45 / 61
38話 俺と私の秘密の花園②
しおりを挟む
「そうそう。今日は用があって参りました」
いつもは用がないのに来てたと、目の前の王太子は自分から言いやがった。
用がないなら来んな!贈り物だって国庫から出てるんだからタダじゃないんだぞ!国民の税金なんだからな!
って、言えたら楽なのになー…なんて、思いながらも「まぁ、そうなんですの?」と微笑む。令嬢スマイルは身体に染み付いているから、思考が明後日の方に飛んでいても簡単に出来る。
「うちの母達からこれと、これを貴女に、と」
最初の「これ」で王家の赤い印璽が押された真っ白な封筒を渡され、二つ目の「これ」で、キース王子の後ろに従っていた騎士の一人が持っていた箱を手で示された。
とりあえず手渡された手紙を受け取る。
真っ白だと思っていたそれは、うっすらと菖蒲と薔薇と撫子とチューリップの花の模様が入っていた。
「もし差し支えなければ、すぐ読んで頂けますか?そちらの方が説明しやすいですから」
「今、ここで…ですの?」
現在俺達がいるのはエントランス。
キース王子が来たからエントランスでお出迎えしてたから。
だから…さっきの壁ドンもエントランス…玄関でされたとか…
そしてふと、さっき壁ドンされた時にキース王子が持ってたはずの花束ってどうしただろう?と思って周りを見たら、別の王子の護衛騎士がさり気無く持ってた。
「あぁ。とりあえず移動しましょうか。アンリの部屋でもいいですよ」
「応接間にお茶の準備をさせて頂いておりますわ」
「もう婚約した間柄なんですから、将来妻になる人の部屋も見てみたいと思う男心を叶えてはくれませんか?」
「まぁ。まだ婚約式は挙げていませんもの。いくら殿下のお願いでも、男性を部屋にお入れするなんてできませんわ」
爽やかに微笑みながら俺の部屋を指定するキース王子に、笑顔で答えてやる。
この王子、実は真面目そうに見えて一番婚約したらマズい相手だったんじゃ…
ちょっと貞操の危機―!?
◆◆◆◆◆
キース王子にエスコートされて応接間に入ると、すでにお茶と茶菓子の準備は出来ていて、部屋に芳しい紅茶の香りが漂っている。
結局部屋に入る事を諦めたキース王子に、ちょっとの距離でもエスコートをと言われて、自分の家なのにも拘らずキース王子の腕に手を乗せて移動している。
なんかやたらと触れ合いたがるこの王子に、俺はHPが序所に削られている気分だ…一歩、歩くたびに毒でHP削られる、前世でのゲームみたいな感覚…
俺を来客用の三人くらい座れるソファに座らせると、当たり前のように隣に座ってくるキース王子。
もうやだこのひと…座ってもぺったりくっついてきやがる…
「で…では拝見させて頂きますわ…」
手を取ろうとしてくるキース王子から自分の手を救出し、後ろに控えていたセイラにペーパーナイフを持ってくるように頼んだ。
――――――
今回はかなり短めです。申し訳ありません。
近況ボードに謝罪を載せさせて頂いております。また、次回の投稿日は未定となります。申し訳ありません。
いつもは用がないのに来てたと、目の前の王太子は自分から言いやがった。
用がないなら来んな!贈り物だって国庫から出てるんだからタダじゃないんだぞ!国民の税金なんだからな!
って、言えたら楽なのになー…なんて、思いながらも「まぁ、そうなんですの?」と微笑む。令嬢スマイルは身体に染み付いているから、思考が明後日の方に飛んでいても簡単に出来る。
「うちの母達からこれと、これを貴女に、と」
最初の「これ」で王家の赤い印璽が押された真っ白な封筒を渡され、二つ目の「これ」で、キース王子の後ろに従っていた騎士の一人が持っていた箱を手で示された。
とりあえず手渡された手紙を受け取る。
真っ白だと思っていたそれは、うっすらと菖蒲と薔薇と撫子とチューリップの花の模様が入っていた。
「もし差し支えなければ、すぐ読んで頂けますか?そちらの方が説明しやすいですから」
「今、ここで…ですの?」
現在俺達がいるのはエントランス。
キース王子が来たからエントランスでお出迎えしてたから。
だから…さっきの壁ドンもエントランス…玄関でされたとか…
そしてふと、さっき壁ドンされた時にキース王子が持ってたはずの花束ってどうしただろう?と思って周りを見たら、別の王子の護衛騎士がさり気無く持ってた。
「あぁ。とりあえず移動しましょうか。アンリの部屋でもいいですよ」
「応接間にお茶の準備をさせて頂いておりますわ」
「もう婚約した間柄なんですから、将来妻になる人の部屋も見てみたいと思う男心を叶えてはくれませんか?」
「まぁ。まだ婚約式は挙げていませんもの。いくら殿下のお願いでも、男性を部屋にお入れするなんてできませんわ」
爽やかに微笑みながら俺の部屋を指定するキース王子に、笑顔で答えてやる。
この王子、実は真面目そうに見えて一番婚約したらマズい相手だったんじゃ…
ちょっと貞操の危機―!?
