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第百七話 激戦の予感
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「御想像の通り、ソレも元人間のオートマタでございます」
アンジェさんは衝撃の事実をさらりと告げた後、幼女の脳味噌を掻きまわして引き抜いた 人工ルドスガイトを宙に放り投げ、魔工銃で撃ちぬく
周りを見渡すと俺が呆気に取られている間に、ジルが他の子供達を対処してくれていた様で、たった今ジルが最後に残っていた幼い少年の頭にバールの様な物で頭蓋骨を砕き、脳から人工エルドスガイトを穿ってえぐり出し、破壊した
彼女は意外と豪胆だ、一体どういう人生を歩んできたのだろうか?
ソレらは既に原形を留めてはおらず、溶け切らずに残った皮膚や臓物が辺りに散乱していて、見るも無残な光景だ
「いつの間にか終わっていたのですね。 流石でございます。 お聞きになりたい事も多くあると思いますが、今は説明している時間がございません。 先を急がなければショウ様の目的達成が危ぶまれると進言させて頂きます」
辺りに転がる 溶けかけたソレらを見て戦いの終わりを確信したアンジェは、先を急ぐように俺達を促して来たので、それに従う
とりあえずは街の外にいる者をどうにかしないとだな
『エメ、あれいける?』
『暫く使えなくなるけど大丈夫だよ』
「よし、それじゃあ…『樹魔法【鈴蘭】』」
兵士達が休んでいるテントが張られている地面からにょきにょきと小ぶりで綺麗な鈴蘭が大量の生え、毒素を辺りに散布する
鈴蘭の毒は最悪死に至る可能性もある強力な物らしいが流石に無暗に人を殺すのは気が引けるので、毒素は調整し、別の効果も付与した
初期症状は重度の全身麻痺、麻痺が解消された後も激しい頭痛、眩暈、嘔吐に下痢を引き起こし、とてもじゃないが戦える状態ではなくなるのでこれで大丈夫だろう、外にいてくれて助かった、流石に街中では一般人も巻き込みかねないので使えない
強力な魔法ではあるが毒素の調整にかなりの力を使うらしく、一度使うと何日かは使えなくなってしまうらしい
多くの兵士を無力化した事に勢いがついた俺達は一気に街の中へと入っていき、鉱山への道のりで見つけた元人間のオートマタはアンジェさんが的確に魔工銃で頭を打ち抜き人工ルドスガイトを破壊する
アンジェさんの射撃術は目を見張るものがあり、彼女の放った魔素弾は、突然起こった戦闘に慌てふためき逃げ惑う住人達の間をすり抜けて確実にヘッドショットを決めるのだ
取り急ぎは装置の破壊、オートマタの殲滅はその後
鉱山入り口を守っている敵を俺の蒼炎連弾とアンジェさんの魔素弾が蹴散らし中に入って少し進むと天井の高い開けた場所に出た
中はひんやり、埃っぽく、湿気が纏わり付くようにジメジメしていて不快感を覚える
「あーあーめちゃくてしてくれちゃって…怒られるの俺なんだけどなー。なぁ少年、今引いてくれたら帝国の奴らがやったことにして見逃すから引いてくれないか? 給料以上の事はしたくないんだよ」
前方から低い男の声が聞こえて来たので目を凝らしてみてみると、頬にある蛇の刺青が特徴的な30代半ばくらいの男が、薄暗い鉱山内のランプの光に照らし出された
無精髭の生えた顎を左手で擦りながら、特殊な形状の剣で地面を退屈そうにサクッ、サクッと刺しており、その隣には女性の姿が見える
剣と銃が合わさって出来た所謂ガンブレードと呼ばれる武器を携え、体を揺らしながら例の如く譫言に様に苦しみを訴えていた
「ちょっと難しいですね、僕らも仕事で来てるんで。 聞いても無駄だと思いますけど装置は何処にありますか?」
「あーそれならあそこの塞がれた道の先にあるぞー」
男が指さした先にはすぐに入れないように木の板が打ち付けてあり、周りを見てもそこ位しか怪しそうな所はなかった
「言っちゃうんですか?!」
「いやー俺はさ、ここに来た敵を倒す事は命じられたけど、装置を守れとは言われてないんだよねぇー。 俺は言われた事以外はやらない主義の省エネ設計なんでね」
妙に現代人っぽいなこの人
「ジル、あの打ち付けれた板を外して中に入って装置を破壊してきてくれ」
「え、どうやって外せばいいの?」
「お前エクスカリバールもってんじゃん… 引っ掛かりを隙間に捻じ込んでテコの原理を使えば一発だから」
「…目から鱗とはこのことね、この聖剣にそんな使い方があったとは…今回初めて知ったよ… わかった行ってくるね」
本来こっちが正しい使い方なんだけどな… バールの様な物は決して撲殺用の武器じゃないから…
ジルは鈴の音を鳴らしながら颯爽と駆けて行き、作業へと取り掛かった
「よく見りゃクレイジーオートマタ技師のオートマタじゃねーか。 主人の元からいなくなったとは聞いてたけどこんなとこで会うとはねー」
どうやらこの男とアンジェさんは知り合いの様だ
「彼は私のマスターではありません、私のマスターはアンジェリカ様でございます」
…うん、意味がさっぱりわからん。 私に命令出来るのは私だけ、ドヤ!みたいな感じか?
