16 / 47
第十四話 父の哀しい決意
しおりを挟む
聖夜は昨夜と同じ公園に立っていた。女性がひとり、足早に通り抜けようとしているのが見える。少しずつ、聖夜との距離が縮まる。
彼女は青白い月の光を受け、どこか幻想的な姿をかもしだしている。白いうなじが聖夜の視線をとらえた。
すれちがいざまに、彼女が聖夜の顔をちらと見た。ほんの一瞬、たがいの視線が絡まる。
突然彼女の表情が変化した。すべての女性が見せた誘うようなまなざしで、聖夜を見つめる。
瞳には欲望の火が灯されていた。歩みをとめて、じっと聖夜の顔を見つめる。
——お願いだ。そんな目でぼくを見ないで。でないと、あなたを傷つけてしまうかもしれない。
思考は言葉にならない。
思いとは裏腹に、聖夜は少しずつその女性に歩み寄った。
自分の持てるすべての精神力で、彼女に近づくまいとした。だが身体は一切コントロールできない。
他人の頭の中に入り込んでいるかのように、指ひとつ自分の意志で動かせない。一歩、また一歩。ゆっくりと女性に近づく。
まぶたの裏に、何度も見た悪夢が再現されようとしていた。血で染められた甘美な世界に、胸の鼓動が少しずつ高まっていく。
聖夜はこの感覚をずっと待っていた自分に気づいた。
麻薬中毒者が薬を求めるように、聖夜は悪夢を求めている。
昨夜の行動も、禁断症状の現れだったのかもしれない。悪夢の中にひそむ快楽に、聖夜はいつしか虜になっていた。
逃れられない甘美な世界。全身を覆う痺れるような感覚。赤い血の誘惑は、聖夜を放さない。
——だめだ、あなたに触れたら、ぼくは引き返せなくなる。
誘惑に燃えた瞳が、聖夜に残された理性を打ち砕こうとしている。堕ちてしまうとわかっていても、手を伸ばしそうになる。
——だれか、ぼくを救いだして。血に浸る前に……この身体を引き上げて。自分ではどうすることもできない甘美な世界から……断ち切ることのできない麻薬から……。
聖夜は誘惑の魔の手と必死で戦った。声にならない叫びを胸に、力の限り抵抗した。
『聖夜』
不意にだれかに引き止められる。
『大丈夫か? しっかりしろ、聖夜』
強くてたよりがいのあるその声が、堕ちていきそうな自分を助けてくれる。心に理性と強い意志がよみがえる。
赤い欲望の支配する世界で、聖夜は出口を見つけたような気がした。
* * *
明りの消えた部屋に月光が射し込み、夜の世界に彩りをそえる。優しく降りそそぐ淡い光は、古い写真に写る人物を幻の国の住人のように見せた。
机におかれた写真立てには、幸福だったひとときが残されている。
家族三人が互いによりそって写したたった一枚の写真を、月島は月明りの中で今一度見つめた。
そばには古びた表紙の日記帳が二冊おかれている。一冊は月島が十七年前に書いたものだ。もうひとつは流香が結婚する前につづった日記だった。
「流香、おれは決心したよ。これ以上の惨事を引き起こさないためにも、聖夜を救うためにもね。きみが命懸けで守ったものを、おれは守り切れなかった。本当にすまない。
だがこのまま放っておくことはできない。聖夜が苦しむ姿をおれは見たくないんだ」
妻の写真に話しかける月島の顔には、寂しげな笑顔が浮かんでいた。
「結局おれは、だれひとり幸せにできなかった。流香も、聖夜も……」
月島はまぶたを閉じた。
つぶやきを聞くものは、夜空にかかる月だけだ。苦悩を和らげるように、淡い光が頬を優しく包む。
月の柔らかい輝きは、人の心を慰める。だが一方でそれは、ときとして冷たく青白い光となって、人の心に狂気の火を灯す。いや、人間に限ったことではない。魔物にとってもそれは同じだ。
月の光にとらわれた魔物たちは、人間の皮を破り、獣の姿に戻る。彼らは犠牲者を求め、夜の街を彷徨い歩く。
