通りすがりの日常。

花房山

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君と僕の青い春

いつもの昼休み …Gamerトリオ

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キーンコーンカーンコーン…

ざわざわと一気に騒がしくなる学校。
教室から我先にと駆けていく生徒。大方購買や出張販売のお弁当屋が目当てだろう。
大方の生徒が自分のところではない教室で友人と共に談笑しながら昼食を摂る。
それは2-Dの窓際日当たりのいい席を3つ独占している彼らも例外でなかった。

「おい、谷。今日は何処に行く?」
「んー、昨日レベル上げしたし、佳境の底のクエストでも受けてみる?」
「いいじゃんいいじゃん!俺も行く!」

お互い手元の弁当やパンを突っつきながら放課後の予定を相談する。
この3人は自他共認めるゲーマーである。そして3人で共に行うことも多い。
そんな3人の最近取り組んでいる物とは、PCゲームのとあるMMORPGにハマっている。

「装備整えないとねぇ…あそこ行くまで大変かも」
「あ、そうか一回も行ったことねぇから飛べないんだっけ」
「ま、谷が居れば大丈夫っしょ!」
「おい、今野も頑張れよ」
「言っとくけど、今野の今の装備じゃ俺がサポートしても早々に死ぬね」

ズゾゾーと紙パックのコーヒーをストローで吸い上げながらきっぱり告げる。

「えぇ!?そ、そんなときは…!」
「そんなときは?」
「八崎を身代わりにする」
「ふざけんな」

いい笑顔で言い放った今野の手元にあったチョコレート菓子が八崎に奪われる。

「あっ俺の糖分んんん」
「返して欲しくば大人しく金を集めるんだな」
「うううう~…」
「今手持ちどのくらいだ?昨日のレベル上げでそこそこ貯まったんじゃないのか?」
「いや…それが…」

言いにくそうな今野の様子に首を傾げる谷と八崎。だがひとつの予想にたどり着く。

「おまえ、まさか」
「…イベントに、まるっと」

へへへと笑って告げる今野の頭がスパンッと谷と八崎に叩かれる。

「お前はぁあああ!」
「いい加減覚えろ!!」

そう、何を隠そう今野には日常ではあまり目立たない弱点があった。
それは賭博根性である。
現在行っているゲームでは新企画としてゲーム内マネーで行える
ガチャガチャがフィールド上に設置されている。
今野はそれに全額つぎ込んだのだという。

コイツは途中からムキになって、気づいたら全部なくなってましたっていう
良くないパターンなんだよなぁ、と谷はため息をつく。

「まぁ、やっちまったもんはしょうがない。何か良いもんでたのか」
「それが、全部ゴミ…」
「うっわ、お前それは可哀想」

ガチャガチャはたしか1回500DCだ。
俺は昨日だけでも100000DC稼げたから…、と八崎は回数を想像し、げんなりする。
ガチャは運だ。まぁ多少は運営側から確率が操作されてはいるだろうが、
そのゲームの運営は他と比べると比較的善良な確率である。
てことは本当に運がなかったんだな…
「まぁ、お前もこれで懲りただろ」

八崎が先程ぶんどった菓子を食べながら言う。

「俺の菓子…」

意気消沈している今野が哀れになった谷はミルク味の飴を差し出し慰める。

「ほら、今日手伝ってやるから、頑張ろ、なぁ?」
「ああ、だからぐだぐだ言ってないでちゃっちゃか狩れよ」
「谷、八崎…!」

涙目でお礼を言いながら飴を食べる今野に谷と八崎は顔を見合わせて笑う。
そうして時間は過ぎ、今野と八崎は所属するクラスへ帰っていく。
次の教科の準備をおざなりに終えるとタイミングよく教科担当の先生が
教室に入ってくる。
谷は放課後が楽しみだと授業を他所に頬杖をつき眠りについたのだった。

END
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