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33話 俺と私の貴族の婚約事情について③
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開け放たれた扉から堂々と立ち聞きしていました風のサラがにこやかに微笑みながらドレスを摘み令嬢の礼を取る。
「お話中大変申し訳ございません。
私はマルシアス・リーバスが娘、サラ・リーバスと申します。
大切なお友達であるアンリエッタ様が疑われているようで居てもたってもいられず…不敬は承知で口を挟んでしまいました」
申し訳ございませんと、礼を一層深くするサラ。
って、確かに不敬だ!!
王太子がわざわざ会いに来た相手との会話に入るとか、場合によっては罰せられても仕方が無い。
「サラ様は私の一番のお友達ですの!
心配して様子を見に来て下さっていたのですわ!
ですので、罰するならば私も同罪です!」
ソファから立ち上がり、慌ててサラの方に行きサラを庇うように立つと、キース様は優しげに微笑みながら「罰しませんよ」と俺とサラを見比べるように視線を動かした。
って、コレってチャンスじゃね!?
サラとキース様の出会いになるんじゃね!?
ここで上手くくっつければ、まずキース様ルートは無くなるはず!!
「サラは見目に違わず、本当に優しくて良い子なんですの。
いつも私の心配をしてくれていて、最近男爵領から出てきたばかりなのでお友達もまだ少ないそうで、デビュタントもまだなのです」
「それならアンリエッタ嬢を庇うのも無理がないね。優しいんだね」
良っし!!
コレ、サラに対するキース様の高感度上がったんじゃね!?
気になるのは、『優しいんだね』とか言うセリフが俺を向いて言われた事だけど…多分サラに言った言葉でいいんだよな?
サラも笑顔で「ありがとうございます」とか言ってるし。
「えっと…お話を戻しますが、キース殿下、アンリエッタ様の剣の実力をご覧になられますか?」
笑顔のままそう聞くサラの後ろに、ロイが木刀を二本持って佇んでいるのが見えた。用意がいい。ってかそれ俺のだろ。何勝手に持ち出してるんだよ。
勝手に私物を持ち出されて、軽くロイを睨むも視線を反らされて誤魔化された。
後で憶えとけよ。
「あぁ。見てみたいですね。女性騎士は騎士団にも居ますが、ほとんどが母達の護衛に当たる人達ですから、実際女性が戦っている姿は見たことがないですから」
見たいというキース様を「ではこちらへどうぞ」と庭へ案内するサラ。
まるでこの家の主人がサラのようだ。
勝手に進む話に、思わず二人を見送る。
「お嬢様も行かなくては」
剣を持ったままのロイとユーリンに促される。
「……行かなきゃだめ?…」
「当たり前です。サラ様のお優しさを無駄にする気ですか」
完全なサラ信者になったらしいロイはジロリと俺を睨みつけてきた。
何この子生意気。
「……お父様に言いつけて減俸してやる…」
「そしたら俺はお嬢様のしている事を全て旦那様とアラン様に言いつけます」
言い返されて呆然とする俺の腕をロイに掴まれて「行きますよ」と二人の後を追うように引きずられた。
頼みの綱のユーリンを見やるも「…当たったら怪我しちゃう…」とぶつぶつ言い、片方の木刀に柔らかそうな布を巻きつけながら歩いていた。
この家はいつの間にサラが主人になったんでしょうか?…
「お話中大変申し訳ございません。
私はマルシアス・リーバスが娘、サラ・リーバスと申します。
大切なお友達であるアンリエッタ様が疑われているようで居てもたってもいられず…不敬は承知で口を挟んでしまいました」
申し訳ございませんと、礼を一層深くするサラ。
って、確かに不敬だ!!
王太子がわざわざ会いに来た相手との会話に入るとか、場合によっては罰せられても仕方が無い。
「サラ様は私の一番のお友達ですの!
心配して様子を見に来て下さっていたのですわ!
ですので、罰するならば私も同罪です!」
ソファから立ち上がり、慌ててサラの方に行きサラを庇うように立つと、キース様は優しげに微笑みながら「罰しませんよ」と俺とサラを見比べるように視線を動かした。
って、コレってチャンスじゃね!?
サラとキース様の出会いになるんじゃね!?
ここで上手くくっつければ、まずキース様ルートは無くなるはず!!
「サラは見目に違わず、本当に優しくて良い子なんですの。
いつも私の心配をしてくれていて、最近男爵領から出てきたばかりなのでお友達もまだ少ないそうで、デビュタントもまだなのです」
「それならアンリエッタ嬢を庇うのも無理がないね。優しいんだね」
良っし!!
コレ、サラに対するキース様の高感度上がったんじゃね!?
気になるのは、『優しいんだね』とか言うセリフが俺を向いて言われた事だけど…多分サラに言った言葉でいいんだよな?
サラも笑顔で「ありがとうございます」とか言ってるし。
「えっと…お話を戻しますが、キース殿下、アンリエッタ様の剣の実力をご覧になられますか?」
笑顔のままそう聞くサラの後ろに、ロイが木刀を二本持って佇んでいるのが見えた。用意がいい。ってかそれ俺のだろ。何勝手に持ち出してるんだよ。
勝手に私物を持ち出されて、軽くロイを睨むも視線を反らされて誤魔化された。
後で憶えとけよ。
「あぁ。見てみたいですね。女性騎士は騎士団にも居ますが、ほとんどが母達の護衛に当たる人達ですから、実際女性が戦っている姿は見たことがないですから」
見たいというキース様を「ではこちらへどうぞ」と庭へ案内するサラ。
まるでこの家の主人がサラのようだ。
勝手に進む話に、思わず二人を見送る。
「お嬢様も行かなくては」
剣を持ったままのロイとユーリンに促される。
「……行かなきゃだめ?…」
「当たり前です。サラ様のお優しさを無駄にする気ですか」
完全なサラ信者になったらしいロイはジロリと俺を睨みつけてきた。
何この子生意気。
「……お父様に言いつけて減俸してやる…」
「そしたら俺はお嬢様のしている事を全て旦那様とアラン様に言いつけます」
言い返されて呆然とする俺の腕をロイに掴まれて「行きますよ」と二人の後を追うように引きずられた。
頼みの綱のユーリンを見やるも「…当たったら怪我しちゃう…」とぶつぶつ言い、片方の木刀に柔らかそうな布を巻きつけながら歩いていた。
この家はいつの間にサラが主人になったんでしょうか?…
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