通りすがりの日常。

花房山

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君と僕の青い春

ひらり、ひらひら …男子高校生

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今年も綺麗に桜が咲いた。
特に何を感じるわけでも無いけれど、そう思った。

入学当初に比べ、学校の生活に慣れた4月。
進級しても何も変わりはしないだろう。

適当に毎日過ごして、遊んで、偶にさぼって。
変わらない彩り。
退屈だとは思わないが、楽しいとも感じない。
所詮暇つぶしのような時間。

風が吹いて桜の花びらが舞う。
ひらり、ひらひら
花びらが踊る空へ、命尽きたかのように横たわる地面へ
視線を彷徨わせる。

ふと、足音が聞こえる。
感覚が短いから恐らく走っているのだろう。
視線を向ける。
一人の女子生徒だった。
短めの黒髪が乱れ、
センスが良いと人気らしいチェックのスカートがはためく。
胸元にある花飾りからして、新入生だろう。
二人の女子生徒の前で止まり、笑顔を向けた彼女。

目が離せなかった。

ひらり、ひらひら

ココロに新しい色が舞い落ちた。

END
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