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廃村
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馬上の兵士マルクスに告げられたことをベルンハルトとカスパルは真っ先にギルド隊長のルーカスに伝えた。そして、都市参事会のメンバーたちにも世話係のフローラとアネッサを通して言伝に伝えられた。
メアベルクの街は平和を取り戻し多くの人は元の生活を営むことができるようになった。だが、しかし、カイゼルがやった悪行によって備蓄していた食料は底を尽き、都市参事会が運営費として貯めていた金貨も奪い取られてしまった。
ギルド隊長のルーカスとベルンハルト、カスパルは馬を用意してカイゼルを追うことにした。馬上の兵士マルクスが馬を走らせて向かったのは東の街オルドバの方角だ。
ルーカス「やっぱりカイゼルはおかしいと思っていたんだ。ただの旅人がねずみを一掃するなどあり得ない」
カスパル「そうですよね。あの立ち振る舞いやしゃべり方も独特でしたね」
ベルンハルト「金貨を得るための巧妙な罠だったというわけだ」
3人は口々に今までの鬱憤を吐露した。しばらく馬を走らせて東の街オルドバに着いた。ルーカスが街の人に話しかける「この街にカイゼルという男は来なかったか?色白でひょろっと細身の奴だ。腰に革のウエストバッグを付けている」というと街の人は「そんな男は知らないよ」と冷たくあしらった。
カスパル「ルーカス隊長、この街のギルドホールに行きましょう。きっと教会で神父に聞けばわかりますよ」
3人は教会のほうへ馬を走らせた。この街には大きな教会がある。教会の横に馬をつなぎ留め、3人は教会の中へ入ると神父に事情を説明し都市参事会のメンバーの召集をかけるように話を進めた。神父アシェル「たしかにこの街にマルクスという兵士が来られたよ。しかし、カイゼルという男は見ていない。街のどこを探しても見つかっていないし住人たちに聞いても誰もそんな男とは出会っていないと言っていた。すぐに追手が来るとわかったからもっと遠くへ逃げたのではないか?金貨20枚もあれば10年は生活できる。しかし、罪深き男よ」ため息交じりに魔術師カイゼルの業の深さを嘆いた。
3人は神父の協力を経て、教会で寝泊まりすることになった。東の街オルドバにはカイゼルはいない。そして、馬上の兵士マルクスの姿もない。次の日に宿屋でカスパルが聞き込み調査を行うとマルクスが泊まっていたと宿屋の主人が明かした。行き先はどうやら南東の街オールドメアのようだ。街の住人たちに声をかけてもそれほど大した情報は得られなかった。3人は南東の街オールドメアに向かうことにした。
南東の街オールドメアは遠い。馬を駆けても2晩はかかる。森を抜けたところに村があり、そこで1泊してから南東の街オールドメアを目指すのがいいのではないかとベルンハルトがルーカス隊長に提案した。
ルーカス「たしかにオールドメアは遠いな。オレたちは宴から朝を迎え一睡もせずにオルドバに着いた。昨日、あの大きな教会で寝泊まりしたのが2日ぶりの睡眠だったんだ。村に立ち寄ってから準備を整えてオールドメアを目指そう。ベルンハルトとカスパルにもムリをさせて悪いな」と行動を共にする部下を労った。
3人が馬を走らせて森を抜けると村が見える。
「あの村がヴィボです、隊長。10年ほど前に立ち寄ったことがある」とベルンハルトが隊長に村の名前を伝えた。しかし、様子がおかしい。人の気配がまるでしない。しかも、家屋の多くは木造だが手入れされていないようだ。壁のあちこちに穴が開いている。農作物と道を仕切る木の囲いも崩れてボロボロだ。丸太を縛ってあった縄が切れてしまっている。
村の奇妙な様子を覗いながら3人は警戒してゆっくりと馬を歩かせた。「変ですね。10年前はこんなんじゃなかった」ベルンハルトが一番驚いている。
