蒼炎の魔法使い

山野

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第百十七話 今日は新しいお友達を紹介しまーす

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  俺達はメザイヌ王国での目的を達成したので転移を使いペネアノに帰還していた。
 実力者と接触せずにロイと合流して無事に逃げれたのは、あらかじめロイが実力者達に根回ししておいてくれていたから。 すこぶる出来る男である。
 人工ルドスガイドで作られた元人間のオートマタを全て破壊した事で、目的を達し、存在理由がなくなってしまったアンジェは、悲しみも相まって自ら機能停止をしようとしていたのでエクランで雇う事で新たに目標を与え、それを阻止した。
 有能な人材はいくらでも欲しいのだ。

 そして現在ペネアノは防衛戦の真っ最中で俺達も北の平原にいる。
 西北西、北西、西から攻め込んで来るサンレヴァン軍の防衛に当たるのはイオとフララ。
 東から来るメーラ帝国の騎士団はルー、イレスティ、シャロとベリル。
 そして北から来るハルストルス公国の対処は、さっき戻ったばかりの俺達だが、約4000を相手にロイ、ウィオ、マホーン、ミント、ジル、俺だけでは流石に無理ゲー過ぎる……
 エクランに居るルチルを呼ぶのも考えたが、やはり誰か一人は置いておかないとエクランも心配だ。
 そこでマホーンが提案をしてきた、魔物の配下を合成して戦力にしたらどうかと

「で、本当にそんな事出来るの?」
 一応雇い主だという事でフランクな喋りで良いと言われたので敬語は止める事とした

「偶然の産物で出来たこの魔道具を使えば魔物を合成出来る。二体の魔物を用意してこ魔道具を装着、魔物同士を繋ぐ魔素を送れば完了だ。送る魔素の質でどんな魔物になるかも変化するから色々試してみたいだろうが、魔道具は全部で八つしかない、つまり四体しか作れないので慎重に選ぶがいいだろう」

「わかった、とりあえずみんな呼んでみるよ【眷属召喚】」
 骨の扉からは日傘を差したフララ、神聖な炎が鳥を形どりベリル、雷が集まりルチル、そして……

「イオ……お前……怖いよ……」

「主殿よ、中々酷い事を言う。魔物としての格はかなり上がったのだぞ?」
 沼から出て来てチロチロを舌を出している六つの蛇頭を持つ魔物、イオレースだ
 イオも魔力操作を覚えた事で進化しているのだが、完全に見た目が邪悪な存在へと変貌を遂げていた

「ソレの鑑定ですと、六頭邪神竜となっています」
 邪神竜って普通敵側に居るやつだよね?! ていうか蛇だったのに竜になってるし! 見た目から言うとヒュドラみたいなもんだしまぁ納得は出来るけど、やっぱり蛇だよねどう見ても

「忙しい所みんなごめん、これから戦力増強の為に魔物の合成を行うんだけど……余ってる眷属とかいない?」
 こういう言い方は余り良くないといい終わってから気が付いた。
 魔物と言えど生きてるし、眷属といえば家族の様な物だ、こんな事言われていい気分なわけが……

「いいわよ、これらを使って頂戴」
 最初に申し出て来たのはフララだ、流石はアンデッド、何の愛着もなさそうに人型のアンデッド二体を出してくれた

「グールジェネラル、レイスメイジでございますね」
 結構上位のアンデッドを出してくれたのではないだろうか?

「ショウ、貴方ともっとお話したいけど、仕事しないとゴリラが怒るから戻るわね。続きはまた後で。それじゃあ」
 そう言って軽くキスをしてフララは持ち場へと戻る
 ゴリラが怒るってリンデと一緒なのかな?

「わしからも二体出そう。それでは主殿、こちらももう始まっているのでな。さらばだ」
 意外とみんな簡単に出してくれるな……

「ツインスネーク、甲殻大蛇でございます」

「我の眷属、有効に使うがいい。それと今回ルーメリアは相当無理をしたようだ。後で労ってやるといい。ではな」
 ベリルさんしれっと気を回すあたりマジイケメン……
 しかしルーが心配だな……大丈夫だろうか?

「グリフォンエース、ブラックグリフォンでございます」

「主様よ、魔物は自然発生で生まれ、意思を持たない者も多い。わらわ達が提供するのはそういう魔物じゃ。主様が気負う必要はない。遠慮なく使うといい」

「ブラッティーウルフ、三日月餓狼でございます」

「一人留守番で暇なのじゃ……戻ったら目一杯わらわを愛でるのじゃぞ? 絶対じゃぞ?! それでは主様、またなのじゃ!」
 抱き着いてぶんぶん尻尾を振りながらそう言い残して戻っていくルチルに思わず頬が緩み切っていた俺を、ロイ、ウィオ、マホーン、ミントは口をあんぐりと開けながら見ていた

「な、なぁ……あれってみんなお前さんの配下なのか?」
 恐る恐る声をかけて来たのはロイだ

「うーん配下っていうか……まぁそうだね。一人は婚約者で、もう一人は抱き枕だけど……」

「いやはや、新たな雇い主は恐ろしい人らしい」

「あぁ……あんな強力な魔物を従えてるなんて普通じゃない。俺達とんでもない所にきたんじゃない?」

「小さいとなどと侮った非礼を詫びよう。余が間違っていた」

「そうでしょそうでしょ? ショウ君って凄いんだよ? やればできる子なんだよ?!」
 驚いている四人に対して、息子を褒められた母の様な喜び方をするジルが少し可愛いと思いながら組み合わせを考える事にする

 っといってもよくわからないのだが……
 とりあえず、同族で合わせるのはやめた方が無難かな?

 グールジェネラル×ブラックグリフォン
 レイスメイジ×甲殻大蛇
 グリフォンエース×ブラッティーウルフ
 ツインスネーク×三日月餓狼
 という組み合わせで行くという旨をマホーンに伝えると彼はそれぞれに魔道具を装着して魔素を流す様に促してきたので、グールジェネラルとブラックグリフォンに手を当て力を流す

 魔素の質って言ってたけど魔力を送るのもありなんだよなきっと、って事はマナを送るとどうなるんだ?

 好奇心を抑えきれず、魔素と魔力を混ぜマナを作って二体の魔物に与え続けると二体とも液化し混ざり合い、それが次第に形どっていき姿を現したのは……

「……堕天使?」
 背中に生えた漆黒の翼と天眼石の様な瞳が特徴的な黒髪のイケメンがそこには居た

「種族名は黒翼大公となっております」
 大公って王様の次に偉いんじゃないっけ? 伯爵の俺を超えてしまってますやん……

「お初にお目にかかります我が君。この命果てるまで貴方様に仕える事をお許し下さい」
 20ぐらいだろうか?  跪きながら真っすぐ俺を見る彼の彫刻の様に整った顔立ちや肉体美に少し引く

「あーはい、よろしくお願いします」
 またこれだよ……イケメンには無意識に負けを認めてしまうんだよなぁ……
 女子がイケメンに話しかけられると緊張するって言うけどめっちゃわかる! 今俺手汗だけで脱水症状なれる位凄いからな!

「またどえらいもんが誕生したな、名前つけて……って何すんだよ危ねぇな! 殺す気か!」
 ロイが全て言い終わる前に、跪いていた堕天使がいつの間にかロイの前に出て攻撃を仕掛けており、振り下ろされた腕は地面に激突し、大きなクレーターを作り出していた

「ふむ、避けられるとは意外だ。 まだ体か馴染んでいないという事か。それと貴様、勿論殺すつもりだ! 我が君に対し何たる無礼。万死に値する!!」

「ちょっと待て待て、ここに居るのは仲間だ」

「我が君の記憶を持っていますので存じております。ですがあの無礼な口の利き方は容認できませぬ! 今ここで断罪する許可を!」
 あ、やべー奴だこいつ……タメ口聞いただけで殺すとか忠誠心が高すぎておかしな方向へ行ってる……

「ダメに決まってるだろ! 今後俺の事で仲間に危害を加えるの禁止!  ダメ、絶対!」

「……畏まりました、我が君。以後は不愉快ではありますが見過ごす事としましょう。それと誠に恐縮なのですが、名前を授けて頂けないでしょうか?」
 見過ごすって……別に悪い事してるわけじゃないんだけどな……
 まぁ一先ずこれでむやみやたらに暴走しないだろう……
 そして名前、いつもの宝石シリーズでいいか……イメージは黒、黒い宝石と言えば……

「じゃあオニキスで」
 彼の黒翼は美しく、夜を体現した様な漆黒の翼の美しさにはついつい見惚れてしまう。
 黒い宝石にちなんでって相変わらず安直だよなぁ……

「オニキス……なんと素晴らしい名前。感銘の極みでございます!!」
 涙を流しながらプルプル震えているオニキスに俺はドン引きだ……
 忠誠心が振り切れぎているのでこいつが今どういう感情なのかよくかわらん……

「お、おうよかったな……じゃあ次だ」
 先程と同じようにレイスメイジと甲殻大蛇に手を置きマナを送り二体を液化させ合成させる

 ……ゴクリ……

 俺の前には思わず生唾を飲み込んでしまう程美しく、しっとりとした艶のある色気を漂わせる女性がおり、着崩した着物から覗く透き通った白い肌は瑞々しく、絹の様に手触りのよさそうな濡羽色の長い髪や、ガーネットを思わせる深い赤色の瞳と口元のホクロが特徴的な女性だ。
 そして一番特徴的なのは彼女の身体に蛇の骨が蜷局を撒くように絡みついているという事。

「蛇骨太夫という種族でございますね」

 アンジェが種族名を言い終わると同時に、蛇骨太夫は俺に抱き着き恍惚とした表情で見上げながら艶のある唇を動かした
「わっちの体に興味がありんすか? こなたの体は既に貴方様の物、何をしてくだすっても構いんせん。例え殺されても、貴方様になら本望でございんす。未来永劫、貴方様の側に居る事をお許しくんなまし」
 うわーめっちゃいい匂い……さっき生まれたばかりで香水なんてつけてないハズなのに重厚な色気をそのまま香りにした様な理性を壊されそうになる匂いが鼻腔を刺激し、思考が上手く纏まらない。

 周りに美人は多いけど、黒髪日本美人はいなかったから正直かなりぐっとくる……
 でもこんな所ルーやフララに見られたら即死コースだぞ……

 そして何故かオニキスが羨ましそうなこちらを見ている……
 まぁ一先ずオニキスみたいに忠誠心が異常に高い訳じゃないし安心かな、変な子じゃなくてよかった。

「これは貴方様に全てを捧げるという私の覚悟でありんす、受け取ってくんなまし」
 そう言って彼女は頬を紅く染めながら、自分の小指をブチッと引きちぎって俺の手に握らせニコリと笑った

 怖い怖い!!  完全に俺の早とちりだった……ダメだこいつもまともじゃない!! これは確か心中立っていうんだっけ? 遊女は本気で好きな男に不変の愛を誓う為に小指を送るっていうのはなんかで読んだ事あるけど実際にやるか普通?!

「これからはこうして小指が無くなりんした場所を見る度に、貴方様との強い繋がりを感じれるでありんす、それだけでわっちは……わっちは……あぁん……」
 小指が引き千切られぽたぽたと血が垂れている場所を愛おしそうに見つめて、艶っぽい声をあげながらその場に倒れそうになった、華奢ながらも張りのある体を慌てて両手で支えて声を掛ける

柘榴ざくろ、大丈夫?」

「柘榴、それがわっちの名前でありんすか? なんと素晴らし名前。実った果肉は宝石の様に美しく、味は甘さと酸味のバランスが心地いい。見た目だけではなく中身も素晴らしい、そういう調和のとれた果実にわっちのイメージを重ねて名付けてくれたでありんすね?」
 何て都合のいい深読み!!
 目をキラキラさせ感動している所悪いんだが、ルーの鮮やかな紅い瞳とは対照的な暗く深い紅から連想される宝石がガーネットで、単にその和名の柘榴石から取っただけなんだが……

「あぁ、そういうイメージだよ……とりあえず小指とかいいから体を大事にしてくれよ柘榴」
 再生魔法で柘榴の千切れた小指を繋げるのだが、さっきから柘榴の艶っぽい声が止まらない

「どうしたの柘榴、どこか具合でも悪いの?」
 俺の腕に体重を預け太ももを擦り合わせてモゾモゾしているが、どうしたんだろう?

「あぁん! はぁ……はぁ……ダメでありんす……貴方様の声が子宮に響いて……名前を呼ばれるだけで……内側から溢れてくるでありんす……」
 湿り気を帯びた吐息を吐き出し、開けた着物から覗く艶めかしい生足に目を奪われ理性が飛びそうになるが、首を振って何とか堪えた。
 全くけしからん。  もっとやれ!
 ……しかしこいつもダメだ……これならまだオニキスのがマシ……だと思う。
 名前呼ぶだけで感じちゃうとか完全い頭イっちゃってんだろ! 何でこんな危ない奴らばかり誕生してくるんだよ!

「よ、よし次だ!」
 これ以上柘榴と絡むとなんかまずい事になりそうなので気持ちを切り替えて新たな合成を試みる。
 次はツインスネークと三日月餓狼だ。
 液状化した二体が合わさり誕生したのは……

「双子?」

「緊張するのよう。パパって優しい人なのかな?  ネェネはパパ怖くない?」

「大丈夫、お父様はきっととっても優しい人なのよう。不安ならネェネの後ろに隠れていればいいのよう」

「種族名は双月夜鬼でございますね」
 現れたのは見た目六歳位の双子の幼女だ

 妹と思われる子は、黒髪黒目で小麦色の肌をしており、やや人見知り。
 姉の後ろに隠れて顔をちょこんと出してこちらの様子を伺いっていたので、ニコッと笑いかけると恥ずかしそうに顔を赤らめ「ハウッ」と声を漏らし姉の服をギュッと握って顔を隠す仕草に俺だけではなくこの場に居た者全員が落ちた。

 姉の方は対象的に色素が薄く、肌や髪、眉毛だけではなく綺麗に生え揃った睫毛も真っ白で所謂アルビノ的なやつなのだろうか?
 妹とは違って堂々としており、妹をその場に残しニコニコと笑顔を浮かべながらテクテクこちらへと歩いてきた

「お父様、会えて嬉しいのよう。これからずっと私達と一緒にいて欲しいのよう。ずっとお父様の側にいてもいい?」
 ウルウルとした目でそんな可愛いお願いをされ、またもや俺の心は撃ち抜かれた。
 父性を刺激する愛らしい顔立ちの二人は、成長したら飛び切り美人になるのだろうけど、魔物だしこれ以上成長しないんだよな? それは残念で仕方ない。
 誰かと結婚とか言い出してもお父さん許しませんからね!

「うん、よろしくね!  じゃあこっちおいで」

「お父様大好きなのよう!」
 寿司屋の社長風に両手を広げると嬉しそうに姉が飛び込んで来たので、デレデレした顔で受け止めて抱きしめた

 実際俺のマナで生まれた訳だし本当に娘みたいなもんだもんなー、可愛くて仕方ないわ。  前の二人と違ってこの子達はまとも……

「ネェネ……どこなのよう……ネェネ……ネェネ……一人は嫌なのよう!!  うえーん!!  ネェネ、ひどりにじないでー!!」
 姉が少し離れた事に妹が不安定になった様で、突然声を荒げて泣き始めると大気がそれに反応したように震え出し、未知の力で自分の体が妹の方へと引っ張られていく感覚を覚えたので周りを見てみると、その辺の石や植物、巨大な岩までも妹目掛けて猛スピードで飛んで行っており、すぐに現在の状況が芳しくないと理解が及んだ。

 とりあえず巨大な岩は大怪我に繋がるので、即刻破壊しまいと魔法を放とうとした時、俺の近くに居たはずの姉が妹の影から飛び出し、妹に当たる寸前で全て弾いて妹に抱きつくと、妹目掛けて飛んでいた物が全て力を失ったように地に落ちていく

「ネェネが悪かったのよう。お父様とのお話が楽しくてつい離れ過ぎてしまったのよう。ごめんなさいなのよう」

「グスン……いいのよう……でもネェネばかりズルイのよう、パパとお話したいのよう!」

「あの……大丈夫?」
 恐る恐る俺が声をかけると妹は顔を真っ赤にしてあたふたしながら応えた

「パ、パパ!  大丈夫なのよう!  心配かけてごめんなさいなのよう……ネェネと離れると不安になって力を抑える事が出来ないみたいなのよう……」
 前の二人よりまとも……まとも……か?
 さっきのあれ街中で起こってたら大惨事だぞ……

「いいよ気にしないで、それよりあれはどんな力なの?」

「パパの言葉で言うなら引力なのよう、ネェネの力は斥力なのよう」
 引き寄せる力と引き離す力か、とんでも能力だな……
 周りをみると、先程引きずられていた他の面々も一安心といった様子で胸を撫で下ろしていた

「どれくらい離れたらさっきみたいになるの?」

「今の状態ならネェネと1メートルも離れたら、不安になってしまうのよう」
 1メートルって……あんなの頻繁に起こされたら街がメチャクチャになる……なんかいい方法は……あっ!

 俺はメザイヌ王国の地下で三人を解放した時に収納した手枷を出して二人手に嵌めてやると、オニキスと柘榴以外の面々が犯罪者を見るような冷たい視線を俺に向けてきた

「ショウ君、ついに行くところまで行っちゃったんだね……幼女に手枷なんてマニアック過ぎるよ……そんな貴方は見たくなかった……私達の関係はターンエンドよ……」
 おう、勝手にしてくれ! 二度とターンを回してくれるな!

「ジル、変な勘違いはやめてくれい? これで二人は離れる事は出来ないしさっきみたいな事態は起こらないだろ?!  それに嫌なら別の方法考えるし……それと二人の名前だけど、ネェネがセレナで君はスピナでどうかな?」
 白い宝石と言えばセレナイト、そこかとってセレナとして、同じような響きにしたかったので黒色もある宝石スピネルから取ってスピナ

「はいお父様!  お父様からの贈り物、セレナとスピナは大事にするのよう!」
 二人でジャジャラと鎖を鳴らして、本当に嬉しそうだな
 絵面としてはジルの言う通り、幼女に手枷とやや退廃的な雰囲気で少し後ろめたい気持ちもあるのだが……

「パパ、スピナは嬉しいのよう!  ネェネと頑張ってパパの役に立つから二人一緒に可愛がって欲しいのよう!」
 はぁ……二人共本当の娘みたいで可愛すぎる……
 本人達が喜んでいるのだから問題ないっしょ!

「勿論!  これからよろしくね!」

「お父様……」「パパ……」
「「大好きなのよう」」
 そう言って抱きついて頭を擦り付けてくる二人に、一瞬でとてつもない愛おしさを植えつけられてしまったのだった……
 それとオニキス、なんでお前はなんでちょっと羨ましそうなんだ?!  悪いけどいくらイケメンでもそう言う趣味はないからな!

「「「「「『ロリコン』」」」」」

「違うわ!  次だ次!」
 全く誰がロリコンだ、ちょっと幼くて可愛い子が好きなだけじゃないか!
 最後はグリフォンエース×ブラッティーウルフ
 4回目ともなると慣れたもんで非常にスムーズだ

 そして今回誕生したのは……

「んきゅ?」
 最初に食いついたのはジルだった

「可愛い!!  何この子?!  ほーらおいで怖くない、怖くない」
 猫撫で声で差し出したジルの指に、お約束通り手の平サイズの何かがカブッと噛み付く!

「ほら、怖くない……いや、私が怖い! ぎゃー!! 千切れる!!」
 思いの外牙が鋭かったらしく、噛みついたジルの指に深々とめり込んでおり、その指を食い千切らんとしていた。
 うん、某アニメーション作品の様に怯えていた訳ではなく、単純に敵だと認識したみたいだ……

「一角幻宝獣でございます」
 見た目で言えばハリネズミ。
 違いは背中にびっしりと生えている針が全て色取り取りの宝石だという事と、額に小さく生えた角である。

「放してあげてくれる?」
 噛み付いて離れない一角幻宝獣を振り払おうとブンブン手を振るジルの近くに行って、そう声をかけると、一角幻宝獣のつぶらな瞳が俺を捉えた瞬間、彼?  彼女?  は俺の前でひっくり返って腹を見せ服従のポーズをとった。

 ジルとの対応の違いに苦笑いを浮かべながらお腹を撫でてやると「キュイ!  キュイキュイ!  ンキュ!」と弾んだ声を上げているので、喜んでくれたのだと思う。

「私の時と全然違う!」
 目に涙を溜めぷくーっと膨れるジルを横目に名前を考えてみる。
 額に小さく生えている黄色い宝石がシトリンを彷彿とさせる事から、まんまシトリンと名付ける事とした。

 名付けられた事がよっぽど嬉しかったのかその場で腰に手を当てお尻を振って小躍りしている辺り、言葉は理解できる様だ。
 手を出すと嬉しそうに腕を駆け上がり、まるでここが自分の定位置とばかりに左肩を陣取って澄まし顔を決めた。

 四人と一匹の仲間を新しく迎えた所で、北の方角から規則正しく統率されたハルストルス公国の巨人兵が地響きを鳴らしながらこちらへと進行してくるのを目視で捕らえ、皆に緊張感が漂い始めた時、オニキス、柘榴、セレナ、スピナが俺の前に跪き、代表してオニキスが口を開く

「我が君、ここは我々に任せて頂けませんか?」
 俺のお亡くなりになられた魚の様な目を真っ直ぐ見つめる彼、彼女らの瞳は、揺るぎない自信に満ち溢れていて、漂う圧倒的強者の風格はフララやベリルといったSS級の魔物にも劣らない。

 てかこいつら……俺より強いんじゃね?!
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