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39話 俺と私の秘密の花園③
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封筒から取り出した紙にも同じ四種の花の透かし柄が入っていて、紙を取り出した瞬間に手紙から香水か何かの良い香りがした。
ちょーいいにおい…
カサリと乾いた音をさせながら手紙を開くと香りがさっきよりも広がる。
多分、紙自体に匂いを移らせたか、もしくは手紙を書いた人の香りが移ったかだろう。めっちゃ俺の好きな匂いだ。
手紙は、まず宛名である俺の名前から始まって、次にムツキ王子を助けた事に関する礼文。そして、その礼に茶会を催すから王宮へ来て欲しいと日時が書かれ、最後に差出人の名前が書かれていた。
うん。わかってた。わかってたよ。
でもさぁ?まさか、と思うじゃん?
最後の差出人を見なかった事にしたい俺は、一度手紙から視線を外し、再度見直す。
『ブロムリア王国 第一妃アイリス
ブロムリア王国 第二妃ミランダ
ブロムリア王国 第五妃リサ』
はい!まさかの連名でした!
しかも王妃全員の!
「うん。ごめんね。母達がどうしてもアンリに会いたいと言っていてね」
隣で苦笑しながら俺を見詰めてくるキース王子。言葉とは裏腹に、苦笑はしているけど全然悪びれた様子はない。
ってかあまりのショックでこの人の存在忘れてたわ。
って、いつの間にか俺の腰にキース王子の手ぇ回ってるし!?
「で、母達から返事を貰って来いと言われてね」
「……拒否…「できないね」
返答に被せる様に言ってくる。
えぇ、できないでしょうね。知ってますよ。
思わず眉を寄せて不満気な表情をしてみると、笑いながら俺の眉間に寄った皺を伸ばすように人差し指と中指で眉間を撫でてきた。
まぁ、連名かな?とは思ったけどさ…まさか本当に連名とは思わないじゃないか…
封筒と便箋に記された花は各王妃を表している。
菖蒲はアイリス妃。薔薇はミランダ妃。撫子はリサ妃。そしてチューリップは故ラクシャ妃の花紋だ。
この国の貴族は、手紙に家紋?どの家の者ですとわかるように印をしている。
ほとんどは封蝋に使う印璽を家紋にしている。
けど、王族だけは王家の家紋以外に個人の紋を持っている。
王族の女は花紋(かもん)と呼ばれる花の模様。
王族の男は獣紋(じゅうもん)と呼ばれる獣の模様。
そして、複数人からの連名の手紙は、その該当する人達の個人の紋が描かれている。
例えば、今回のように全王妃からだと菖蒲と薔薇と撫子とチューリップが。王家全員からだと全員の獣紋と花紋が。全王子連名王子達の獣紋が描かれる。
実際に連名での花紋を見たのは今回が初だけど。
ちなみに、王様は獅子、キース王子は狼だ。
他の第三者からの詐欺やらを防ぐ為らしいけど、王家の人数多いせいで便箋やら封筒が色々ありすぎるのは面倒だと思うんだ。てか、全員の模様なんて憶えられないし。他の王子達の模様なんて憶えてねぇし。
とりあえず、返事書くか…
「では、お返事をさせて頂きますので少々お待ちください」
片手は俺の腰に、もう片手は面白そうに俺の眉間の皺を伸ばしているキース王子の手から離れるように立ち上がって、窓際にある机に移動し、そこに常に置いてある便箋に、これまた常に置いてあるペンで返事を書く。
ソファに戻ったらまた触ってこようとするチカン王子…じゃねぇ。キース王子がいるから、できるだけゆっくりと。そして王妃宛だから丁寧に時間を書けて書く。
っつっても、そう書くことはないからすぐ書き終わってしまい、一緒に置いてある封筒に入れると、書いている間にユーリンが持って来てくれた赤い蝋燭で封蝋をする。
そしてソファに戻る。けど、もちろんキース王子とは別の、キース王子から見て右隣の席に。
…普通なら客の正面に座るんだけど、キース王子の正面の席は二人掛け。
今俺が座っている席とその正面の席は一人用ソファ。
正面に座ったら、移動されてまたべったりされるの判ってるから、ちょっとおかしい場所だけど一人用の方に座り、キース王子に書いたばかりの手紙を差し出す。
「そんな…取って食べたりはしませんよ?」
一人用ソファに座った俺の考えが判ったらしく、苦笑しながら渡した手紙を受け取ったキース王子は手紙を自分の上着の右側の内ポケットに仕舞った。
そしてキース王子は、後ろでずっと立って成り行きを見守っていた護衛の一人に手で合図をして、そいつが持っていた大きな箱をテーブルに置かせた。
そういや、来た時から何か持ってたっけ。
「これは僕からの婚約了承のお礼も兼ねてのプレゼントです。是非、今度の母達との茶会にでも着てください。できれば、その際には僕にも見せて頂けると嬉しいのですが」
最後の言葉をわざと聞かなかった事にして、テーブルの上の箱に視線をやる。
薄い水色に紺と赤のラインが入ったその箱には、黄色の柔らかそうなリボンが付けられている。
って、コレ…『アクシリア』のドレスじゃねぇか!?
