外れ職業の旅芸人(LV.15)だったけれど、呪いの装備を使いこなせるチートに目覚めました

寿司

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ようこそアンフェルサーカス団へ

第41話 何か引っ掛かる

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 コアのやつ、何だか様子がおかしかったな……?

 まるで自分がいなくなってしまうような口ぶりだった。

「ノア、どうしたの? 」

 朝食のトーストをかじりながらリオンが言う。
 バターがたっぷりとのったトーストのザクザクとした音が耳に心地よい。

「あ、ああ……なんでもない」

 昨日のコアの言葉が頭にはべりついたみたいだ。
 何か、何か、大切なことを僕は見過ごしているような気がする。

「そうだ! 今日、テスカとコアが練習風景を見に来てって言ってたの! 一緒に行かない? 」

「へえ」

 コアにもう一度聞いてみよう、そうしたら何か分かるかも知れない。

 そう思った僕はリオンの誘いにのったのである。

「ソフィは? 」

 ベッドに転がっているソフィアに話しかけるリオン。

「あー、あたしはパス。ねむーい」

 猫のようにゴロゴロと丸まっているソフィア。
 まるで自分の家のように寛いでるなこの人は……。

「って、ソフィ? いつの間に仲良くなったのか」

「うん! 色々教えて貰ったんだ! ソフィは凄く物知りだね」

 僕はじっとソフィアを見つめる。

「変なこと吹き込んでないだろうな……」

「当たり前でしょ! いたいけな少女に変なことしないわよ」

 なら、良いけど……。

「男の人は大きな胸が好きって話を聞いたよ、ノアもそうなの?」

 屈託のない笑顔を浮かべるリオン。
 あ、やべ。と言う顔をするソフィア。そして僕の怒号が部屋に響き渡った。

◇◇◇

 ソフィアに説教をし終えて、僕たちはテスカとコアがいるというテントに来た。
 なるほど、確かに他のテントよりも一際大きく、豪華な装飾がされている。
 このサーカス団で一番人気と言うのも嘘ではないのだろう。

「あら、ノアさん。どうかしましたか? 」

 そして中から出てきたのはクロエ。相変わらず人懐っこい笑顔と扇情的な格好が目をひく。

 途端にささっと僕の後ろに隠れるリオン。

「ああ、すいません。テスカとコアの練習風景を観に行きたいと思いまして」

「まあ二人の……? でも今は……」

「テスカ! コア! 」

 そう叫んだかと思うと、ぴゅーっとクロエの横をすり抜けてテントに入り込むリオン。僕が引き留めるより早く、姿を消してしまった。

「あ、リオン! 」

 慌てて追いかけようとしたがクロエに引き留められた。

「子ども同士、話したいこともあるでしょう。リオンちゃんなら構いませんよ」

「なるほど、まあ確かに……」

 そしてクロエはにこっと口許に手を当てた。

「大人は大人同士、お話なんてどうですか? 」

「でも……」

 むせ変えるような香水の匂いが更に強くなる。まるで脳を揺さぶられたような衝撃。

「リオンちゃんなら大丈夫。テスカとコアはああ見えてしっかり者ですから」

「そうですか、ご迷惑おかけします」

 そうして僕はクロエに促されるまま、その誘いにのることにしたのである。
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