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第2話
2-12+
しおりを挟む「ひぁ……っ、あ、ぅんン……ッ」
「紗琰さま、っ……苦しくはないですか?」
蛾眉を下げた嫣寧にくちづけの合間に尋ねられ、紗琰はどうにか首を横に振ってみせた。
圧迫感がないといえば嘘になるが、それよりも嫣寧と深く繋がることができた喜びのほうが強い。離れたくちびるを追いかけるように重ね、伸ばした指で嫣寧の寝衣を乱す。
布越しではなく、嫣寧の肌と肌をあわせたかった。それが通じたのか、寝衣を脱ぎ落とした嫣寧が素肌に抱き込んでくれる。
しっとりと汗ばんだ肌膚から香る木蓮の匂いはいっそう官能をくすぐり、紗琰の発情を促してきた。目の前の雄に雌伏したくてたまらなくて、熟れた媚肉がじゅわじゅわと蜜を漏らしていく。
雄蕊を咥え込んだまま、下腹部からこみあげてくる淫らな快感に身をくねらせた紗琰を、嫣寧はひどく甘い眼差しで見つめていた。
腰をつかんでいた手が臀部のかたちをなぞるように動き、緩やかな抽挿がはじまる。
「かわいい紗琰さま。わたくしの身體で、もっと好くなってくださいませ」
やわらかな声音は熱を帯び、くちづけられたところから火傷してしまいそうなほどだった。
半面、嫣寧にとってこの行為が紗琰を満たすためだけのものであるのだと告げられたようで、胸が苦しくなる。
「ッんく、……っふあ、ぁっ、しぇんら、ぁッ」
手を伸ばして嫣寧の躰を手繰り寄せる。わずかな隙間も厭わしいほど素肌を密着させ、紗琰はかすれた声で紡いだ。
「しぇんらんも、……っしぇんらんにも、きもちよくなってほしい……」
「っ――」
途端、なかにうずめられていたものの質量が増す。
小さく息を呑んだ紗琰に、嫣寧が蛾眉を寄せてうめいた。
「……あなたは、そうやって男を翻弄なさるのですか……っ?」
責めるように額が重なり、花襞の奥を亀頭でやわくこねられる。
藍玉瞳ににじんだ慕情と懊悩の色を見て取った瞬間、紗琰は嫣寧がおのれの言葉を信じていなかったのだと理解した。
慾海に沈みかけていた思考がにわかに醒める。
帝王の情は国と蒼生にそそがれるものであり、誰かひとりが独占できるものではない。ために、後宮に集う数多の妃嬪は、ただ帝君が皇統を繋ぐために与えるひとかけらの寵幸を我が物にせんと群がるのだ。
さりながら、そうして天寵に浴する機会を得たとしても、長続きする保証はない。寵愛は妃嬪自身ではなく家門に対して向けられたものであり、帝君が朝廷を御しやすくするための手段でしかないからだ。優遇すべき家門が変われば、寵愛される妃嬪も変わる。朝廷と後宮が表裏一体とされる理由はここにあるといってよい。
紗琰の正妻候補の中から嫣寧が選ばれたのも、皇子を二人も輩出した姚家を牽制するという政治的な思惑があってのことだ。それは嫣寧とて承知しているだろうし、だからこそ閨でのやり取りも、紗琰が自分を懐柔するために行っていると感じたのかもしれない。
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