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プロローグ
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あのことが起こるまでの私はごく普通のお姫様だったと思います。自分で言うのもどうかと思うけれど、民を愛し、民に愛され、優しいお父様お母様に囲まれ、なに不自由ない人生を送っていたと思うのです。
「待ってくれイブマリー……違うんだ、これはその……」
一糸纏わぬ姿でベッドに潜り込んでいたのは私の婚約者、英雄ロディア様。貴族の生まれでありながら、世界平和を目指して魔王を倒しちゃった凄い人! 私の自慢の旦那様……になるはずだったんだけど? あら?
「あらら、バレちゃった」
「見られちゃったからには仕方ないわね~」
と声をあげたのはその勇者様のお仲間、魔法使いミリア様と僧侶セーラ様。このお二人もまた衣服を見に着けずに、ロディア様と寝具を共にしておりました。
「ロディア様……?」
私は小さく彼の名前を呟くことしか出来ませんでした。目の前に起こっている状況が信じられそうにありません。
顔色がどんどん悪くなるロディア様とは違い、二人の女性はめんどくさそうにため息をつき、私から視線をそらす。
「イブマリー……僕は!!」
「もういいよ、ロディ。言っちゃお」
なおも言い訳を続けようとするロディア様を制して、ミリア様が口を開きました。
「見れば分かるでしょ? お姫様。あたしたちとロディはこういう関係なの」
その顔はいやに誇らしげで、くらくらと目眩がします。
「私とロディア様は……婚約していて……」
「そうなのー? でもロディはそんな約束、した覚えないって」
「嘘! 嘘よ!! 幼い頃、世界樹の下で、ロディア様が魔王を倒したら結婚しようって! 」
「きゃはは、そんな大昔の子どもの約束、意味があると思ってるの?」
するとミリア様が不意にロディア様の唇に自信の唇を重ねます。
「ちょっと……!」
私は頭に血が上り、思わずミリア様の肩に掴みかかってしまいました。しかし、彼女は眉ひとつ動かさずに私の手首を掴み返し、乱暴に振り払います。その衝撃で私は近くにあったタンスに頭を打ち付けたようでした。
「あんた、キスもしたことないんでしょ? これ、どういうことか分かるかなー? ロディはあんたのことなんか好きじゃないのよ」
「そんな……そんなことないです……」
後頭部辺りに違和感があり、そっと触れるとべっとりと血液が付着していました。どうやらぶつかった衝撃で頭を切ったようです。私は思わずきゃっと小さく悲鳴をあげます。
「『きゃっ』ですって。まぁ可愛らしい。セーラ、治療魔法かけてやんなさいよ」
「あらあら、大変。姫様に怪我なんてとんでもないことですわ。さぁ姫様、瞼を閉じてください」
今まで黙っていたセーラ様が私の方に手を伸ばす。私は言われるがままに目を閉じました。すると、衝撃が頬の辺りから伝わり、私は軽く体勢を崩します。叩かれたと理解するまでそう時間は要しませんでした。
「どこまでも甘ちゃんなお姫様気分なのですね。呆れてものも言えませんわ」
さっきほど優しげな微笑を浮かべていたセーラ様はどこへやら、心底軽蔑した目で私を見ておりした。
「なんで……こんな……お父様に……ご報告を……」
ビリビリと痛む頬を手で抑えながら、私はバラバラな言葉を紡ぐ。
「はーいはい、お父様ねぇ。ほんと甘いんだから」
ミリア様が子どもをあやすような口調で言う。そして、私の首もとを掴んだまま、低い口調でこう言い放った。
「あんたのお父様なんて魔法でとっくにあたしの言いなり。お父様だけじゃない、国民みーんなあたしの言うことなんでも聞くの」
「え……?」
「やさしーからあんただけは魔法をかけずにおいてやったわ。感謝して欲しいぐらい」
ミリア様の大きくて桃色の瞳にひどく憔悴した私の姿が映っていました。
意識がふっと遠くにいってしまった感覚がしました。最後に見たのは、決まり悪げに視線をそらす、愛しい愛しい婚約者の姿でした。
「待ってくれイブマリー……違うんだ、これはその……」
一糸纏わぬ姿でベッドに潜り込んでいたのは私の婚約者、英雄ロディア様。貴族の生まれでありながら、世界平和を目指して魔王を倒しちゃった凄い人! 私の自慢の旦那様……になるはずだったんだけど? あら?