口元に妖しく光る牙は、血の洗礼を受けるまで満足することはない。闇夜に輝く瞳は、血の赤だけを見つめる。長く爪の伸びた手は、血で赤く染められるときを待っている。
古来より魔性の者は人間社会にたくみに紛れこみ、月夜とともに正体を見せた。それに気づいた人間は、魔物を倒さねばならない。昼の世界の住人を、夜の魔の手から守るために。
「たとえそれが、かけがえのない愛する者たちであろうと」
月島は目を開いた。もう迷いはない。心の底にある深い哀しみの影には目を背けた。
書棚の前に立ち、鍵を外すと、月島はひきだしからふたつの物を取り出した。
ひとつは、小さな十字架のついたネックレス。もうひとつはサバイバルナイフだ。刃先を出し、布でていねいに研く。
鋭利な刃は月光を反射して、神々しく輝いた。さながら聖なる光を放つ短剣のようだ。
月島は十字架を身につけ、ナイフを手にした。身体の中から力強いものがわき上がる。
月島は聖夜の部屋の前に移動し、ノブを静かにまわして中に入った。
聖夜は安らかな寝息をたてている。侵入者の存在にも気づくことはない。カーテンの隙間から射し込む月光が、聖夜の額を照らしている。月島はその姿を見つめた。
「聖夜、許してくれ。悲しいことだが、ほかに道がないんだ。だが心配するな。おまえだけを逝かせはしない。おれもすぐ、あとを追う」
月島は両手でナイフをにぎりしめ、大きくふりかざした。刃先が月光にきらめく。
そのまま微動だにせず、月島は聖夜を見下ろす。流香の面影を残したその顔を。
「あと少しで十八歳の誕生日だ。ここでやらなくとも、なにごともなくその日を迎えられるかもしれない」
あれだけ強く決意したはずだった。だがいざ実行に移そうとすると、月島の決心が鈍る。
「今さらなにを迷っている? これ以上聖夜を苦しめないために決心したんじゃないか」
心の葛藤が月島にナイフを下ろさせない。ふたつの思いの狭間で、月島の腕は小刻みに震えた。
「……いやだ」
そのときだ。聖夜の口から、うめき声とともに言葉がもれた。
安らかな表情は消え、苦悩が浮かび、額に汗がふきだした。
「だれか……救いだして……この身体を引き上げて……自分では……断ち切ることのできない……」
聖夜は助けを求めていた。なんとかして逃れようと、必死で抵抗している。自分なりに懸命に運命と戦っている。
「なんてことだ。それに気づこうともしないで、おれは取り返しのつかないことをしようとしていたのか」
月島はサバイバルナイフをポケットにしまいこみ、聖夜の肩に手をおいた。
「どうしたんだ?」
身体を揺すって起こそうとするが、いくらやっても聖夜の目は開かれない。
「聖夜、大丈夫か? しっかりしろ、聖夜、聖夜っ」
思い余って月島は、聖夜の頬をたたいた。
「聖夜、目を覚ませ。たったひとりで苦しむんじゃない」
月島の叫びが静かな部屋に響く。
やがて、聖夜の瞳がゆっくりと開いた。うつろな目だ。生気のない瞳が、月島の顔を映した。
「どうした? やけにうなされていたぞ」
月島は優しく穏やかな声で息子に語りかけた。聖夜の目に輝きが戻る。
「あ……父さん」
ため息を吐くように聖夜は声を出した。
「いつかのように、怖い夢でも見たのか?」
月島はポケットからハンカチを取り出し、聖夜の額に浮かんだ汗をぬぐった。
「父さんだったんだね。あの声は。ぼくを助けてくれたのは」
聖夜の目から、大粒の涙がこぼれた。
「ゆうべも、今も……父さんのおかげでぼくは救われたんだね」
頬を伝うしずくが月光を反射する。そこに魔物はなく、忍びよる魔の手と戦おうとする勇敢な者がいた。
「悪夢が現実になって、ぼくに襲いかかるんだ。いやだと思っても、誘惑に勝てなかった。今も父さんがいなかったら、ぼくは……」
そのとき、なにかに閃いたように聖夜の目が輝いた。
