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「ダンジョンに入る冒険者はここの名簿に登録する必要がある。ついでだから今済ませるぞ」
ウィリウスに手を引かれて歩きながら、次の用事を説明される。登録と言っても名前と所属を提出して認識証を貰うだけの簡単な物らしい。
魔法で登録とか、ステータスが出るとか期待してたんだけどそんなこともなく。手動で書類に記入して、その場で金属製のプレートに刻印して、2つあるうち1つを手渡されて終わり。もう1つは組合側の控えになるらしい。会員証というよりドッグタグみたいだな。死体の身元確認するやつ。冒険者はかなり死傷率の高い職業なので、さもありなんという印象だ。
「はい、こちらをダンジョン入口で提示していただければ、入場が可能になります。紛失した場合再発行ではなく新規登録となり、都度料金がかかります。身につけていないと組合員として認められないので気を付けてくださいね。その他にも組合の売店や依頼代行なんかも利用できますので……詳しくはお連れ様にお聞きください」
「ありがとうございます」
受付のおじさんからタグを受け取る。予想したよりも軽くて、首にかけるための麻紐も相まってちょっとちゃっちいかもと思ってしまった。ウィリウスが銅貨をいくらか支払って、それで手続きは終わりだ。あっさりしたものである。
「買い物もするだろ? 掛けとけよ」
「ん」
しゃらりと軽く揺れるタグ。紐が痒いので服の襟に引っ掛けて下げることにした。これで冒険者として活動できるらしい。あんまり実感は湧かないけれど、またウィリウスに手を引かれたのでおじさんにお礼を言って受付を離れる。次は建物の中に備えられた売店に向かった。
ゲーム内では回復アイテムや装備、地図を売る場所だった組合の売店。現実でも似たような物が売られているようだ。大きな羊皮紙の束が壺に刺さっていたり、小さな瓶にカラフルな薬液が詰められていたりする。わくわくする感じの『ファンタジーな売店』だ。
「なんか欲しいのあるか? 予算以内なら好きに見繕って良いぞ」
「まじ? わぁい」
「ダンジョン潜る時のアイテムは俺が買うから他のやつな」
「あー、俺の気になる物があったらってことね」
お小遣いでおやつを買って良いよではなく、攻略知識的に必要なものがあったら言えということらしい。そりゃあそうか。でも、ここの売店は特に秘密アイテムとか裏メニューがあった覚えないな。普通の、攻略度に応じて品揃えが増えていく店舗だ。現実的なとこだとあれかな、活動歴とか功績とかで売って貰える物が変わるんだろう。
ウィリウスは買う物が決まっているので、迷いなく商品を籠に入れている。いくらゲームをやり込んだとはいえ現実となれば勝手が違うので、ダンジョン関連の買い出しは全部先輩冒険者に任せることにした。それを横目に見ながら、適当に商品棚を物色する。ダンジョン攻略に必要なアイテムや装備の他、『調整部屋』で使うえっちなアイテムも一緒に並べられているのが少し異質だった。液晶の向こうにしかなかったアイテムたちが目の前に並んでいて、手に取って見分できる。不思議な気分になるな。
「なーウィリウス、これほしい」
「んー? ……おい、必要な物って言ったろ」
ちょうど目に付いた物があったので、一式ウィリウスの持つ籠に投入。柔らかい素材で作られた、特徴的な形の玩具。ここに売っているのだから当然大人の玩具だ。正式には医療器具なんだったか? 元々奴隷のシシ―は後ろの開発がとっくに済んでいて、ウィリウスは最初その気も無かったから拡張用の道具なんて屋敷に無い。あんまり痛い思いさせたくないんだよな、ウィリウスも……まぁ言わないけど、後から迎えたいキャラたちも。
「必要はないけどさ、これ気持ち良いらしいよ? ほら、前は結構時間かけて慣らしたから。いつでもそうってわけにいかないだろ」
「お前使い方分かるんだろうな?」
「分かるよぉ」
「ほんとかぁ?」
言いつつ入れたソレを取り出すことはしない……というか触るのも嫌そうな顔をするウィリウス。主人の決めたことに逆らえないだけなんだろうけど、じろりとこちらを睨みながら大人しくしているのがちょっと面白い。どっちだろうな、ほんとは期待してるのか、それとも本当に嫌がっているのか。魔法を使ったせいで想像するしかないのが悲しいな、真面目に魔法のこと勉強しようかな。
「ま、いいや。これだけか?」
「うん」
アイテムを入れた籠を会計に持っていく。我々の財布はウィリウスが握っていて、今回はそれの半分くらいが代金として差し出されていた。手に入れたアイテムたちはマジックバッグに収納され、冒険者組合での用事はこれでおしまい。何を買ったかの内訳は屋敷に帰ってから詳しく聞こうと思う。
「よし、あとは適当に市場見て帰ろう」
「わーい。俺買い食いしたい」
「ほどほどにしろよ」
促され、手を取って組合の建物を後にした。世界に慣れるため、と称してウィリウスに付いて回っているけれど、今のところは普通に楽しめている。ちょっとしたデートみたいな気分だった。はぐれないようにとえらく心配した彼が、しっかり手を握っていてくれるからなおさら。