「あらら、バレちゃった」
「見られちゃったからには仕方ないわね~」
と声をあげたのはその勇者様のお仲間、魔法使いミリア様と僧侶セーラ様。このお二人もまた衣服を見に着けずに、ロディア様と寝具を共にしておりました。
「ロディア様……?」
私は小さく彼の名前を呟くことしか出来ませんでした。目の前に起こっている状況が信じられそうにありません。
顔色がどんどん悪くなるロディア様とは違い、二人の女性はめんどくさそうにため息をつき、私から視線をそらす。
「イブマリー……僕は!!」
「もういいよ、ロディ。言っちゃお」
なおも言い訳を続けようとするロディア様を制して、ミリア様が口を開きました。
「見れば分かるでしょ? お姫様。あたしたちとロディはこういう関係なの」
その顔はいやに誇らしげで、くらくらと目眩がします。
「私とロディア様は……婚約していて……」
「そうなのー? でもロディはそんな約束、した覚えないって」
「嘘! 嘘よ!! 幼い頃、世界樹の下で、ロディア様が魔王を倒したら結婚しようって! 」
「きゃはは、そんな大昔の子どもの約束、意味があると思ってるの?」
するとミリア様が不意にロディア様の唇に自信の唇を重ねます。
「ちょっと……!」
私は頭に血が上り、思わずミリア様の肩に掴みかかってしまいました。しかし、彼女は眉ひとつ動かさずに私の手首を掴み返し、乱暴に振り払います。その衝撃で私は近くにあったタンスに頭を打ち付けたようでした。
「あんた、キスもしたことないんでしょ? これ、どういうことか分かるかなー? ロディはあんたのことなんか好きじゃないのよ」
「そんな……そんなことないです……」
後頭部辺りに違和感があり、そっと触れるとべっとりと血液が付着していました。どうやらぶつかった衝撃で頭を切ったようです。私は思わずきゃっと小さく悲鳴をあげます。
「『きゃっ』ですって。まぁ可愛らしい。セーラ、治療魔法かけてやんなさいよ」
「あらあら、大変。姫様に怪我なんてとんでもないことですわ。さぁ姫様、瞼を閉じてください」
今まで黙っていたセーラ様が私の方に手を伸ばす。私は言われるがままに目を閉じました。すると、衝撃が頬の辺りから伝わり、私は軽く体勢を崩します。叩かれたと理解するまでそう時間は要しませんでした。
「どこまでも甘ちゃんなお姫様気分なのですね。呆れてものも言えませんわ」
さっきほど優しげな微笑を浮かべていたセーラ様はどこへやら、心底軽蔑した目で私を見ておりした。
「なんで……こんな……お父様に……ご報告を……」
ビリビリと痛む頬を手で抑えながら、私はバラバラな言葉を紡ぐ。
「はーいはい、お父様ねぇ。ほんと甘いんだから」
ミリア様が子どもをあやすような口調で言う。そして、私の首もとを掴んだまま、低い口調でこう言い放った。
「あんたのお父様なんて魔法でとっくにあたしの言いなり。お父様だけじゃない、国民みーんなあたしの言うことなんでも聞くの」
「え……?」
「やさしーからあんただけは魔法をかけずにおいてやったわ。感謝して欲しいぐらい」
ミリア様の大きくて桃色の瞳にひどく憔悴した私の姿が映っていました。
意識がふっと遠くにいってしまった感覚がしました。最後に見たのは、決まり悪げに視線をそらす、愛しい愛しい婚約者の姿でした。
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