追放女騎士 地上最強の料理人と旅をする(宗教上の理由で追放されました)

チョーカ-

文字の大きさ
31 / 32

第31話  『勇者スキル』

しおりを挟む
『勇者スキル』

 初代勇者が持っていた力──── それをアーサーは発動しているのだ。

 勇者スキル その①

 『再動覚醒』

 打ち破れた相手との再戦時に、勇者の力が覚醒され、勇者スキルが発動可能になる。

 一度使用された勇者スキルは、常時使用可能になる。 

 勇者スキル その② 

 『不屈精神』

 戦闘不能になった時に発動するスキル。 

 肉体が強化され、戦闘能力が大幅に増加。どのような状態でも戦闘継続が可能となる。

 勇者スキル その③

 『神技昇華』

 戦闘スタイルを変えた時、新しい武器を使用する時、瞬時に武器の特性を理解する。

 また武器の潜在能力を引き出す。攻撃力と耐久力の大幅強化。 
 
・・・

・・・・・・

・・・・・・・・・

 死の間際に、アーサーは生まれて初めて勇者スキルを発動させたのだ。

 本人も気づかず、無意識に・・・・・・

 「そんな・・・・・・まさか、本当に───勇者だったのか!?」

 「あ゛ん? ギリヅぐん゛? 俺゛は最初゛から勇者さまだろが???」

 アーサーが持つ剣の形をして鉄の塊。それに勇者スキルが発動する。

 ただの鉄が、伝説の剣に変化していく。

 「ギリヅぐんさぁ。 俺゛、お前゛の事゛を気に入ってだ。面白゛い奴゛だと思って────だが、魔族は死ね゛」

 アーサーは大剣を振った。 それだけだ。それだけでキリツの命は途切れた。

 何百年も生きた大魔族キリツ。

 初代魔王の片腕として生きたキリツは、呆気なく生涯に幕を落としたのだった。

 キリツの手に残っている魔剣。それをアーサーは拾い上げる。 

「ごれは、俺の力゛は返゛してもらうぞ」

 勇者の力を吸い取った魔剣。 それをアーサーは素手で叩き割る。

 内部に封印されていた勇者の力。それが黒い煙となって、アーサーに戻っていく。

「あ゛あ゛、まだ声゛は戻らないが、徐々に力゛が戻ってくる感覚゛はあるぜ」
  
 キリツを倒したアーサーは、その足で仲間たちの元に戻った。
 
「リア、エリス、リューナ、ミカヅキ……ごんな姿゛になっでじまっだ、俺゛だが……もう一度仲間゛になっでくれるが?」

 その言葉に、リアが代表するかのよに答えた。

「ゆ、勇者さま。もちろんです、私たちはあなたと共に……いつだって!」

「そうが……ぞれば、良かっだ。だが、まだ、倒さない゛とい゛けない゛敵がいる゛」

「え?」とリアたちは周囲を見渡す。

 残っているは、かつてキリツだった物。

 それから黒龍だった物だけだった。

「わがらないが? い゛るだろ? 俺゛たちの前゛にいちゃいけない人物だがよお!」

 勇者アーサーは、セリカを見つめた。

「あ、あの勇者さま? セリカはダンジョンに取り残された私たちの救出に───」

「リア、黙゛ってろ゛。コイツがいなくなって俺たちはどうなった? コイツだ! コイツが俺たちから奪ったのだ!」

「勇者さま、勇者さま、どうか落ち着いてください。 ひぃ! そ、そんな目を私たちに向けないでください」

「あ゛ぁ゛、すまない。 けどわかってくれ。コイツを────セリカを倒さないければ、俺たちは前に進めない。 そうだろ?」

 勇者スキル その④

『求心力』

 勇者のカリスマ性は仲間たちの精神にも影響を与える。

 それは、もはや────洗脳に等しい。


「・・・・・・」とリアたちは、無言で勇者の背後に立つ。

 それはセリカと相対するという事だ。
 
 その異常な様子にシロウがセリカに声をかけた。 
 
「・・・・・・おい、どういう茶番だ? 意味がわからない理由で矛先がお前に向かっているようだが?」

 しかし、セリカの表情には、しっかりと怒りが浮かんでいた。 

「いえ、あれが勇者アーサーの平常運転です。いつも、いつも、いつも、いつも、自分が納得できない事は私が原因。 自分の失敗は私が原因。仲間なら許しました。許せました。しかし────」