ルーカス「人の気配がしないな。いくら小さな村とはいえ村人が誰もいなくなるなんてことがあるか?」とベルンハルトとカスパルに疑問を投げかけた。カスパルも同様に不思議がっている。
しかし、この村をそのまま通り過ぎて南東の街オールドメアを目指すにしても馬を駆けて2晩かかる。それは現実的ではない。ならば、この村で一番マシな状態の家屋を宿代わりにしようと3人は話し合った。
それほど大きくはないが見た目がマシな家屋を見つけるとルーカスが扉を叩いた「誰かいるか?いたら返事をしてくれ」と中からの返事を待ったが誰もいないようだ。「よし、ここに泊まろう」とルーカスがふたりに言うと扉を開けた。鍵はかかっていない。中に入ると中央にテーブルがあって奥の部屋を覗くとベッドがある。何もない家だが食器棚には食器が綺麗に整理されている。家の中が荒らされたような痕はないようだ。
カルパス「不思議ですね。人がいないのに食器が綺麗に整理されている。それにテーブルは埃が被っていない」村人はいないが家の中の保存状態がいいのは奇妙だった。
ベルンハルト「オレがここを訪れたのは10年前になる。そのときは普通に村人は生活していた。村人がいなくなったのは最近なのか?」何も事実はわからないが村人がいないことはたしかだ。
奥の部屋からローソクが3本立った台座を持ってきたルーカスがテーブルの上に台座を置いてマッチを擦って明かりを灯した。「まぁいいじゃないか。オレたちが目指すのはオールドメアだ。ここで1泊したらすぐに立ち去る。この村を気にかけてる暇はない」そういうとルーカスは台所の下を漁って赤ワインを手に取りだした。グラスを3つ並べて赤ワインを注ぐ。
3人はバッグから食べ物を取り出した。メアベルクの領主ニクラスが備蓄していた貴重な食料である。燻製肉とチーズ、木の実を皿に並べると3人は手を合わせて祈りを捧げた。赤ワインを飲み燻製肉をフォークとナイフで切って食べる。これは3人にとって静かな晩餐なのだ。食事を済ませるとルーカスはすぐに寝床についた。ベルンハルトとカスパルは床に毛布を敷いて眠る準備をしている。
誰もいない村ヴィボの夜は静かだった。森の方から鳥や獣の鳴き声がする。3人は眠りについた。メアベルクの街で宴があった日から2日後にまさかこんな遠くにいるとは誰も想像していなかった。
メアベルクの街は平和を取り戻し多くの人は元の生活を営むことができるようになった。だが、しかし、カイゼルがやった悪行によって備蓄していた食料は底を尽き、都市参事会が運営費として貯めていた金貨も奪い取られてしまった。
ギルド隊長のルーカスとベルンハルト、カスパルは馬を用意してカイゼルを追うことにした。馬上の兵士マルクスが馬を走らせて向かったのは東の街オルドバの方角だ。
ルーカス「やっぱりカイゼルはおかしいと思っていたんだ。ただの旅人がねずみを一掃するなどあり得ない」
カスパル「そうですよね。あの立ち振る舞いやしゃべり方も独特でしたね」
ベルンハルト「金貨を得るための巧妙な罠だったというわけだ」
3人は口々に今までの鬱憤を吐露した。しばらく馬を走らせて東の街オルドバに着いた。ルーカスが街の人に話しかける「この街にカイゼルという男は来なかったか?色白でひょろっと細身の奴だ。腰に革のウエストバッグを付けている」というと街の人は「そんな男は知らないよ」と冷たくあしらった。
カスパル「ルーカス隊長、この街のギルドホールに行きましょう。きっと教会で神父に聞けばわかりますよ」
3人は教会のほうへ馬を走らせた。この街には大きな教会がある。教会の横に馬をつなぎ留め、3人は教会の中へ入ると神父に事情を説明し都市参事会のメンバーの召集をかけるように話を進めた。神父アシェル「たしかにこの街にマルクスという兵士が来られたよ。しかし、カイゼルという男は見ていない。街のどこを探しても見つかっていないし住人たちに聞いても誰もそんな男とは出会っていないと言っていた。すぐに追手が来るとわかったからもっと遠くへ逃げたのではないか?金貨20枚もあれば10年は生活できる。しかし、罪深き男よ」ため息交じりに魔術師カイゼルの業の深さを嘆いた。
3人は神父の協力を経て、教会で寝泊まりすることになった。東の街オルドバにはカイゼルはいない。そして、馬上の兵士マルクスの姿もない。次の日に宿屋でカスパルが聞き込み調査を行うとマルクスが泊まっていたと宿屋の主人が明かした。行き先はどうやら南東の街オールドメアのようだ。街の住人たちに声をかけてもそれほど大した情報は得られなかった。3人は南東の街オールドメアに向かうことにした。
南東の街オールドメアは遠い。馬を駆けても2晩はかかる。森を抜けたところに村があり、そこで1泊してから南東の街オールドメアを目指すのがいいのではないかとベルンハルトがルーカス隊長に提案した。
ルーカス「たしかにオールドメアは遠いな。オレたちは宴から朝を迎え一睡もせずにオルドバに着いた。昨日、あの大きな教会で寝泊まりしたのが2日ぶりの睡眠だったんだ。村に立ち寄ってから準備を整えてオールドメアを目指そう。ベルンハルトとカスパルにもムリをさせて悪いな」と行動を共にする部下を労った。
3人が馬を走らせて森を抜けると村が見える。
「あの村がヴィボです、隊長。10年ほど前に立ち寄ったことがある」とベルンハルトが隊長に村の名前を伝えた。しかし、様子がおかしい。人の気配がまるでしない。しかも、家屋の多くは木造だが手入れされていないようだ。壁のあちこちに穴が開いている。農作物と道を仕切る木の囲いも崩れてボロボロだ。丸太を縛ってあった縄が切れてしまっている。
村の奇妙な様子を覗いながら3人は警戒してゆっくりと馬を歩かせた。「変ですね。10年前はこんなんじゃなかった」ベルンハルトが一番驚いている。
ルーカス「人の気配がしないな。いくら小さな村とはいえ村人が誰もいなくなるなんてことがあるか?」とベルンハルトとカスパルに疑問を投げかけた。カスパルも同様に不思議がっている。
しかし、この村をそのまま通り過ぎて南東の街オールドメアを目指すにしても馬を駆けて2晩かかる。それは現実的ではない。ならば、この村で一番マシな状態の家屋を宿代わりにしようと3人は話し合った。
それほど大きくはないが見た目がマシな家屋を見つけるとルーカスが扉を叩いた「誰かいるか?いたら返事をしてくれ」と中からの返事を待ったが誰もいないようだ。「よし、ここに泊まろう」とルーカスがふたりに言うと扉を開けた。鍵はかかっていない。中に入ると中央にテーブルがあって奥の部屋を覗くとベッドがある。何もない家だが食器棚には食器が綺麗に整理されている。家の中が荒らされたような痕はないようだ。
カルパス「不思議ですね。人がいないのに食器が綺麗に整理されている。それにテーブルは埃が被っていない」村人はいないが家の中の保存状態がいいのは奇妙だった。
ベルンハルト「オレがここを訪れたのは10年前になる。そのときは普通に村人は生活していた。村人がいなくなったのは最近なのか?」何も事実はわからないが村人がいないことはたしかだ。
奥の部屋からローソクが3本立った台座を持ってきたルーカスがテーブルの上に台座を置いてマッチを擦って明かりを灯した。「まぁいいじゃないか。オレたちが目指すのはオールドメアだ。ここで1泊したらすぐに立ち去る。この村を気にかけてる暇はない」そういうとルーカスは台所の下を漁って赤ワインを手に取りだした。グラスを3つ並べて赤ワインを注ぐ。
3人はバッグから食べ物を取り出した。メアベルクの領主ニクラスが備蓄していた貴重な食料である。燻製肉とチーズ、木の実を皿に並べると3人は手を合わせて祈りを捧げた。赤ワインを飲み燻製肉をフォークとナイフで切って食べる。これは3人にとって静かな晩餐なのだ。食事を済ませるとルーカスはすぐに寝床についた。ベルンハルトとカスパルは床に毛布を敷いて眠る準備をしている。
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