外れ職業の旅芸人(LV.15)だったけれど、呪いの装備を使いこなせるチートに目覚めました

寿司

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ようこそアンフェルサーカス団へ

第44話 本性を暴け!

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 まずい、火を消し止めなければ……。
 しかし体が言うことを聞かず、呂律が上手く回らない。

「う……あ……」

 辛うじて口から出てきたのは言語を成していない嗚咽で、僕はただその場でのたうち回るしかない。
 そうこうしている間にも白い煙が充満し、炎が燃え広がっていく。

 このままリオンを奪われてしまうのだろうか?
 
 ソフィア! そう言えば彼女はどうしている?

「ノアさん! 」

 すると何者かが燃え盛る部屋の中に飛び込んできた。
 霞む目を凝らしてよくよく見ると、それはテスカであった。

「テ、スカ……? 」

「大丈夫ですか? 今助けます」

 テスカは解毒魔法を唱え始めた。すると見る見る内に体の痺れが消え、意識がはっきりしてきた。

「さあ早く、逃げましょう! 」

 テスカが僕の腕を自分の肩に回すと、何とかして脱出を試みる。

「ああ! 」

 このままでは二人とも灼け死んでしまう。そう判断した僕は逆にテスカの体を持ち上げると。一気に出口まで駆けだした。

 見ると、外は地獄絵図であった。

 たくさんあったどのテントもメラメラと燃え、辺りを真っ赤に染めている。
 そして他の団員たちは消火活動に必死になっており、皆右往左往している。

「なんだ……これ」

 僕は目の前の光景が信じられずに茫然と立ち尽くす。
 クロエはあのテントだけでなく、全てのテントに火をつけたのだろうか?

「ごめんなさいノアさん。私、外で二人の会話を盗み聞きしていました。私たちに両親がいたこと、そしてリオンちゃんを団長が狙っていることを」

「テスカ……」

「早く! 急いでください、お兄ちゃんとリオンちゃんを助けて下さい! 」

 そうして僕はテスカの案内に従ってあるテントへと向かった。

◇◇◇

 テスカとコア、二人のテントは今だに火の手が回っていないようだった。
 そこは空中ブランコの芸をするテントなのだろう、それらしき道具が宙に浮かんでた。

 そしてぐるりと囲むように並んだ観客席の中央に、人影が見えた。

「お兄ちゃん! 」

 テスカが悲鳴にも似たような声をあげる。
 その声に反応してこちらを振り向くのは、クロエ。

「おや、テスカ。戻ってきたのかい」

 地の底から響くような恐ろしい声。これがあのクロエ団長の声なのか?
 そして彼女は僕に気が付くと、少し驚いたように顔色を変えたが、すぐに不敵な笑みを浮かべる。

「ノアくんじゃないか。なるほど、運良く助けて貰えたのか」

 そしてクロエの足元にはボロ雑巾のように転がるコアの姿。全身血まみれで、至る所に傷がついている。良く見ると、リオンを庇うように抱きしめているのが分かった。

「コア! リオン! 」
 
 僕は慌ててクロエと二人の間に割って入る。

「クロエ! 一体どういうつもりだ! 」

「あらまぁ。まずいところを見られてしまったね」

 手に持っている鞭をしならせるクロエ。

「まさか、日常的に二人を……」

「人聞きの悪いことを言わないでくれ。私は二人を指導してあげてるんだよ」

 にっこりと笑顔を浮かべるクロエに罪の意識はなさそうだった。

「私たちだけじゃない……。この人は他の団員も……! 」

 叫ぶように訴えるテスカをクロエがじとりと睨む。
 ひっと悲鳴をあげるテスカ。

「黙りな、テスカ。大体お前は自分が失敗した罰をお兄ちゃんに押し付けている最低の女じゃないか。ああ羨ましいね、自分は無能でも優秀で優しい兄がいて」

「そんなこと……! 」

 まあそんなことはどうでもいいさ、とクロエが笑う。

「希少種の娘を見つけた今、サーカス団をやる意味なんてなくなった。全員皆殺しにするのは最初から決まっていたからね」

「み、皆殺し!? 」

 テスカがぺたりと地面に座り込んだ。

「ああ! 竜族の娘を売れば私には巨万の富が転がり込んでくる! そうしたらこんなアホらしいサーカス団なんてやる必要はないだろう? 」

「そんな……じゃあ私たちを拾ってくれたのも」

 金の為に決まってるじゃないかとクロエがせせら笑う。

「愉快だったよ、ファリアス様に盾突いた生意気な夫婦の子どもが私を親のように慕うなんてねぇ」

 まるで芝居がかったような口調で気分良く話始めるクロエ。

「痛めつけて、玩具にしてその将来を台無しにしてやろうって思ったのさ」

「私に両親はいない……そう思っていたのに。どうして私は忘れてしまったの!? 」

 まだ分からないのかい? とクロエが笑う。

「お前の両親を殺したのは私。まだ子どもだったお前たちに偽物の記憶を植え付けたのさ」

「え……」

 絶句するテスカ。無理もないだろう。僕ですらあまりにも残酷な真実に頭がクラクラした。

「たまらないね、その顔。まあ安心しなよ。直ぐに後を追わせてあげるからさ」

 するとクロエを取り囲むように黒い霧のようなものが現れた。
 見る見るうちに彼女の瞳は赤く染まり、口は耳元まで裂け、耳はまるでエルフのように尖る。
 美しかった彼女の容姿は見る影もなくなった。

 それはまるで、悪魔のようだった。

「やるしかない! 」

 僕は剣を構えると、彼女と交戦するしかないと心に決めた。


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