通りすがりの日常。

花房山

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君と僕の青い春

君しか見えない!! …キャリアウーマンとサラリーマン

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とある会社のとあるオフィス。
ちょうどお昼休憩の時間帯。
各々自分のデスクか休憩スペース、食堂で昼食にありつく。
そんな至福のひとときに情熱をかける男が居た。

「ねぇねぇ!明日休み?俺とデートしない?」

デスクの一角。
茶色の明るい髪の毛をワックスで整えた見目のいい男性が
隣のデスクで昼食を摂っている女性に話しかけている。
いちごみるくのパックジュースを手に持ちながら。

「…」
「ねぇ、明日天気良いみたいだし!どうせなら海辺まで出てみようよ~」
「…」
「あ、もちろん車出すよ?紳士ですから!」

周りはいつものことかと苦笑一つ、我関せず状態。

「ねぇ~聞いてる?」
「…はぁ、私は明日、休みではないのですが」
「えええええっ」
「そもそも、デートの許可もしていません」
「いいじゃん、デートしようよ!」
「しません」
「俺、ほんとに好きなんだよ!」
「いちごみるくが?」
「そう!あ、いや、違う。あってるけど違う!」
「へぇ」
「興味なさすぎ!」
「御飯食べないんですか?もう時間ないですよ?」
「え?まじ?やばっ」

慌ててパンを出し食べ始める。
しばらく急いで食べ進めていたが、ふと気づく。

「っじゃなくて!」
「ちっ」
「今舌打ちしたよね?!」

はぁ、息をついて、体ごと彼女に向き合う。

「俺、好きなんだ」

真面目な顔で彼女の横顔を見つめて伝える。
幾度流されても、この気持に偽りはない。
食べ終わったお弁当箱を片付ける彼女は反応を返さなかった。
今日はここまでか、とがっくり肩を下げる彼の耳に
聞こえてきた言葉。

「知ってますよ」
「…っえ?」

鞄の中から財布を拾い上げ、そのまま席を立つ彼女を呆然とみつめる。
そしてこちらを涼し気な顔をして見やる。

「今週の日曜日」
「え、あ、え?」

にやり、まさにこの言葉がぴったりな表情で言い放ったのだ。

「開けといてくださいね」

そして颯爽とオフィスを出ていったのだった。

「え、え、」

戸惑い現状を把握しきれてない彼の周りの同僚や先輩は祝福の言葉を投げかける。

「おい、やったな!」
「ついに一歩って感じね~」
「めでたきかなめでたきかな」
「流石、彼女のほうが男前だったね」

割りと長く続けられてきた押し問答がようやくいい形に終わったのだ。
皆我が事のように嬉しそうである。

「よ…」

現実に辿り着いた彼は、あふれる胸の内をこう表現した。

「予行練習しなきゃ…!!!!」

どうやら行く先は前途多難らしい。


END
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