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歴史博物館LW記念ホール
しおりを挟む『ここがLW記念ホールです』「なんか建物が恐竜の顔っぽいけど・・・?」『この建物の外観はT-REXをモチーフに作られています』「そうなんだ、なんか迫力があるね」ノアはスマートグラスのボタンを押して画面キャプチャした。歴史博物館LW記念ホールの外観の画像を保存して扉を開けて中に入ると広々としたエントランスがあって、誰でも中を自由に閲覧できるようになっていた。
各国で発掘された恐竜の骨は、3DスキャンされAIが発掘されなかった骨を予測補填して体全体の骨組みを完成させ、そこにさらに肉付けをして本物の生きた恐竜が動きだしたかのようにガラスの向こう側で歩き回っている。草食動物が草を食べていたら茂みから大型の肉食恐竜が飛び出してきてそれを捕食する。まるで映画のワンシーンのようだ。
長い通路があって長方形のガラスが左右に配置されている。恐らく2m間隔で配置されたガラスの向こう側にはいろんな時代の”リアルが切り取られている”のだろう。
恐竜が支配した時代、巨大な隕石が落ちてきたときの様子、雲に覆われた地球が氷つき真っ白になった世界、やがて雲が晴れ地表の氷が溶けだして動物や植物の生命活動が活発になった時代、人類が誕生して道具を使うようになった時代、そして、文明を持ち産業が生まれた時代、それでもまだ高度な文明と呼べるものではなかった。奥へ進むに連れてガラスの向こうでは、どんどん時代が変化していく。
ノアは立ち止まりガラス越しにひとりの男が浜辺を歩いている姿を見つめる。手に持っているのは陶器のようだ。粘土を主原料として低温で焼成した壺を海につけて取り出す。男は海水をすくい、それを持って浜辺に戻って来ると陶器でできた壺を砂浜に置いた。(一体、これはなんの動画なのだろうか?)どうやらこれも重要な歴史の1ページらしい。
男は壺の口を布で覆い麻のロープで括りつけた。壺は3つ用意されそれぞれの口は布で覆い隠され麻のロープで括りつけられている。壺を傾けて陶器の皿へ海水を注ぐ。注がれた海水はそのまま次の壺へ注ぎ直し、また皿に海水を注ぎ、また次の壺に注ぎ直す。それをずっと繰り返している。
そして、海水をすくった最初の壺から3つ目の壺に海水がすべて注ぎ直されると砂浜に薪を並べて火をつけはじめた。薪の上には石が並べられ陶器の皿を石の上に置いて壺に入った海水を皿に注ぐ。海水を温めているようだ。
陶器の皿に入った海水は温められ湯気が立ち上り、水分はどんどん蒸発していく。皿の中の海水から白い濁りが現れてくると男は新しい陶器の皿を横に置いて木の板で白い濁りをすくって皿に移し替える。これはどうやら海水から塩をろ過する方法のようだ。極めて原始的なやり方だが見ていて飽きない。
白い濁りはすべて新しい皿に移し替えられた。そのまま数日、放置され(ここはスキップ機能で飛ばして観ている)、陶器の皿の上には真っ白に光輝いた塩が生成されている。天日干しすることによって太陽の光に晒され、水分がどんどん蒸発して、最後には塩だけが残っているというわけだ。
ノアはこれを見て感動した。第一次産業から第三次産業までAIが人類の代わりにやっていることが当たり前の時代からすれば、塩の生成に長い時間をかけていたことに驚きを隠せなかった。
堂々巡り、繰り返し、しかし、その中で物事は効率化され、より洗練された新しいものを手にして、次の時代へつなぐ。その一瞬の”時代の流れ”を垣間見た気がした。
ノア「なるほどね、そうやって塩は作られるのか。何度も同じ作業を繰り返すってことは、1回でダメだった、2回でダメだったという証でもある。それでも諦めずに塩が取れる方法を考えて見えない壁を乗り越えてやっと辿りついた終着点だったんだ」
見えない壁を乗り越える。それこそが人類が歩んできた道。答えなんて誰にもわからない。むしろ失敗のほうが多いだろう。
「僕たちも見えない壁を乗り越えていきたい。どこまでもね・・・」ノアが呟く。
次の日、酒場に4人が集まった。アントン・ケイが言う「ノア君、チーム名の提案は何かありますか?」ノアが頷く「あるよ。僕が考えたチーム名にしてほしい」「ほう」とファン・ロイが興味を持って相槌を打つ。
ノア「僕らのチーム名はLEVEL BEYONDERにして欲しい」「なるほど、壁を乗り越えていく者たちってことですかね?」アントン・ケイが質問する。「そう、僕らはこれからたくさんの壁を乗り越えていって、強くなるんだ」「いいんじゃないか」ファン・ロイが笑う。レナータ・ライ「いいよ」とひと言だけ添えて髪を手でかき上げた。
アントン・ケイ「じゃあ決まりですね。レベルビヨンダーなんで登録はLv.BEYONDERにしましょうか。そのほうがスッキリしますからね」
はじめて4人の意見が一致した。4人でグラスを持って乾杯して正式にLv.BEYONDERがチーム名として登録された。
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