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第121話 ダンジョンの雪山階層 その4
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ダンジョンは、人の記憶や心を学習している。
人為的に見せかけ、ダンジョンが生み出した物が出現する事があるからだ。
たとえば―――石台に刺さった剣。
たとえば―――廃墟の椅子に置かれた黒い王冠。
たとえば―――地下に隠された青白く輝く魔法陣。
何か意味ありげに置かれた道具《アイテム》。 しかし、自分よりも前に人間がいたはずのない場所に置かれていたりする。
意味ありげ……意味はあるのだ。 それを手に取った時、異変が、異常が起きる。
ダンジョン配信者&探索者たちは、それをイベント開始と言う。
その中で、一番厄介なのは――――
『超特殊《イベントボス》モンスター』
―――それはダンジョンが生み出す悪夢だ。
通常の攻撃を無効化するモンスター。
ダンジョンから無限に等しい魔力が供給され、時空すら歪めている。
だから……無敵。
「まぁ、無敵って言っても倒し方はないわけじゃないけど……真っ向からの殴り合いで倒すのは難しいだよな」
けど、コメントでは――――
『イベントボスを普通に倒すな!』
『無敵……とは?』
『イベントと和解せよ』
さて……俺はイベント攻略のヒントになるノートに目を動かした。
「内容は子供の日記。11月からか……あれ? 小学校や中学の冬休みって何月から?」
『12』
『12』
『12月末』
『クリスマスからだよ』
「……だよなぁ。でも、これ11月中盤から冬休みって書かれているんだよな」
たまにある。
ダンジョンは人間の記憶と心を読んでいるだけなので、人間ではあり得ないミスや間違いをする事。
サービス開始直後の対話型生成AIみたいな暴走。
「これ、不思議だけど……次に来た時は日付が修正されてたりするんだよな」
そう思って、油断していたら間違いが重要なヒントになっていたりする。
ミステリで言えば、信用ができない語り部ってやつなんだろうが……
正直、いい加減してもらいたい。
さて、それじゃ肝心の日記の方を読んで行こう。
~~~ ~~~ ~~~ ~~~ ~~~ ~~~ ~~~ ~~~ ~~~
~~~ ~~~ ~~~
11月15日
冬休みだ。 ぼくはお父さんに連れられて別荘に来た。
なぜか、母さんは家でお留守番だ。 どうして今年だけ来ないのかな?
11月16日
雪。寒い!
お父さんは、大自然でぼくを鍛えるための修行だって言う。
そのために自分のことは自分でやる。
料理に洗濯に掃除。大変だぁ!
11月17日
ゲームはしても良いけど、テレビは見たらダメなんだってさ!
変なの!
11月18日
電話があった。それから、お父さんの様子がおかしい。
戸締りをしっかりしなさいだってさ!
いつもは、こんな所に誰もこないって言ってるのに
11月19日
お父さん、寝てない。食事も食べなくなってきた。
11月20日
もう帰りたい
~~~ ~~~ ~~~ ~~~ ~~~ ~~~ ~~~ ~~~ ~~~ ~~~ ~~~ ~~~ ~~~ ~~~
赤いページは、この部分だけ。 他のページは何が書いてあるのかわからなかった。
さて───
「この文書から読み取れる作者の考えを延べよ!」
『寂しい!』
『父親の異変!』
『恐怖展開の前に日常描写で助走をいれたい!』
「なるほど、なるほど……」と俺はコメントと日記を比べてみた。
「ある親子の物語。父親は子供を連れて、ここに隠れていただけだな」
まぁ、ここを別荘って言うには無理がある丸太小屋ではある。
そこら辺は、設定の問題なのだろう。
「う~ん、子供にテレビを見せない。父親が犯罪をした? いや、それじゃ黒サンタの存在に繋がらないか?」
やっぱり、何かから逃げなきゃいけなかったわけか?