◆◆◆◆◆
キース王子にエスコートされて応接間に入ると、すでにお茶と茶菓子の準備は出来ていて、部屋に芳しい紅茶の香りが漂っている。
結局部屋に入る事を諦めたキース王子に、ちょっとの距離でもエスコートをと言われて、自分の家なのにも拘らずキース王子の腕に手を乗せて移動している。
なんかやたらと触れ合いたがるこの王子に、俺はHPが序所に削られている気分だ…一歩、歩くたびに毒でHP削られる、前世でのゲームみたいな感覚…
俺を来客用の三人くらい座れるソファに座らせると、当たり前のように隣に座ってくるキース王子。
もうやだこのひと…座ってもぺったりくっついてきやがる…
「で…では拝見させて頂きますわ…」
手を取ろうとしてくるキース王子から自分の手を救出し、後ろに控えていたセイラにペーパーナイフを持ってくるように頼んだ。
――――――
今回はかなり短めです。申し訳ありません。
近況ボードに謝罪を載せさせて頂いております。また、次回の投稿日は未定となります。申し訳ありません。
0
あなたにおすすめの小説
社畜OLが学園系乙女ゲームの世界に転生したらモブでした。
星名柚花
恋愛
野々原悠理は高校進学に伴って一人暮らしを始めた。
引越し先のアパートで出会ったのは、見覚えのある男子高校生。
見覚えがあるといっても、それは液晶画面越しの話。
つまり彼は二次元の世界の住人であるはずだった。
ここが前世で遊んでいた学園系乙女ゲームの世界だと知り、愕然とする悠理。
しかし、ヒロインが転入してくるまであと一年ある。
その間、悠理はヒロインの代理を務めようと奮闘するけれど、乙女ゲームの世界はなかなかモブに厳しいようで…?
果たして悠理は無事攻略キャラたちと仲良くなれるのか!?
※たまにシリアスですが、基本は明るいラブコメです。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【長編版】悪役令嬢は乙女ゲームの強制力から逃れたい
椰子ふみの
恋愛
ヴィオラは『聖女は愛に囚われる』という乙女ゲームの世界に転生した。よりによって悪役令嬢だ。断罪を避けるため、色々、頑張ってきたけど、とうとうゲームの舞台、ハーモニー学園に入学することになった。
ヒロインや攻略対象者には近づかないぞ!
そう思うヴィオラだったが、ヒロインは見当たらない。攻略対象者との距離はどんどん近くなる。
ゲームの強制力?
何だか、変な方向に進んでいる気がするんだけど。
【本編完結】伯爵令嬢に転生して命拾いしたけどお嬢様に興味ありません!
ななのん
恋愛
早川梅乃、享年25才。お祭りの日に通り魔に刺されて死亡…したはずだった。死後の世界と思いしや目が覚めたらシルキア伯爵の一人娘、クリスティナに転生!きらきら~もふわふわ~もまったく興味がなく本ばかり読んでいるクリスティナだが幼い頃のお茶会での暴走で王子に気に入られ婚約者候補にされてしまう。つまらない生活ということ以外は伯爵令嬢として不自由ない毎日を送っていたが、シルキア家に養女が来た時からクリスティナの知らぬところで運命が動き出す。気がついた時には退学処分、伯爵家追放、婚約者候補からの除外…―― それでもクリスティナはやっと人生が楽しくなってきた!と前を向いて生きていく。
※本編完結してます。たまに番外編などを更新してます。
モブなのに、転生した乙女ゲームの攻略対象に追いかけられてしまったので全力で拒否します
みゅー
恋愛
乙女ゲームに、転生してしまった瑛子は自分の前世を思い出し、前世で培った処世術をフル活用しながら過ごしているうちに何故か、全く興味のない攻略対象に好かれてしまい、全力で逃げようとするが……
余談ですが、小説家になろうの方で題名が既に国語力無さすぎて読むきにもなれない、教師相手だと淫行と言う意見あり。
皆さんも、作者の国語力のなさや教師と生徒カップル無理な人はプラウザバック宜しくです。
作者に国語力ないのは周知の事実ですので、指摘なくても大丈夫です✨
あと『追われてしまった』と言う言葉がおかしいとの指摘も既にいただいております。
やらかしちゃったと言うニュアンスで使用していますので、ご了承下さいませ。
この説明書いていて、海外の商品は訴えられるから、説明書が長くなるって話を思いだしました。
【完結】ど近眼悪役令嬢に転生しました。言っておきますが、眼鏡は顔の一部ですから!
As-me.com
恋愛
完結しました。
説明しよう。私ことアリアーティア・ローランスは超絶ど近眼の悪役令嬢である……。
気が付いたらファンタジー系ライトノベル≪君の瞳に恋したボク≫の悪役令嬢に転生していたアリアーティア。
原作悪役令嬢には、超絶ど近眼なのにそれを隠して奮闘していたがあらゆることが裏目に出てしまい最後はお約束のように酷い断罪をされる結末が待っていた。
えぇぇぇっ?!それって私の未来なの?!
腹黒最低王子の婚約者になるのも、訳ありヒロインをいじめた罪で死刑になるのも、絶体に嫌だ!
私の視力と明るい未来を守るため、瓶底眼鏡を離さないんだから!
眼鏡は顔の一部です!
※この話は短編≪ど近眼悪役令嬢に転生したので意地でも眼鏡を離さない!≫の連載版です。
基本のストーリーはそのままですが、後半が他サイトに掲載しているのとは少し違うバージョンになりますのでタイトルも変えてあります。
途中まで恋愛タグは迷子です。
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
乙女ゲームに転生した悪役令嬢! 人気が無い公園で出歯亀する
ひなクラゲ
恋愛
私は気がついたら、乙女ゲームに転生していました
それも悪役令嬢に!!
ゲーム通りだとこの後、王子と婚約させられ、数年後には婚約破棄&追放が待っているわ
なんとかしないと…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる