょう」

「え?」と俺は驚いた。 ここは、本格的な救助隊を待った方が……

「大丈夫です。トーマスやジェシーも同じ意見です。一晩様子を見て、脱出しましょう」

「そうですか……わかりました」と俺は頷く事にした。 

 多数決には反対しない。複数人でダンジョンで挑む時の鉄則だ。

 明日の脱出に向けて、早めに眠る…… ダンジョンには朝と夜がない階層がある。

 ここには、夜は訪れない。 

 ただし、岩の亀裂の中。光は閉ざされ、睡眠を邪魔をしない。

 意識レベルを落として、安眠に───

 だが、誰かが動き出した。 そのまま亀裂の外に出て行った。

 おいおい、危険過ぎるだろ。 俺は後を追いかける事も考えたが……

「いや、周囲にモンスターはいない。いざと言う時のために聴力を強化させて───」
    
 だが、俺の耳に聞こえてきたのは、何かの電子器具を使って誰かと会話する声。

 この声は……サンさんか。 しかし、妙だな。 トランシーバーか、何かがあるなら、最初からそれで外部に救難要請を───

『あぁ、こちらは計画通りだ。 間違っても俺を殺すんじゃないぞ』

 英語訛りがあったサンさんとは思えない日本語。 それもドスが効いた荒々しい語彙力。

……一体、彼は何者で、一体、俺は何に巻き込まれているんだ?
 
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