外れ職業の旅芸人(LV.15)だったけれど、呪いの装備を使いこなせるチートに目覚めました

寿司

文字の大きさ
30 / 50
学術都市 アルカデラ

第30話 変人? ソフィア

しおりを挟む
 少女に連れてこられたのは一軒の民家。どこを見ても書物やガラクタ、何かの設計図など僕の理解が追い付かないような代物で溢れ返っている。

「汚いけど適当に座って、えっとここら辺に……」

「はぁ……」

 促されるままにとりあえず周りの物をどけて座り込む。

「あ、あった! はいこれ、ご馳走ね」

 少女が僕にぶん投げて来たのは直方体のブロックのようなもの。おそらく人工的に作られた固形栄養食のようなものだろう。

「ノア……なぁにこれ? 」

 リオンが不思議そうな顔でまじまじとブロックを見つめる。

「あたしの主食だよ主食! 変なもんは入ってないから食べてみ」

 リオンは不安そうに僕をちらちら見ていたので僕がまず口に含んで見せた。うん、特別美味しいわけではないか食べられない訳ではない。

「不思議な味ね」

 僕の真似をして食べてみたリオンは一人首を捻っていた。

「アルカデラの人間はこればっかり食べてるよ、なんせせっかちだからね」

 少女はからかうようにケラケラと笑う。

「なるほど……で、僕たちはなぜここに連れてこられたのでしょう……」

 よくぞ聞いてくれた、と少女が立ち上がる。

「あたしはソフィア=ロアクリフ。天才魔法使いよ! 」

「て、天才魔法使い……? 」

 するとソフィアは自慢気に腕に装着している不思議な機械を見せつけた。

「ふふん、これがあたしが作った人工魔法生成機。これさえあれば魔法が使えない戦士だって魔法を使えるようになるのよ」

 良く分からないけど凄そうだ……!

「で、今まではこれが魔法だという証拠が得られなかったんだけど、あんたの持ってるその盾、それが魔法を跳ね返すという効果があるらしいじゃない? そしてさっきあたしの魔法は跳ね返された! つまりこれが生成してるのは魔法ってことが証明出来たのよ」

 ペラペラと早口で捲し立てるソフィア。うん、いまいち何を言ってるか分からないが、要は魔法という証明が欲しかったということか……。

「だからそのお祝いに客人を招きたい気分になったってわけ」

 分かるような分からないような……。

「……ちょっと変な人だね」

 リオンがこそこそと耳打ちする。

「いや、かなり変な人だよ」

「聞こえてるぞ君たち。そーだ、君たちは一体どういう事情であんなところに? 歴史の知識を探るやつなんてあたしぐらいしかいないと思ってたけど」

「そうだ、僕はこの世界の歴史を調べようとしてたんだ。なぜあの建物だけ焼失してるんだ? 」

「分からん」

 きっぱりと切り捨てるソフィア。思わずずっこける僕。

「でもあたしが小さいときからあれはずっと焼け焦げたままだよ。特に復旧させようって動きはないし……そういえば何でなんだろ? 」

「なるほどね……」

「でも書物が完全に失われた訳ではないよ。ほら、これ」

 そう言ったソフィアが差し出したのは表紙が少し焦げているものの、中身は無事な一冊の本。

「まー、子ども向けの簡単なやつだけどね。あんたも小さい頃読んだことあるんじゃない? あたしも魔法を使えるようになるヒントを探して色々読んでたんだけど、役には立たなかったかな」