「まだヒントを探さないといけないのかな? そろそろ、推理タイムも終わりそうだな」
俺の背後に、何かがいる。 黒いサンタが再び攻撃を再開してきた。
人為的に見せかけ、ダンジョンが生み出した物が出現する事があるからだ。
たとえば―――石台に刺さった剣。
たとえば―――廃墟の椅子に置かれた黒い王冠。
たとえば―――地下に隠された青白く輝く魔法陣。
何か意味ありげに置かれた道具《アイテム》。 しかし、自分よりも前に人間がいたはずのない場所に置かれていたりする。
意味ありげ……意味はあるのだ。 それを手に取った時、異変が、異常が起きる。
ダンジョン配信者&探索者たちは、それをイベント開始と言う。
その中で、一番厄介なのは――――
『超特殊《イベントボス》モンスター』
―――それはダンジョンが生み出す悪夢だ。
通常の攻撃を無効化するモンスター。
ダンジョンから無限に等しい魔力が供給され、時空すら歪めている。
だから……無敵。
「まぁ、無敵って言っても倒し方はないわけじゃないけど……真っ向からの殴り合いで倒すのは難しいだよな」
けど、コメントでは――――
『イベントボスを普通に倒すな!』
『無敵……とは?』
『イベントと和解せよ』
さて……俺はイベント攻略のヒントになるノートに目を動かした。
「内容は子供の日記。11月からか……あれ? 小学校や中学の冬休みって何月から?」
『12』
『12』
『12月末』
『クリスマスからだよ』
「……だよなぁ。でも、これ11月中盤から冬休みって書かれているんだよな」
たまにある。
ダンジョンは人間の記憶と心を読んでいるだけなので、人間ではあり得ないミスや間違いをする事。
サービス開始直後の対話型生成AIみたいな暴走。
「これ、不思議だけど……次に来た時は日付が修正されてたりするんだよな」
そう思って、油断していたら間違いが重要なヒントになっていたりする。
ミステリで言えば、信用ができない語り部ってやつなんだろうが……
正直、いい加減してもらいたい。
さて、それじゃ肝心の日記の方を読んで行こう。
~~~ ~~~ ~~~ ~~~ ~~~ ~~~ ~~~ ~~~ ~~~
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11月15日
冬休みだ。 ぼくはお父さんに連れられて別荘に来た。
なぜか、母さんは家でお留守番だ。 どうして今年だけ来ないのかな?
11月16日
雪。寒い!
お父さんは、大自然でぼくを鍛えるための修行だって言う。
そのために自分のことは自分でやる。
料理に洗濯に掃除。大変だぁ!
11月17日
ゲームはしても良いけど、テレビは見たらダメなんだってさ!
変なの!
11月18日
電話があった。それから、お父さんの様子がおかしい。
戸締りをしっかりしなさいだってさ!
いつもは、こんな所に誰もこないって言ってるのに
11月19日
お父さん、寝てない。食事も食べなくなってきた。
11月20日
もう帰りたい
~~~ ~~~ ~~~ ~~~ ~~~ ~~~ ~~~ ~~~ ~~~ ~~~ ~~~ ~~~ ~~~ ~~~
赤いページは、この部分だけ。 他のページは何が書いてあるのかわからなかった。
さて───
「この文書から読み取れる作者の考えを延べよ!」
『寂しい!』
『父親の異変!』
『恐怖展開の前に日常描写で助走をいれたい!』
「なるほど、なるほど……」と俺はコメントと日記を比べてみた。
「ある親子の物語。父親は子供を連れて、ここに隠れていただけだな」
まぁ、ここを別荘って言うには無理がある丸太小屋ではある。
そこら辺は、設定の問題なのだろう。
「う~ん、子供にテレビを見せない。父親が犯罪をした? いや、それじゃ黒サンタの存在に繋がらないか?」
やっぱり、何かから逃げなきゃいけなかったわけか?
「まだヒントを探さないといけないのかな? そろそろ、推理タイムも終わりそうだな」
俺の背後に、何かがいる。 黒いサンタが再び攻撃を再開してきた。
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