「これが今までのように正夢だとしたら、もしかしたら」
弾かれるようにベッドから跳び起き、聖夜は急に着替えを始めた。
「事件が起きてる最中なら、犯人がそこにいるかもしれない」
「どうしたんだ、いきなり。どこに行くつもりなんだ?」
月島の問いかけに答えもしないで、聖夜はコートをはおって家を飛び出した。月島は慌ててあとを追いかけた。
「犯人? 事件が起きてる最中? まさか……ヴァンパイアは聖夜ではないのか」
このときになって月島は、もうひとりの人物に気がついた。
「なんてことだ。それに気づきもしないで、おれは聖夜を殺めようとしていたのか」
彼女は青白い月の光を受け、どこか幻想的な姿をかもしだしている。白いうなじが聖夜の視線をとらえた。
すれちがいざまに、彼女が聖夜の顔をちらと見た。ほんの一瞬、たがいの視線が絡まる。
突然彼女の表情が変化した。すべての女性が見せた誘うようなまなざしで、聖夜を見つめる。
瞳には欲望の火が灯されていた。歩みをとめて、じっと聖夜の顔を見つめる。
——お願いだ。そんな目でぼくを見ないで。でないと、あなたを傷つけてしまうかもしれない。
思考は言葉にならない。
思いとは裏腹に、聖夜は少しずつその女性に歩み寄った。
自分の持てるすべての精神力で、彼女に近づくまいとした。だが身体は一切コントロールできない。
他人の頭の中に入り込んでいるかのように、指ひとつ自分の意志で動かせない。一歩、また一歩。ゆっくりと女性に近づく。
まぶたの裏に、何度も見た悪夢が再現されようとしていた。血で染められた甘美な世界に、胸の鼓動が少しずつ高まっていく。
聖夜はこの感覚をずっと待っていた自分に気づいた。
麻薬中毒者が薬を求めるように、聖夜は悪夢を求めている。
昨夜の行動も、禁断症状の現れだったのかもしれない。悪夢の中にひそむ快楽に、聖夜はいつしか虜になっていた。
逃れられない甘美な世界。全身を覆う痺れるような感覚。赤い血の誘惑は、聖夜を放さない。
——だめだ、あなたに触れたら、ぼくは引き返せなくなる。
誘惑に燃えた瞳が、聖夜に残された理性を打ち砕こうとしている。堕ちてしまうとわかっていても、手を伸ばしそうになる。
——だれか、ぼくを救いだして。血に浸る前に……この身体を引き上げて。自分ではどうすることもできない甘美な世界から……断ち切ることのできない麻薬から……。
聖夜は誘惑の魔の手と必死で戦った。声にならない叫びを胸に、力の限り抵抗した。
『聖夜』
不意にだれかに引き止められる。
『大丈夫か? しっかりしろ、聖夜』
強くてたよりがいのあるその声が、堕ちていきそうな自分を助けてくれる。心に理性と強い意志がよみがえる。
赤い欲望の支配する世界で、聖夜は出口を見つけたような気がした。
* * *
明りの消えた部屋に月光が射し込み、夜の世界に彩りをそえる。優しく降りそそぐ淡い光は、古い写真に写る人物を幻の国の住人のように見せた。
机におかれた写真立てには、幸福だったひとときが残されている。
家族三人が互いによりそって写したたった一枚の写真を、月島は月明りの中で今一度見つめた。
そばには古びた表紙の日記帳が二冊おかれている。一冊は月島が十七年前に書いたものだ。もうひとつは流香が結婚する前につづった日記だった。
「流香、おれは決心したよ。これ以上の惨事を引き起こさないためにも、聖夜を救うためにもね。きみが命懸けで守ったものを、おれは守り切れなかった。本当にすまない。
だがこのまま放っておくことはできない。聖夜が苦しむ姿をおれは見たくないんだ」
妻の写真に話しかける月島の顔には、寂しげな笑顔が浮かんでいた。
「結局おれは、だれひとり幸せにできなかった。流香も、聖夜も……」
月島はまぶたを閉じた。
つぶやきを聞くものは、夜空にかかる月だけだ。苦悩を和らげるように、淡い光が頬を優しく包む。