 彼女は武器を構えると勇者アーサーたちに向けた。

「仲間を追放しておいて、その責任をまだ私に向ける。言葉通りに、その性根を────

叩き直してあげましょう!」


「リア! ミカヅキ! 支援を全て俺に回せ! エリスとリューナは補助に、殺す気でやるぞ!」

 セリカとアーサー。

 突発的とも言える戦いの始まり。それは──── 

 両人の武器────重量感のある鈍器がぶつかり合った。 
 
 2人を中心として、空気の震えが広がっていく。 

 1合、2合と武器をぶつけ合う。

 まるで予定調和のように武器同士を叩き続ける。

 3合、4合・・・・・・そのまま2桁のぶつかり合い。 純度の高い力比べのように見えた。 

 その毎に振動が広がる。 大気が、空間が、大地が震えている。

「いいぜ、セリカぁ! 俺の体が、遺伝子が騒ぐんだ。お前は悪だと! ここで潰さないと、世界が終わってしまうってな!」

「わけのわからない事を。治療の最中に変な薬でも注入されたのでしょ?」

「ふん! 相変わらず、つまらねぇ女だ!」

「よく舌が回るようになりましたね。 欠点が治って残念です」

「───ぬかせ!」

 その光景に────

 「どう思う、シロウ?」とナインマン。 彼は続けて、

「君は300年前に彼らのオリジナルの戦いを見ていたのだろう? それと比べて、どうなんだい?」

「全然、違いますよ。300年前のあの戦いは勇者と魔王。あの2人の戦いであって、セリカとアーサーの戦い・・・・・・この戦いとは、まるで違っている」

「なるほど、当事者である君の意見だ。参考になるよ。しかし────」

 ナインマンは疑問を口にする。 

「あの勇者は『勇者スキル』を使って、仲間から支援まで受けている。 しかし、セリカちゃんは『魔物食い』のスキルを発動していない。このままじゃ勝てない。それに理由がわからない。なぜ、彼女は『魔物食い』を使わない?」

「さぁ? 別に、勝っても、負けても、どっちでも良いと思っているからじゃないか? それに────」

「それに?」

「たぶん、セリカは勝ちますよ。 毎日、健康的な食事を取り続けている彼女は────

強い」

 前衛女騎士セリカ

 勇者アーサー

 2人の戦い。 我慢比べのように武器をぶつけ合う事、既に100合は越えているだろう。

 そして、ついに────その均衡は崩れ落ちていった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

幼子家精霊ノアの献身〜転生者と過ごした記憶を頼りに、家スキルで快適生活を送りたい〜

犬社護
ファンタジー
むか〜しむかし、とある山頂付近に、冤罪により断罪で断種された元王子様と、同じく断罪で国外追放された元公爵令嬢が住んでいました。2人は異世界[日本]の記憶を持っていながらも、味方からの裏切りに遭ったことで人間不信となってしまい、およそ50年間自給自足生活を続けてきましたが、ある日元王子様は寿命を迎えることとなりました。彼を深く愛していた元公爵令嬢は《自分も彼と共に天へ》と真摯に祈ったことで、神様はその願いを叶えるため、2人の住んでいた家に命を吹き込み、家精霊ノアとして誕生させました。ノアは、2人の願いを叶え丁重に葬りましたが、同時に孤独となってしまいます。家精霊の性質上、1人で生き抜くことは厳しい。そこで、ノアは下山することを決意します。 これは転生者たちと過ごした記憶と知識を糧に、家スキルを巧みに操りながら人々に善行を施し、仲間たちと共に世界に大きな変革をもたす精霊の物語。

追放されたので田舎でスローライフするはずが、いつの間にか最強領主になっていた件

言諮 アイ
ファンタジー
「お前のような無能はいらない!」 ──そう言われ、レオンは王都から盛大に追放された。 だが彼は思った。 「やった!最高のスローライフの始まりだ!!」 そして辺境の村に移住し、畑を耕し、温泉を掘り当て、牧場を開き、ついでに商売を始めたら…… 気づけば村が巨大都市になっていた。 農業改革を進めたら周囲の貴族が土下座し、交易を始めたら王国経済をぶっ壊し、温泉を作ったら各国の王族が観光に押し寄せる。 「俺はただ、のんびり暮らしたいだけなんだが……?」 一方、レオンを追放した王国は、バカ王のせいで経済崩壊&敵国に占領寸前! 慌てて「レオン様、助けてください!!」と泣きついてくるが…… 「ん? ちょっと待て。俺に無能って言ったの、どこのどいつだっけ?」 もはや世界最強の領主となったレオンは、 「好き勝手やった報い? しらんな」と華麗にスルーし、 今日ものんびり温泉につかるのだった。 ついでに「真の愛」まで手に入れて、レオンの楽園ライフは続く──!