「覚えがあるね」

 この世界の子どもたちがまず読み聞かされるお伽噺。

 光神ファリアスと邪神ニュクスの戦いの物語

「ノア、何の話? 」

 ぴょこんと顔を覗かせたリオンは無邪気に笑う。

「この世界のお伽噺さ。リオンも読んだことあるんじゃないか? 」

 リオンはしばらく自分の記憶を辿っていたようだが 、首を横に振る。

「へえ珍しいね、このお伽噺聞いたことない子どもがいるなんて」

 ソフィアが目を細めた。

「まあでも、その子、普通の人間じゃないだろ? 」

「え? 」

 リオンは深くフードを被っているし、獣人族であることはバレていないはずなのだが……。

「何のこと? 妹は僕と同じ人間ですよ」

「ふーん、ま、いいけど」

 それ以上ソフィアは興味をなくしたのか、特に何も言ってはこなかった。
 まずいな、何とかこの空気を変えなければ。

「じゃあ折角だし読んであげるよ」

 うん! と元気良く返事をしたリオン。

 そして僕はその絵本を読み聞かせ始めたーー。

 昔々、この世界はファリアス様によって作られ、一日中太陽が昇っていました

 しかしある日、邪神ニュクスがどこからかやってきてこの世界を闇に落としました

 ファリアス様は何とかしてニュクスとお話をして、この世界から闇を退けるように頼み込みました

 しかし、ファリアス様は光の神、ニュクスは闇の神。まるで反対の二人は仲良くすることは出来ませんでした

 ニュクスは光り輝くこの世界が羨ましかったのです

 ニュクスは五人の大罪人を率いてこの世界の支配を目論みました

 それを対抗するためにファリアス様は勇者と呼ばれる勇敢な青年とその仲間たち共にニュクスに立ち向かい、封印することに成功しました

 そうして再び世界に光が戻りましたとさ

「……おしまい」

 その大罪人というのが

狂気の魔導師 ジョージ=ロアクリフ

血の天使 エレノア=ハーベスト

狂った護り手  オークレイ=カーチィス

貪欲な盗人 ヴァイス

争いに飢えた狂戦士 ルカリ=クレイヅ

……まあこれは中等部で習うようなレベルなのでリオンにはまだ早いので言わないでおこう。

「どうリオ……」

僕は思わず動きを止めた。静かに話を聞いていたリオンがボタボタと大粒の涙を流していたのだ。

「ご、ごめんリオン。大丈夫? どこか痛かった? 」

「ううん、平気。でも何でだろ……涙が止まらないの」

 そうやって咽び泣くリオンの頭を撫でることしか僕には出来なかった。
しおりを挟む
感想 20

あなたにおすすめの小説

三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る

マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息 三歳で婚約破棄され そのショックで前世の記憶が蘇る 前世でも貧乏だったのなんの問題なし なによりも魔法の世界 ワクワクが止まらない三歳児の 波瀾万丈

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

転生したら領主の息子だったので快適な暮らしのために知識チートを実践しました

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
不摂生が祟ったのか浴槽で溺死したブラック企業務めの社畜は、ステップド騎士家の長男エルに転生する。 不便な異世界で生活環境を改善するためにエルは知恵を絞る。 14万文字執筆済み。2025年8月25日~9月30日まで毎日7:10、12:10の一日二回更新。

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

八百万の神から祝福をもらいました!この力で異世界を生きていきます!

トリガー
ファンタジー
神様のミスで死んでしまったリオ。 女神から代償に八百万の神の祝福をもらった。 転生した異世界で無双する。

【完結】異世界で神の元カノのゴミ屋敷を片付けたら世界の秘密が出てきました

小豆缶
ファンタジー
父の遺したゴミ屋敷を片付けていたはずが、気づけば異世界に転移していた私・飛鳥。 しかも、神の元カノと顔がそっくりという理由で、いきなり死刑寸前!? 助けてくれた太陽神ソラリクスから頼まれた仕事は、 「500年前に別れた元恋人のゴミ屋敷を片付けてほしい」というとんでもない依頼だった。 幽霊になった元神、罠だらけの屋敷、歪んだ世界のシステム。 ポンコツだけど諦めの悪い主人公が、ゴミ屋敷を片付けながら異世界の謎を暴いていく! ほのぼのお仕事×異世界コメディ×世界の秘密解明ファンタジー

剣ぺろ伝説〜悪役貴族に転生してしまったが別にどうでもいい〜

みっちゃん
ファンタジー
俺こと「天城剣介」は22歳の日に交通事故で死んでしまった。 …しかし目を覚ますと、俺は知らない女性に抱っこされていた! 「元気に育ってねぇクロウ」 (…クロウ…ってまさか!?) そうここは自分がやっていた恋愛RPGゲーム 「ラグナロク•オリジン」と言う学園と世界を舞台にした超大型シナリオゲームだ そんな世界に転生して真っ先に気がついたのは"クロウ"と言う名前、そう彼こそ主人公の攻略対象の女性を付け狙う、ゲーム史上最も嫌われている悪役貴族、それが 「クロウ•チューリア」だ ありとあらゆる人々のヘイトを貯める行動をして最後には全てに裏切られてザマァをされ、辺境に捨てられて惨めな日々を送る羽目になる、そう言う運命なのだが、彼は思う 運命を変えて仕舞えば物語は大きく変わる "バタフライ効果"と言う事を思い出し彼は誓う 「ザマァされた後にのんびりスローライフを送ろう!」と! その為に彼がまず行うのはこのゲーム唯一の「バグ技」…"剣ぺろ"だ 剣ぺろと言う「バグ技」は "剣を舐めるとステータスのどれかが1上がるバグ"だ この物語は 剣ぺろバグを使い優雅なスローライフを目指そうと奮闘する悪役貴族の物語 (自分は学園編のみ登場してそこからは全く登場しない、ならそれ以降はのんびりと暮らせば良いんだ!) しかしこれがフラグになる事を彼はまだ知らない

田舎娘、追放後に開いた小さな薬草店が国家レベルで大騒ぎになるほど大繁盛

タマ マコト
ファンタジー
【大好評につき21〜40話執筆決定!!】 田舎娘ミントは、王都の名門ローズ家で地味な使用人薬師として働いていたが、令嬢ローズマリーの嫉妬により濡れ衣を着せられ、理不尽に追放されてしまう。雨の中ひとり王都を去ったミントは、亡き祖母が残した田舎の小屋に戻り、そこで薬草店を開くことを決意。森で倒れていた謎の青年サフランを救ったことで、彼女の薬の“異常な効き目”が静かに広まりはじめ、村の小さな店《グリーンノート》へ、変化の風が吹き込み始める――。

処理中です...