「まぁ俺には関係ないか、それで少年、あそこの…」
顎を擦っていた左手が顎から離れる、何でもない動きなのだが動いてる物には自然と視線が誘導されるもので、不意打ちで飛んできた攻撃に反応が少し遅れて頬を切るが体を仰け反らせて 何とか躱せた
仰け反らせた俺の上を伸びた剣が通って行く、変わった形状の剣の正体は蛇腹剣だ
「蛇腹剣とかマジで存在するんですね、流石ファンタジー!! でも不意打ちとか卑怯じゃないですか?」
突然男の背後に現れた俺の高速の一刀を振り返りもせずに受け止め呟く
「そりゃお前さんもだろ?」
男の不意打ちを避けたのは魔法で作った偽物の俺だ、戦いになる事を予想して気配を消し背後に回ってのだが見抜かれていたらしい
俺は一度距離を取りアンジェさんの居る所へと戻った
【身体強化】【思考加速】【反応強化】【オーラ】【エレクトロ】【リジェネーション】【魔法障壁・アレキサンドライト】をかけ【晶刀・紅玉・蒼玉】をだし【闘気】を晶刀に纏わせる
「うわー、いきなり力が跳ね上がってやんの… これ全力でやらないと俺死ぬんじゃないの? 勘弁してくれよ…」
やれやれといった様子で額に手を当てているが焦燥感などはなく余裕すら伺える
遮蔽物のない開けた場所であの武器と戦うのはちょっとやりずらいな…
「『【フィールド展開・芳春】』」
鉱山内に樹々が生え、場違いに桜の花が咲乱れる
「…なんじゃそら… これはまずいな…」
男の雰囲気は先程までのふざけた感じとは打って変わってかなり真面目になっていた
「『結晶樹魔法【徒桜】』」
ヒラヒラと結晶でコーティングされた桜の花びらがショウの周りを漂う
「おらぁ!」
伸びて来た蛇腹剣を晶刀で受け流すとガリガリと剣同士が擦れ合い激しく火花が散る
蛇腹剣の弱点は簡単で伸びている時だ。
「雷二刀嘯風弄月流【雷雲】」
バリバリと自ら放電現象を起こし、広がった知覚範囲で男を捉え、目にも止まらなぬ速さで剣を振るう
皮膚を切った感触はあったが浅く、一刀目は躱されたような物だ
しかしこの攻撃は【電光石火】が切れるまで知覚範囲内に居る物を切り続ける連撃である
二刀、三刀と攻撃に攻撃を重ねると徐々に男は避けきれなくなっていく
伸びた蛇腹剣が戻り切る前に倒す!!
四刀目でやっと攻撃が少しだけ深く入った事にで電撃も加わり男の動きがほんの一瞬だけ止まる
命のやり取りではこういう一瞬が命取りだ
五刀目、確実に捉えた!
刀が男の身体を切り裂く手前で、飛んできた魔素弾が晶刀に当たって軌道が変えられた事により攻撃が外された
クソ、あのガンブレードの子か、と加速された思考で悪態をつきながら次の攻撃を仕掛けようとしていると、魔素弾が俺のコメ噛み目掛けて飛んできているのを視界の端に捉え危機感を覚える
「ショウ様、援護致します」
何の感情も込められていない声色の彼女の言葉が耳に届いた時には、コメ噛み目掛けて飛んできていた魔素弾にアンジェさんが撃ったと思われる魔素弾が間一髪、俺の手前でぶつかり、二つの魔素弾が衝突した場所で大きな爆発が起こり、爆風で吹き飛ばさる
俺は体重も重い方ではないし吹き飛ばされる事が多い
せめて一撃だけでも!