ちょーいいにおい…
カサリと乾いた音をさせながら手紙を開くと香りがさっきよりも広がる。
多分、紙自体に匂いを移らせたか、もしくは手紙を書いた人の香りが移ったかだろう。めっちゃ俺の好きな匂いだ。
手紙は、まず宛名である俺の名前から始まって、次にムツキ王子を助けた事に関する礼文。そして、その礼に茶会を催すから王宮へ来て欲しいと日時が書かれ、最後に差出人の名前が書かれていた。
うん。わかってた。わかってたよ。
でもさぁ?まさか、と思うじゃん?
最後の差出人を見なかった事にしたい俺は、一度手紙から視線を外し、再度見直す。
『ブロムリア王国 第一妃アイリス
ブロムリア王国 第二妃ミランダ
ブロムリア王国 第五妃リサ』
はい!まさかの連名でした!
しかも王妃全員の!
「うん。ごめんね。母達がどうしてもアンリに会いたいと言っていてね」
隣で苦笑しながら俺を見詰めてくるキース王子。言葉とは裏腹に、苦笑はしているけど全然悪びれた様子はない。
ってかあまりのショックでこの人の存在忘れてたわ。
って、いつの間にか俺の腰にキース王子の手ぇ回ってるし!?
「で、母達から返事を貰って来いと言われてね」
「……拒否…「できないね」
返答に被せる様に言ってくる。
えぇ、できないでしょうね。知ってますよ。
思わず眉を寄せて不満気な表情をしてみると、笑いながら俺の眉間に寄った皺を伸ばすように人差し指と中指で眉間を撫でてきた。
まぁ、連名かな?とは思ったけどさ…まさか本当に連名とは思わないじゃないか…
封筒と便箋に記された花は各王妃を表している。
菖蒲はアイリス妃。薔薇はミランダ妃。撫子はリサ妃。そしてチューリップは故ラクシャ妃の花紋だ。
この国の貴族は、手紙に家紋?どの家の者ですとわかるように印をしている。
ほとんどは封蝋に使う印璽を家紋にしている。
けど、王族だけは王家の家紋以外に個人の紋を持っている。
王族の女は花紋(かもん)と呼ばれる花の模様。
王族の男は獣紋(じゅうもん)と呼ばれる獣の模様。
そして、複数人からの連名の手紙は、その該当する人達の個人の紋が描かれている。
例えば、今回のように全王妃からだと菖蒲と薔薇と撫子とチューリップが。王家全員からだと全員の獣紋と花紋が。全王子連名王子達の獣紋が描かれる。
実際に連名での花紋を見たのは今回が初だけど。
ちなみに、王様は獅子、キース王子は狼だ。
他の第三者からの詐欺やらを防ぐ為らしいけど、王家の人数多いせいで便箋やら封筒が色々ありすぎるのは面倒だと思うんだ。てか、全員の模様なんて憶えられないし。他の王子達の模様なんて憶えてねぇし。
とりあえず、返事書くか…
「では、お返事をさせて頂きますので少々お待ちください」
片手は俺の腰に、もう片手は面白そうに俺の眉間の皺を伸ばしているキース王子の手から離れるように立ち上がって、窓際にある机に移動し、そこに常に置いてある便箋に、これまた常に置いてあるペンで返事を書く。
ソファに戻ったらまた触ってこようとするチカン王子…じゃねぇ。キース王子がいるから、できるだけゆっくりと。そして王妃宛だから丁寧に時間を書けて書く。
っつっても、そう書くことはないからすぐ書き終わってしまい、一緒に置いてある封筒に入れると、書いている間にユーリンが持って来てくれた赤い蝋燭で封蝋をする。
そしてソファに戻る。けど、もちろんキース王子とは別の、キース王子から見て右隣の席に。
…普通なら客の正面に座るんだけど、キース王子の正面の席は二人掛け。
今俺が座っている席とその正面の席は一人用ソファ。
正面に座ったら、移動されてまたべったりされるの判ってるから、ちょっとおかしい場所だけど一人用の方に座り、キース王子に書いたばかりの手紙を差し出す。
「そんな…取って食べたりはしませんよ?」
一人用ソファに座った俺の考えが判ったらしく、苦笑しながら渡した手紙を受け取ったキース王子は手紙を自分の上着の右側の内ポケットに仕舞った。
そしてキース王子は、後ろでずっと立って成り行きを見守っていた護衛の一人に手で合図をして、そいつが持っていた大きな箱をテーブルに置かせた。
そういや、来た時から何か持ってたっけ。
「これは僕からの婚約了承のお礼も兼ねてのプレゼントです。是非、今度の母達との茶会にでも着てください。できれば、その際には僕にも見せて頂けると嬉しいのですが」
最後の言葉をわざと聞かなかった事にして、テーブルの上の箱に視線をやる。
薄い水色に紺と赤のラインが入ったその箱には、黄色の柔らかそうなリボンが付けられている。
って、コレ…『アクシリア』のドレスじゃねぇか!?
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