外れ職業の旅芸人(LV.15)だったけれど、呪いの装備を使いこなせるチートに目覚めました

寿司

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闘技大会の街 コロセウム

第23話 さてさて優勝は?

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「さぁいよいよ始まりました!!!!! 一年に一度の闘技大会、決勝戦です!  」

 わあああああああと観客の歓声があちこちからあがる。
 何だか昨日の予選のときよりも観客が増えているような……。

「対戦者は華麗なる王国騎士、エリザベス選手!!! 」

 うおおおおお!!!! と特に男性の声が大きくなった。

「対するは謎の剣士、リヒト選手です!!! 」

 僕はぎこちなく右手をあげてみせる。するとそれに応えるかのように歓声が強まった。
 初めての経験なので僕は思わずぞくりと身震いした。

「さぁこの戦いで今年の優勝が決まります!!! 試合!!! 開始!!」

 唾を飛び散らしてわめく司会者の合図、いよいよ最後の試合が始まった。

 僕は一度彼女から距離を取ると、まじまじとその様子を見る。
 なるほど確かに剣を持つ手がブルブルと震えておりあまり戦いには馴れていないようだ。

 このときの僕は普通に勝ちを彼女に譲っても良いと思っていた。
 僕はカーチィス家の至宝なんてものに興味はないし、元々の持ち主が持つことが一番良いと思う。

 第一、僕はお金を稼ぎに来たのだ!

 すると、やあああ!!! と勇ましい雄叫びをあげてエリザベスが剣を振りかざした。あまりにもゆっくり過ぎるその動きを僕は難なく避けると、ぽつりと彼女の耳元で呟いた。

「剣を横に振って」

「え!? 」

 不思議そうな顔をしながらもエリザベスが僕の言うとおりに剣を動かす。

 その動きに合わせて……。

「ぐわああああ!!!! 」

 僕は大袈裟に後ろに飛び退くと、そのまま倒れ込んだ。
 エリザベスは一瞬怪訝そうに眉をひそめたものの、すぐに僕の意図を汲んでか更に追撃をしようとする。

 待ってくれ! 追い討ちをかけるのはやめてくれ!
 ……これは心からのSOSだ。

「分かった。俺の敗けだ! 降参だ! 」

 僕は剣を地面に落とすと、両手をあげて降参アピール。
 わざとらしく怪我をしたように見えるよう、腹の辺りを押さえてよろめいてみせる。

 ほんの一瞬で決着がつき、観客たちがざわめく。

「な、なにが起こったのでしょうか!? リヒト選手降参!? 」

 司会者も着いていけてない様子で、慌ててマイクを握り直した。

「何が起こったんだ……!? わざとよろめいたようにも見えたが……」

 観客の誰かが呟いた。まずい、僕の演技が下手すぎてバレてる。

「いやそれだけエリザベス選手が強すぎたのだろう……」

 また別の誰かがそういうと、観客たちは納得したように拍手をし始めた。

「おめでとう!! エリザベス!! 」

「一瞬で勝負が着いたのはつまらなかったけどそれだけ強いんだな! 」

 次々に飛んでくる称賛の声にエリザベス自身がまだ追い付けていないようだ。
 しかし一度泣き笑いのような表情を作ると、僕に深くお辞儀をした。

「なんとここまで早く決着が着いた試合はあったでしょうか!? 優勝はエリザベス選手です!! 」

 わああああああと拍手の雨がエリザベスに降り注ぐ。
 それを一歩引いて見てる僕。うん、やっぱり僕は脇役に徹している方が性に合っているな。

「あえなく優勝は逃しましたが、健闘したリヒト選手にも拍手をお願いしまーす! 」

 え、僕にも?

「強かったぞー! また来年も出てくれよなー! 」

「来年は優勝してくれ! 」

 初めて強いなんて言われた僕はなんて答えたら良いのか分からず、ただ俯いて、お辞儀を返した。
 視界の端で、リオンだけが仕方ないなぁとでも言いたげな顔して全てを察しているようだ。

「さぁ、一旦休憩にした後に表彰式を行います。皆さん一度休息を取ったのち、戻ってきてください」

 司会者のアナウンスが流れ、客席からはみるみるうちに人がいなくなっていった。
 それを見てようやく闘技大会が終わったことを実感した。
 うん、無傷だしアイテムは入手出来そうだし満足だ!

 僕はリオンと合流しようと踵を返す。すると何者かに腕を掴まれた。

「あの……!! 」

「あ、エリザベスさん」

 顔を真っ赤にして何か言いたげなエリザベス。
 
「その……ありがとうございます。私、あなたに酷いこと言ったのに」

「何のことですか? 俺はエリザベスさんが強すぎて歯が立たなかっただけなので」

「そんな、私、全然手応えを感じなかったのに……」

 この人も真っ直ぐな人だ。こんな司会者に聞かれかねない場所で八百長を問い質すなんて失格になってもおかしくない。

「せめて何か御礼を……」

「とんでもない、闘技大会は実力の世界。貴女が俺より強かった。それだけの話です」

 尚も食い下がろうとするエリザベスに困っていると「ノアー! 」と僕を呼ぶ声がした。

 ぱたぱたと近付いてきたのは案の定リオン。目を細めて呆れているようだ。

「何怒ってんだよ」

「別にー」

 そしてエリザベスの存在に気が付くと、途端に険しい顔つきになる。

「また馬鹿にしに来たの? 」

「こらリオン。違うよ」

 明らかに敵意を剥き出しにするリオンを制止し、経緯を話す。彼女は不満そうな顔はしたものの特に何も言わなかった。

「まあノアが良いならそれで良いよ。ねー! 私お腹空いちゃった。何か食べに行こうよ」

 きゅるるるると僕のお腹が情けなく鳴った。

「確かに……軽く食べに行くか」

 僕はエリザベスに軽く会釈をすると、リオンを連れてその場を後にしたのであった。
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