俺は自分の周りに展開していた桜の刃を男に放ち、刃が男を貫くと鮮血が舞い膝を付く
傷はそんなに深くないだろうが確実にダメージだ
「いやー危なかった危なかった、相棒が居なかったらやられてたかもなー、ありがとな」
「お願い、もう殺して… 殺して… ロイ… 私を殺してよ…」
男が間一髪助けられた事にお礼を言うがまるで聞いてなく、女性体の至る場所の皮膚は裂けて血が滲み、目や鼻、口からも血を流していた
その痛々しい姿を見て辛そうな顔をしているのは頬に蛇の刺青を入れた男だ
「なぁ少年知ってるか? こいつら人工ルドスガイトで作られた元人間のオートマタってのはさー、この魔工銃を直接神経に繋いで使うらしい、んで使うと想像を絶する痛みが全身を駆け抜けるんだとよ。 一発撃つだけで体の中の血管が切れるからこんなに血が出る。 でもどんなに血を流しても死ねない、人間じゃないからな。 少し動くだけでも激痛が走るっていうのに、こいつらってどんだけ辛いんだろうな。 それにこいつら脳の中にある人工エルドスガイトを壊さないと首だけになっても意識は強制的に保たれるし、痛みも消えない。 メイサ顔が汚れてるぞ、折角綺麗な顔してるのに」
男は優しく女性の顔についている大量の血を拭う
「ねぇ… ロイ… もう死にたいよ… 死なせて… 痛いの… どうして殺してくれないの?」
女性は男の服を掴みながら譫言の様に懇願しているだけで、会話は全く成立していない
「ロイっていうのはもしかして…」
「気付いちゃったかー、俺の事だよ。 こいつはさ、こうなる前は俺と同じ軍人で、それで俺の恋人だったんだ。 戦場じゃいつも一緒でさ、さっきも息ぴったりだったでしょ?」
「それならどうして…楽にしてあげないんですか! そんなに苦しそうなのに!」
俺がそう言葉を投げかけた瞬間、男の表情は怒りに満ち、強く握った拳から血が流れだした
「…ガキが…こっちの事も知らねぇー癖に知ったような口聞いてんじゃねーー!!」
鉱山内を震わすほどの魔素を放出したロイは先程迄とは全くの別人で、あまりの迫力に生唾を飲み込む
ここから本番だと言わんばかりにロイは蛇腹剣を構え、メイサは銃口をショウ達に向けるのだった
アンジェさんは衝撃の事実をさらりと告げた後、幼女の脳味噌を掻きまわして引き抜いた 人工ルドスガイトを宙に放り投げ、魔工銃で撃ちぬく
周りを見渡すと俺が呆気に取られている間に、ジルが他の子供達を対処してくれていた様で、たった今ジルが最後に残っていた幼い少年の頭にバールの様な物で頭蓋骨を砕き、脳から人工エルドスガイトを穿ってえぐり出し、破壊した
彼女は意外と豪胆だ、一体どういう人生を歩んできたのだろうか?
ソレらは既に原形を留めてはおらず、溶け切らずに残った皮膚や臓物が辺りに散乱していて、見るも無残な光景だ
「いつの間にか終わっていたのですね。 流石でございます。 お聞きになりたい事も多くあると思いますが、今は説明している時間がございません。 先を急がなければショウ様の目的達成が危ぶまれると進言させて頂きます」
辺りに転がる 溶けかけたソレらを見て戦いの終わりを確信したアンジェは、先を急ぐように俺達を促して来たので、それに従う
とりあえずは街の外にいる者をどうにかしないとだな
『エメ、あれいける?』
『暫く使えなくなるけど大丈夫だよ』
「よし、それじゃあ…『樹魔法【鈴蘭】』」
兵士達が休んでいるテントが張られている地面からにょきにょきと小ぶりで綺麗な鈴蘭が大量の生え、毒素を辺りに散布する
鈴蘭の毒は最悪死に至る可能性もある強力な物らしいが流石に無暗に人を殺すのは気が引けるので、毒素は調整し、別の効果も付与した
初期症状は重度の全身麻痺、麻痺が解消された後も激しい頭痛、眩暈、嘔吐に下痢を引き起こし、とてもじゃないが戦える状態ではなくなるのでこれで大丈夫だろう、外にいてくれて助かった、流石に街中では一般人も巻き込みかねないので使えない
強力な魔法ではあるが毒素の調整にかなりの力を使うらしく、一度使うと何日かは使えなくなってしまうらしい
多くの兵士を無力化した事に勢いがついた俺達は一気に街の中へと入っていき、鉱山への道のりで見つけた元人間のオートマタはアンジェさんが的確に魔工銃で頭を打ち抜き人工ルドスガイトを破壊する
アンジェさんの射撃術は目を見張るものがあり、彼女の放った魔素弾は、突然起こった戦闘に慌てふためき逃げ惑う住人達の間をすり抜けて確実にヘッドショットを決めるのだ
取り急ぎは装置の破壊、オートマタの殲滅はその後
鉱山入り口を守っている敵を俺の蒼炎連弾とアンジェさんの魔素弾が蹴散らし中に入って少し進むと天井の高い開けた場所に出た