月の柔らかい輝きは、人の心を慰める。だが一方でそれは、ときとして冷たく青白い光となって、人の心に狂気の火を灯す。いや、人間に限ったことではない。魔物にとってもそれは同じだ。
月の光にとらわれた魔物たちは、人間の皮を破り、獣の姿に戻る。彼らは犠牲者を求め、夜の街を彷徨い歩く。
口元に妖しく光る牙は、血の洗礼を受けるまで満足することはない。闇夜に輝く瞳は、血の赤だけを見つめる。長く爪の伸びた手は、血で赤く染められるときを待っている。
古来より魔性の者は人間社会にたくみに紛れこみ、月夜とともに正体を見せた。それに気づいた人間は、魔物を倒さねばならない。昼の世界の住人を、夜の魔の手から守るために。
「たとえそれが、かけがえのない愛する者たちであろうと」
月島は目を開いた。もう迷いはない。心の底にある深い哀しみの影には目を背けた。
書棚の前に立ち、鍵を外すと、月島はひきだしからふたつの物を取り出した。
ひとつは、小さな十字架のついたネックレス。もうひとつはサバイバルナイフだ。刃先を出し、布でていねいに研く。
鋭利な刃は月光を反射して、神々しく輝いた。さながら聖なる光を放つ短剣のようだ。
月島は十字架を身につけ、ナイフを手にした。身体の中から力強いものがわき上がる。
月島は聖夜の部屋の前に移動し、ノブを静かにまわして中に入った。
聖夜は安らかな寝息をたてている。侵入者の存在にも気づくことはない。カーテンの隙間から射し込む月光が、聖夜の額を照らしている。月島はその姿を見つめた。
「聖夜、許してくれ。悲しいことだが、ほかに道がないんだ。だが心配するな。おまえだけを逝かせはしない。おれもすぐ、あとを追う」
月島は両手でナイフをにぎりしめ、大きくふりかざした。刃先が月光にきらめく。
そのまま微動だにせず、月島は聖夜を見下ろす。流香の面影を残したその顔を。
「あと少しで十八歳の誕生日だ。ここでやらなくとも、なにごともなくその日を迎えられるかもしれない」
あれだけ強く決意したはずだった。だがいざ実行に移そうとすると、月島の決心が鈍る。
「今さらなにを迷っている? これ以上聖夜を苦しめないために決心したんじゃないか」
心の葛藤が月島にナイフを下ろさせない。ふたつの思いの狭間で、月島の腕は小刻みに震えた。
「……いやだ」
そのときだ。聖夜の口から、うめき声とともに言葉がもれた。
安らかな表情は消え、苦悩が浮かび、額に汗がふきだした。
「だれか……救いだして……この身体を引き上げて……自分では……断ち切ることのできない……」
聖夜は助けを求めていた。なんとかして逃れようと、必死で抵抗している。自分なりに懸命に運命と戦っている。
「なんてことだ。それに気づこうともしないで、おれは取り返しのつかないことをしようとしていたのか」
月島はサバイバルナイフをポケットにしまいこみ、聖夜の肩に手をおいた。
「どうしたんだ?」
身体を揺すって起こそうとするが、いくらやっても聖夜の目は開かれない。
「聖夜、大丈夫か? しっかりしろ、聖夜、聖夜っ」
思い余って月島は、聖夜の頬をたたいた。
「聖夜、目を覚ませ。たったひとりで苦しむんじゃない」
月島の叫びが静かな部屋に響く。
やがて、聖夜の瞳がゆっくりと開いた。うつろな目だ。生気のない瞳が、月島の顔を映した。
「どうした? やけにうなされていたぞ」
月島は優しく穏やかな声で息子に語りかけた。聖夜の目に輝きが戻る。
「あ……父さん」
ため息を吐くように聖夜は声を出した。
「いつかのように、怖い夢でも見たのか?」
月島はポケットからハンカチを取り出し、聖夜の額に浮かんだ汗をぬぐった。
「父さんだったんだね。あの声は。ぼくを助けてくれたのは」
聖夜の目から、大粒の涙がこぼれた。