【完結】スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

平凡な村人だと思われていた俺、実は神々が恐れる最強存在でした〜追放されたけど、無自覚チートで気づけば世界の頂点〜

にゃ-さん
ファンタジー
平凡な村人・レオンは、勇者パーティの荷物持ちとして蔑まれ、ある日「役立たず」として追放される。 だが、彼の正体は神々が恐れ、世界の理を超越する“創世の加護”を持つ唯一の存在だった。 本人はまったくの無自覚——それでも歩くたび、出会うたび、彼によって救われ、惹かれていく者たちが増えていく。 裏切った勇者たちは衰退し、彼を捨てた者たちは後悔に沈む。 やがて世界は、レオン中心に回り始める。 これは、最弱を装う最強が、知らぬ間に神々を超える物語。

転生辺境の雑用兵、知らぬ間に世界最強になっていた件 〜追放されたけど美女たちに囲まれて安寧生活〜

eringi
ファンタジー
辺境軍の雑用兵として転生した青年・レオン。異世界に転生したのに、剣も魔法も地味でパッとしない日々。ところが彼の“地味な努力”が、実は世界の理をゆるがすほどの能力だと気づく者が次々と現れる。貴族令嬢、魔族の姫、神官少女──気づけばハーレム状態に。追放された元仲間が破滅していく流れの中、本人だけは「俺、そんな強いかな?」と首をかしげる。無自覚最強×ざまぁ×追放後スローライフ×英雄伝説が交錯する、異世界逆転ストーリー。

異世界で無自覚に最強だった俺、追放されたけど今さら謝られても遅い

eringi
ファンタジー
「お前なんかいらない」と言われ、勇者パーティーを追放された青年ルーク。だが、彼のスキル【成長限界なし】は、実は世界でも唯一の“神格スキル”だった。 追放された先で気ままに生きようとした彼は、助けた村娘から崇められ、魔王を片手で倒し、知らぬ間に国家を救う。 仲間だった者たちは、彼の偉業を知って唖然とし、後悔と嫉妬に沈んでいく── 無自覚な最強男が歩む、ざまぁと逆転の異世界英雄譚!

剣ぺろ伝説〜悪役貴族に転生してしまったが別にどうでもいい〜

みっちゃん
ファンタジー
俺こと「天城剣介」は22歳の日に交通事故で死んでしまった。 …しかし目を覚ますと、俺は知らない女性に抱っこされていた! 「元気に育ってねぇクロウ」 (…クロウ…ってまさか!?) そうここは自分がやっていた恋愛RPGゲーム 「ラグナロク•オリジン」と言う学園と世界を舞台にした超大型シナリオゲームだ そんな世界に転生して真っ先に気がついたのは"クロウ"と言う名前、そう彼こそ主人公の攻略対象の女性を付け狙う、ゲーム史上最も嫌われている悪役貴族、それが 「クロウ•チューリア」だ ありとあらゆる人々のヘイトを貯める行動をして最後には全てに裏切られてザマァをされ、辺境に捨てられて惨めな日々を送る羽目になる、そう言う運命なのだが、彼は思う 運命を変えて仕舞えば物語は大きく変わる "バタフライ効果"と言う事を思い出し彼は誓う 「ザマァされた後にのんびりスローライフを送ろう!」と! その為に彼がまず行うのはこのゲーム唯一の「バグ技」…"剣ぺろ"だ 剣ぺろと言う「バグ技」は "剣を舐めるとステータスのどれかが1上がるバグ"だ この物語は 剣ぺろバグを使い優雅なスローライフを目指そうと奮闘する悪役貴族の物語 (自分は学園編のみ登場してそこからは全く登場しない、ならそれ以降はのんびりと暮らせば良いんだ!) しかしこれがフラグになる事を彼はまだ知らない

【土壌改良】で死の荒野がSランク農園に!食べただけでレベルアップする野菜で、世界最強ギルド設立

黒崎隼人
ファンタジー
「え? これ、ただのトマトですよ?」 「いいえ、それは食べただけで魔力が全回復する『神の果実』です!」 ブラック企業で働き詰めだった青年は、異世界の名門貴族の三男・ノアとして転生する。 しかし、授かったスキルは【土壌改良】という地味なもの。 「攻撃魔法も使えない役立たず」と罵られ、魔物すら寄り付かない死の荒野へ追放されてしまう。 だが、彼らは知らなかった。 ノアのスキルは、現代の農業知識と合わせることで、荒れ果てた土地を「Sランク食材」が溢れる楽園に変えるチート能力だったことを! 伝説の魔獣(もふもふ)をキュウリ一本で手懐け、行き倒れた天才エルフを極上スープで救い出し、気づけば荒野には巨大な「農業ギルド」が誕生していた。 これは、本人がただ美味しい野菜を作ってのんびり暮らしたいだけなのに、周囲からは「世界を救う大賢者」と崇められてしまう、無自覚・最強の農業ファンタジー!

処理中です...