中はひんやり、埃っぽく、湿気が纏わり付くようにジメジメしていて不快感を覚える
「あーあーめちゃくてしてくれちゃって…怒られるの俺なんだけどなー。なぁ少年、今引いてくれたら帝国の奴らがやったことにして見逃すから引いてくれないか? 給料以上の事はしたくないんだよ」
前方から低い男の声が聞こえて来たので目を凝らしてみてみると、頬にある蛇の刺青が特徴的な30代半ばくらいの男が、薄暗い鉱山内のランプの光に照らし出された
無精髭の生えた顎を左手で擦りながら、特殊な形状の剣で地面を退屈そうにサクッ、サクッと刺しており、その隣には女性の姿が見える
剣と銃が合わさって出来た所謂ガンブレードと呼ばれる武器を携え、体を揺らしながら例の如く譫言に様に苦しみを訴えていた
「ちょっと難しいですね、僕らも仕事で来てるんで。 聞いても無駄だと思いますけど装置は何処にありますか?」
「あーそれならあそこの塞がれた道の先にあるぞー」
男が指さした先にはすぐに入れないように木の板が打ち付けてあり、周りを見てもそこ位しか怪しそうな所はなかった
「言っちゃうんですか?!」
「いやー俺はさ、ここに来た敵を倒す事は命じられたけど、装置を守れとは言われてないんだよねぇー。 俺は言われた事以外はやらない主義の省エネ設計なんでね」
妙に現代人っぽいなこの人
「ジル、あの打ち付けれた板を外して中に入って装置を破壊してきてくれ」
「え、どうやって外せばいいの?」
「お前エクスカリバールもってんじゃん… 引っ掛かりを隙間に捻じ込んでテコの原理を使えば一発だから」
「…目から鱗とはこのことね、この聖剣にそんな使い方があったとは…今回初めて知ったよ… わかった行ってくるね」
本来こっちが正しい使い方なんだけどな… バールの様な物は決して撲殺用の武器じゃないから…
ジルは鈴の音を鳴らしながら颯爽と駆けて行き、作業へと取り掛かった
「よく見りゃクレイジーオートマタ技師のオートマタじゃねーか。 主人の元からいなくなったとは聞いてたけどこんなとこで会うとはねー」
どうやらこの男とアンジェさんは知り合いの様だ
「彼は私のマスターではありません、私のマスターはアンジェリカ様でございます」
…うん、意味がさっぱりわからん。 私に命令出来るのは私だけ、ドヤ!みたいな感じか?
「まぁ俺には関係ないか、それで少年、あそこの…」
顎を擦っていた左手が顎から離れる、何でもない動きなのだが動いてる物には自然と視線が誘導されるもので、不意打ちで飛んできた攻撃に反応が少し遅れて頬を切るが体を仰け反らせて 何とか躱せた
仰け反らせた俺の上を伸びた剣が通って行く、変わった形状の剣の正体は蛇腹剣だ
「蛇腹剣とかマジで存在するんですね、流石ファンタジー!! でも不意打ちとか卑怯じゃないですか?」
突然男の背後に現れた俺の高速の一刀を振り返りもせずに受け止め呟く
「そりゃお前さんもだろ?」
男の不意打ちを避けたのは魔法で作った偽物の俺だ、戦いになる事を予想して気配を消し背後に回ってのだが見抜かれていたらしい
俺は一度距離を取りアンジェさんの居る所へと戻った
【身体強化】【思考加速】【反応強化】【オーラ】【エレクトロ】【リジェネーション】【魔法障壁・アレキサンドライト】をかけ【晶刀・紅玉・蒼玉】をだし【闘気】を晶刀に纏わせる
「うわー、いきなり力が跳ね上がってやんの… これ全力でやらないと俺死ぬんじゃないの? 勘弁してくれよ…」
やれやれといった様子で額に手を当てているが焦燥感などはなく余裕すら伺える
遮蔽物のない開けた場所であの武器と戦うのはちょっとやりずらいな…
「『【フィールド展開・芳春】』」
鉱山内に樹々が生え、場違いに桜の花が咲乱れる
「…なんじゃそら… これはまずいな…」
男の雰囲気は先程までのふざけた感じとは打って変わってかなり真面目になっていた
「『結晶樹魔法【徒桜】』」
ヒラヒラと結晶でコーティングされた桜の花びらがショウの周りを漂う
「おらぁ!」
伸びて来た蛇腹剣を晶刀で受け流すとガリガリと剣同士が擦れ合い激しく火花が散る
蛇腹剣の弱点は簡単で伸びている時だ。
「雷二刀嘯風弄月流【雷雲】」
バリバリと自ら放電現象を起こし、広がった知覚範囲で男を捉え、目にも止まらなぬ速さで剣を振るう
皮膚を切った感触はあったが浅く、一刀目は躱されたような物だ
しかしこの攻撃は【電光石火】が切れるまで知覚範囲内に居る物を切り続ける連撃である
二刀、三刀と攻撃に攻撃を重ねると徐々に男は避けきれなくなっていく
伸びた蛇腹剣が戻り切る前に倒す!!