「ゆうべも、今も……父さんのおかげでぼくは救われたんだね」
頬を伝うしずくが月光を反射する。そこに魔物はなく、忍びよる魔の手と戦おうとする勇敢な者がいた。
「悪夢が現実になって、ぼくに襲いかかるんだ。いやだと思っても、誘惑に勝てなかった。今も父さんがいなかったら、ぼくは……」
そのとき、なにかに閃いたように聖夜の目が輝いた。
「これが今までのように正夢だとしたら、もしかしたら」
弾かれるようにベッドから跳び起き、聖夜は急に着替えを始めた。
「事件が起きてる最中なら、犯人がそこにいるかもしれない」
「どうしたんだ、いきなり。どこに行くつもりなんだ?」
月島の問いかけに答えもしないで、聖夜はコートをはおって家を飛び出した。月島は慌ててあとを追いかけた。
「犯人? 事件が起きてる最中? まさか……ヴァンパイアは聖夜ではないのか」
このときになって月島は、もうひとりの人物に気がついた。
「なんてことだ。それに気づきもしないで、おれは聖夜を殺めようとしていたのか」
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
罰ゲームから始まった、五人のヒロインと僕の隣の物語
ノン・タロー
恋愛
高校2年の夏……友達同士で行った小テストの点を競う勝負に負けた僕、御堂 彼方(みどう かなた)は、罰ゲームとしてクラスで人気のある女子・風原 亜希(かざはら あき)に告白する。
だが亜希は、彼方が特に好みでもなく、それをあっさりと振る。
それで終わるはずだった――なのに。
ひょんな事情で、彼方は亜希と共に"同居”することに。
さらに新しく出来た、甘えん坊な義妹・由奈(ゆな)。
そして教室では静かに恋を仕掛けてくる寡黙なクラス委員長の柊 澪(ひいらぎ みお)、特に接点の無かった早乙女 瀬玲奈(さおとめ せれな)、おまけに生徒会長の如月(きさらぎ)先輩まで現れて、彼方の周囲は急速に騒がしくなっていく。
由奈は「お兄ちゃん!」と懐き、澪は「一緒に帰らない……?」と静かに距離を詰める。
一方の瀬玲奈は友達感覚で、如月先輩は不器用ながらも接してくる。
そんな中、亜希は「別に好きじゃないし」と言いながら、彼方が誰かと仲良くするたびに心がざわついていく。
罰ゲームから始まった関係は、日常の中で少しずつ形を変えていく。
ツンデレな同居人、甘えたがりな義妹、寡黙な同クラ女子、恋愛に不器用な生徒会長、ギャル気質な同クラ女子……。
そして、無自覚に優しい彼方が、彼女たちの心を少しずつほどいていく。
これは、恋と居場所と感情の距離をめぐる、ちょっと不器用で、でも確かな青春の物語。
皆さんは呪われました
禰津エソラ
ホラー
あなたは呪いたい相手はいますか?
お勧めの呪いがありますよ。
効果は絶大です。
ぜひ、試してみてください……
その呪いの因果は果てしなく絡みつく。呪いは誰のものになるのか。
最後に残るのは誰だ……
番に見つからない街で、子供を育てている
はちも
BL
目を覚ますと、腕の中には赤ん坊がいた。
異世界の青年ロアンとして目覚めた「俺」は、希少な男性オメガであり、子を産んだ母親だった。
現世の記憶は失われているが、
この子を守らなければならない、という想いだけははっきりと残っている。
街の人々に助けられ、魔石への魔力注入で生計を立てながら、
ロアンと息子カイルは、番のいない街で慎ましく暮らしていく。
だが、行方不明の番を探す噂が、静かに近づいていた。
再会は望まない。
今はただ、この子との生活を守りたい。
これは、番から逃げたオメガが、
選び直すまでの物語。
*本編完結しました
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる