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チョーカ-

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第119話 ダンジョンの雪山階層 その2

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「う~ん」と俺は倒したばかりのモンスター 『ホワイトベアロード』を背負って運ぶ。

 周囲は吹雪だ。 衣服が凍り付く。 

「俺の記憶だったら、ここら辺に小屋があったはずだけどなぁ」

 だが、見渡す限りの銀世界。 もしも、小屋があっても見逃すかもしれない。

 どうしたものか? ちょっと視聴者の様子を確認するためにコメント欄を見ると───

『その熊、収納空間に入れたら?』

 うん、それはそうだ。 俺は『収納空間』を発動させて、熊肉を仕舞った。

 これで両手は自由になった。 ついでに地図を取り出して広げる。

「うん! わからないわ!」

 周囲に目印もなし。 どうやら、本当に迷子になったみたいだ。
 
『迷子なんて可愛いもんじゃないわ』

『遭難と認めろ!』

『良いから緊急避難をしろ』

「みんな、大げさだなぁ。大丈夫、大丈夫!」

 その気になれば、この雪山を炎魔法で吹き飛ばしてやればいい。

 ついでに吹雪も風魔法で切り裂いてやれば───

 そんな事を考えている途中だった。

「ほら! 見つけた。 あれが目的の小屋だぜ!」

 丸太と組んで作られた小屋があった。 さっきまでなかった気もしたが─── たぶん、こんなに近くにあっても、吹雪で見えなかっただけだろう。

 うん、きっと遭難者をおびき寄せる系の罠でもない……はず!

「こんにちわ! お邪魔します!」と元気に扉を蹴り開けた。

 中には誰もいなかった。 

「妙だな……さっきまで何かの気配があった気がしたけど?」

『おいおい雪山怪談は勘弁してよな』

『急にホラーするじゃん』

『まだ安心するのは早い』

 うちの視聴者は心配性だなぁ。  安心させるために室内を案内するかぁ!

「えっと、丸太小屋の中です。 ご覧の通り、石造りの暖炉があります!」

 室内の奥。目立つように暖炉があり、薪も用意されている。

「うん、薪を入れて……火魔法を点火!」

 おぉ、暖炉助かる! いくら俺でも、雪で濡れた衣服は寒すぎる。

 配信中だから、ここで全裸になって衣服を乾かすわけにはいかないが……まぁ、この前に陣取っていれば服も乾くだろう。

「ちょっと休憩。 ふぅ~ 本当なら、ここで料理ができたら良いけどな!」

 軽く見たが、かまどやキッチンはない。 食料も保存食があるだけ……

「大がかりな料理は無理そうだな。 やっぱりジビエ料理は、吹雪がやり過ごして、外でやるかぁ!」

 ついでに寝室をチェック! 二段ベットが幾つかある。

 布団代わりに毛皮が備え付けられていた。 絶対、洗濯してないだろ!

「仕方がないなぁ」と俺は『収納空間』から寝袋を取り出した。

 ついでに、ベットの下にはマットを引く。

「これで衛生面は大丈夫なはず! 次に行ってみよう!」 
  
 寝室を出る。 あれ? 違和感がある。

 メインルーム。 そこに簡素な木製のベンチやテーブルはあった。

 それには気づいていたが───

「あれ? 食器やコップ……さっきもあった?」

 このまま、食べ残し、飲み残しでもあったら、ホラーではあるが……

 新品に見える食器が並んでいる。 なんだろ? 違和感の正体は?

 1つのコメントが目に止まった。

『おかしくねぇ? 人の気配がないのに……新品の食器だけがあるなんて……』

 おやおや、本格的なホラー展開かな?

 人が立ち寄らないダンジョンの雪山階層。 そこの丸太小屋に、新品の食器が並べられている。

「なるほど、なるほど……ここで怪人に襲われるパターンのやつね!」

 吹雪の音が壁を通して轟々《ゴーゴー》と聞こえる。隙間風でひんやりとした冷気が混ざってくる。 

 灯りは、ランタンと暖炉の火。 人影をゆらゆらと揺らしている。

「雰囲気は抜群だな。 そろそろ、俺の背後に怪人───ん!?」

 視聴者たちが、コメント欄で同じ言葉を書き込んでいた。

『いま、何か後ろに!』

『ライガ、うしろ!』

『後ろ、後ろ!』

『後ろだってばよぉ!』

 え? みんな俺を驚かせようとしている? それにしては、ずいぶんと統率力があって────

 俺は振り向いた。

 今まで気配なんてものはなかった。 なかったはずなのに───

 黒いサンタがいた。 黒いサンタが、持っていた袋を俺に向かって振り回して来た。

 白い袋……あれは武器だ。 遠心力と重量が加わって、破壊力が増していて───

 俺に攻撃してきた。

「うおぉ! ブラックジャックかよ!」 

 一撃を避ける。 背後にあったテーブルが砕け散る。

「くっ! この野郎が!」と反撃に向かう。 黒いサンタに拳を叩き込んでやると───

「き、消えた?」

 黒いサンタは、目前から消え失せていた。  
 
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