『購入無双』 復讐を誓う底辺冒険者は、やがてこの世界の邪悪なる王になる

チョーカ-

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 現れた勇者

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 迷宮を進むジェル一行。順調であったが────

 突然、通路から飛び出してきたのは小さな影。 間違いなく魔物。

「……」と追撃に出ていく暗殺者。 それに魔術師も「……」と支援するため杖を構える。

 しかし、それに執事が「まて!」と止める。

 飛び出してきた小さな魔物の正体は、ゴブリンだった。それも、普通のゴブリンではない。

「……赤い目のゴブリン。特別魔物!」

 執事は、様子をうかがうように────それでいて、どこか怯えたようにジェルを見た。

 ジェルはうつむき、表情までは見えない。

「……どうかしたのか?」

 そういう彼の声は、暗い感じが……

「ジェルさま、捕縛いたしましょうか?
実験に使えば、成果も期待できるかと」

「いや、構わん。やらぬのなら俺自らが……」

 ジェルはゴブリンに向かって手をかざす。それから────魔力を集めた。

「ファイアボール」

 巨大な火球。とてもゴブリン相手に放つには過剰な攻撃魔法。それを放った。

 轟音と余波が周囲に広がった。

「どうした? まだ、ゴブリンは他にもいるみたいだぞ」

 その声で呆けていた執事は、正気を取り戻す。

「は、仰せのままに……いけ。暗殺者、魔術師!」

 命令を下すと、素早く暗殺者と魔術師はゴブリンの排除に動いた。素早く、全ての魔物を倒す。

「お手数をおかけしました」と膝をつき、頭を下げる執事。 それに暗殺者と魔術師も並ぶ。

「……いや、構わぬさ。そんなことよりも、新手が近づいてきている」

 そのジェルの言葉に頭を上げた執事は暗殺者の方を向いた。 だが、暗殺者は無反応。

 しかし、だからといってジェルの間違いと判断することはできない。ならば────

「敵は暗殺者の気配察知を掻い潜るほどの凄腕でしょうか?」

「うむ……どうやら、懐かしい奴が来るようだ」

「やつ? それは一体、何者が……」

 執事は最後まで言えなかった。 なぜなら、突然の爆破音が言葉を遮ったからだ。

 爆破音。 それは迷宮の壁を爆破して崩した音。

 モクモクと土煙が立ち昇り、立ってる男の姿を隠している。

「何者か? 決まっているさ。ここに、迷宮に俺がいるならば、対峙する男は1人だけだ」

「――――」と男は土煙を掻き消すため、剣を振るった。

 煌めきの光。その場に剣筋が残る。

 そして、姿を現した者にジェルは、

「久しいな、レオ……レオ・ライオンハート!」

 対する、レオは「――――」と無言でジェルを睨む。

 手にしている剣は、勇者の聖剣。 それをジェルに向ける。

「だが、ここで俺を倒すつもりなら、その考えは甘いぞ」

 ジェルを庇うように執事が、そして暗殺者と魔術師が前に出た。

「この3人を倒せるものなら、倒した後に俺を追ってこい」

 レオに背中を見せたジェルは、歩き出す。

「――――待て、ジェル・クロウ!」

 駆け出そうとするレオを執事が止める。

「そう簡単に行かせませんよ、それにここでジェルさまの怨敵を滅ぼす最大のチャンスです」

「退け、何者か知らないがお前では俺を止められない」

 それだけ、それだけだったはず。

 レオは、言葉を発したのみ。他者には知覚できぬ速度で攻撃を――――すでに終えていた。

 ゴトッと不吉な音がして執事は気づいた。

 自分の首が斬り落とされたことを――――

「弱い。足止めにもならな――――」

「おっと、レオ。ソイツを甘くみるなよ」

 離れていくジェルが振り返らずに言った。それから、こう続けた。

「ソイツは、そこからが強い」

 
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