四刀目でやっと攻撃が少しだけ深く入った事にで電撃も加わり男の動きがほんの一瞬だけ止まる
命のやり取りではこういう一瞬が命取りだ
五刀目、確実に捉えた!
刀が男の身体を切り裂く手前で、飛んできた魔素弾が晶刀に当たって軌道が変えられた事により攻撃が外された
クソ、あのガンブレードの子か、と加速された思考で悪態をつきながら次の攻撃を仕掛けようとしていると、魔素弾が俺のコメ噛み目掛けて飛んできているのを視界の端に捉え危機感を覚える
「ショウ様、援護致します」
何の感情も込められていない声色の彼女の言葉が耳に届いた時には、コメ噛み目掛けて飛んできていた魔素弾にアンジェさんが撃ったと思われる魔素弾が間一髪、俺の手前でぶつかり、二つの魔素弾が衝突した場所で大きな爆発が起こり、爆風で吹き飛ばさる
俺は体重も重い方ではないし吹き飛ばされる事が多い
せめて一撃だけでも!
俺は自分の周りに展開していた桜の刃を男に放ち、刃が男を貫くと鮮血が舞い膝を付く
傷はそんなに深くないだろうが確実にダメージだ
「いやー危なかった危なかった、相棒が居なかったらやられてたかもなー、ありがとな」
「お願い、もう殺して… 殺して… ロイ… 私を殺してよ…」
男が間一髪助けられた事にお礼を言うがまるで聞いてなく、女性体の至る場所の皮膚は裂けて血が滲み、目や鼻、口からも血を流していた
その痛々しい姿を見て辛そうな顔をしているのは頬に蛇の刺青を入れた男だ
「なぁ少年知ってるか? こいつら人工ルドスガイトで作られた元人間のオートマタってのはさー、この魔工銃を直接神経に繋いで使うらしい、んで使うと想像を絶する痛みが全身を駆け抜けるんだとよ。 一発撃つだけで体の中の血管が切れるからこんなに血が出る。 でもどんなに血を流しても死ねない、人間じゃないからな。 少し動くだけでも激痛が走るっていうのに、こいつらってどんだけ辛いんだろうな。 それにこいつら脳の中にある人工エルドスガイトを壊さないと首だけになっても意識は強制的に保たれるし、痛みも消えない。 メイサ顔が汚れてるぞ、折角綺麗な顔してるのに」
男は優しく女性の顔についている大量の血を拭う
「ねぇ… ロイ… もう死にたいよ… 死なせて… 痛いの… どうして殺してくれないの?」
女性は男の服を掴みながら譫言の様に懇願しているだけで、会話は全く成立していない
「ロイっていうのはもしかして…」
「気付いちゃったかー、俺の事だよ。 こいつはさ、こうなる前は俺と同じ軍人で、それで俺の恋人だったんだ。 戦場じゃいつも一緒でさ、さっきも息ぴったりだったでしょ?」
「それならどうして…楽にしてあげないんですか! そんなに苦しそうなのに!」
俺がそう言葉を投げかけた瞬間、男の表情は怒りに満ち、強く握った拳から血が流れだした
「…ガキが…こっちの事も知らねぇー癖に知ったような口聞いてんじゃねーー!!」
鉱山内を震わすほどの魔素を放出したロイは先程迄とは全くの別人で、あまりの迫力に生唾を飲み込む
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