太陽は頭上にあり、帰宅までまだ時間はある。せっかく液晶を越えてやって来た世界だ、たくさん楽しもうじゃないか。
ウィリウスに手を引かれて歩きながら、次の用事を説明される。登録と言っても名前と所属を提出して認識証を貰うだけの簡単な物らしい。
魔法で登録とか、ステータスが出るとか期待してたんだけどそんなこともなく。手動で書類に記入して、その場で金属製のプレートに刻印して、2つあるうち1つを手渡されて終わり。もう1つは組合側の控えになるらしい。会員証というよりドッグタグみたいだな。死体の身元確認するやつ。冒険者はかなり死傷率の高い職業なので、さもありなんという印象だ。
「はい、こちらをダンジョン入口で提示していただければ、入場が可能になります。紛失した場合再発行ではなく新規登録となり、都度料金がかかります。身につけていないと組合員として認められないので気を付けてくださいね。その他にも組合の売店や依頼代行なんかも利用できますので……詳しくはお連れ様にお聞きください」
「ありがとうございます」
受付のおじさんからタグを受け取る。予想したよりも軽くて、首にかけるための麻紐も相まってちょっとちゃっちいかもと思ってしまった。ウィリウスが銅貨をいくらか支払って、それで手続きは終わりだ。あっさりしたものである。
「買い物もするだろ? 掛けとけよ」
「ん」
しゃらりと軽く揺れるタグ。紐が痒いので服の襟に引っ掛けて下げることにした。これで冒険者として活動できるらしい。あんまり実感は湧かないけれど、またウィリウスに手を引かれたのでおじさんにお礼を言って受付を離れる。次は建物の中に備えられた売店に向かった。
ゲーム内では回復アイテムや装備、地図を売る場所だった組合の売店。現実でも似たような物が売られているようだ。大きな羊皮紙の束が壺に刺さっていたり、小さな瓶にカラフルな薬液が詰められていたりする。わくわくする感じの『ファンタジーな売店』だ。
「なんか欲しいのあるか? 予算以内なら好きに見繕って良いぞ」
「まじ? わぁい」
「ダンジョン潜る時のアイテムは俺が買うから他のやつな」
「あー、俺の気になる物があったらってことね」
お小遣いでおやつを買って良いよではなく、攻略知識的に必要なものがあったら言えということらしい。そりゃあそうか。でも、ここの売店は特に秘密アイテムとか裏メニューがあった覚えないな。普通の、攻略度に応じて品揃えが増えていく店舗だ。現実的なとこだとあれかな、活動歴とか功績とかで売って貰える物が変わるんだろう。
ウィリウスは買う物が決まっているので、迷いなく商品を籠に入れている。いくらゲームをやり込んだとはいえ現実となれば勝手が違うので、ダンジョン関連の買い出しは全部先輩冒険者に任せることにした。それを横目に見ながら、適当に商品棚を物色する。ダンジョン攻略に必要なアイテムや装備の他、『調整部屋』で使うえっちなアイテムも一緒に並べられているのが少し異質だった。液晶の向こうにしかなかったアイテムたちが目の前に並んでいて、手に取って見分できる。不思議な気分になるな。
「なーウィリウス、これほしい」
「んー? ……おい、必要な物って言ったろ」
ちょうど目に付いた物があったので、一式ウィリウスの持つ籠に投入。柔らかい素材で作られた、特徴的な形の玩具。ここに売っているのだから当然大人の玩具だ。正式には医療器具なんだったか? 元々奴隷のシシ―は後ろの開発がとっくに済んでいて、ウィリウスは最初その気も無かったから拡張用の道具なんて屋敷に無い。あんまり痛い思いさせたくないんだよな、ウィリウスも……まぁ言わないけど、後から迎えたいキャラたちも。
「必要はないけどさ、これ気持ち良いらしいよ? ほら、前は結構時間かけて慣らしたから。いつでもそうってわけにいかないだろ」
「お前使い方分かるんだろうな?」
「分かるよぉ」
「ほんとかぁ?」
言いつつ入れたソレを取り出すことはしない……というか触るのも嫌そうな顔をするウィリウス。主人の決めたことに逆らえないだけなんだろうけど、じろりとこちらを睨みながら大人しくしているのがちょっと面白い。どっちだろうな、ほんとは期待してるのか、それとも本当に嫌がっているのか。魔法を使ったせいで想像するしかないのが悲しいな、真面目に魔法のこと勉強しようかな。
「ま、いいや。これだけか?」
「うん」
アイテムを入れた籠を会計に持っていく。我々の財布はウィリウスが握っていて、今回はそれの半分くらいが代金として差し出されていた。手に入れたアイテムたちはマジックバッグに収納され、冒険者組合での用事はこれでおしまい。何を買ったかの内訳は屋敷に帰ってから詳しく聞こうと思う。
「よし、あとは適当に市場見て帰ろう」
「わーい。俺買い食いしたい」
「ほどほどにしろよ」
促され、手を取って組合の建物を後にした。世界に慣れるため、と称してウィリウスに付いて回っているけれど、今のところは普通に楽しめている。ちょっとしたデートみたいな気分だった。はぐれないようにとえらく心配した彼が、しっかり手を握っていてくれるからなおさら。
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