メタハックフロー

パープルエッグ

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不正プログラム

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『The Living Corpse』の生き残りはエドメとゲアル、リグットの3人になり、『UNIT-8』はフロラン、ピム、ノエル、セシルの4人が生き残って、『UNIT-8』がやや有利な状況となった。ただ厄介なのはbotロボットがフィールドの中央を拠点にして徘徊していることだ。

「カカカッ♪botの奴らにはチームワークもクソもねぇな。ただ視界に入った奴に反応して、捕捉した敵を正確な射撃で倒すだけ・・・なるほどな」巨大なキューブの物陰でうつ伏せになってフロランは様子を見ていた。ちょうど2つほど離れたキューブのところでエドメと同じチームにいたパオットがbotに倒されるのを目撃したところだった。

「なんだ?あの雑魚は。ショットガンのチョーク調整もせずにbot相手にバードショットでもかましてんのか(笑)。そりゃ倒せねーだろうよ、まぁ本人が気づいてないみたいだがな」

さらに奥の巨大なキューブの物陰で叫び声がする「うわぁ!ああああ!」闇雲に銃を撃ちながらbotから逃げ惑っているのはゲアルとリグットだった。『赤 01』と『緑 03』がどうやらふたりを捕捉したようだ。一度、botに捕捉されると逃げ切るのは難しい。ゲアルがサブマシンガンを捨てて、背中に隠していたマグナムを取り出すと逃げるのをやめた。一見、諦めたようにも見えるこの状況、しかし、それは違った。

ゲアルは急に方向転換して『赤 01』のほうに向かって全力で走り出した。一瞬だが『赤 01』の反応が遅れ、手元の銃を構えようとする瞬間を狙って、左手でその銃を掴んで自身の体から銃口を逸らし、右手に持っていたマグナムを『赤 01』の長細い顔に密着させてぶっ放した。『赤 01』のbotの顔が天を仰ぐ。動きが止まり、その間にも数発の弾丸をボディにぶち込んだ。

そこにエドメが走り込んできて加勢する。やや遠い距離を保ったまま『赤 01』の側面からアサルトライフルで援護射撃を行う。「クソ!これでも倒れないのか」botのパラメータ異常に手を焼き、エドメは悔しくて歯を食いしばった。

リグットは煙幕弾を『緑 03』のbotに投げつけ、全力でその場から離れると近くにある巨大なキューブの物陰に隠れた。

援護射撃をしているエドメの背後から『青 04』が近づき、手に装着したサーベルでエドメの心臓を一突きした。そして、そのままエドメの体を持ち上げると、エドメの体は仰向けになったままアサルトライフルを撃ち続け、体が痙攣している。『青 04』のbotは、エドメを床に叩きつけ、近くにいたゲアルをすぐに捕捉した。床に転がったエドメの胸元から血が広がり、ゲームとは思えないほどリアルな死体にさえ見えた。

「冗談だろ?(汗)いくらなんでもデタラメすぎる」ゲアルは狼狽うろたえて膝をついた。戦意喪失である、レベルの差があまりにも違いすぎて戦う気力を失ってしまった。『青 04』とさっき天を仰いでいた『赤 01』が近づいてきてゲアルを上から見下ろした。

『赤 01』が銃を構え、『青 04』はサーベルがついた腕を振り上げた。ゲアルがヤラれる絶対絶命のピンチ。その瞬間、後ろからアサルトライフルで『赤 01』と『青 04』を連続で射撃するプレイヤーが現れた。そこに立っていたのはなんとエドメである。さっき倒されたはずのエドメがまたピンピン動き回っている。

フロラン「どういうことだ?あいつ死なねーのか」仲間に通信で聞く。ピム「どうやらそのようですね。あれ、もしかしてチータじゃないですか?」確証はなかったがどうもおかしい。他のプレイヤーはヤラれたら消えるのに、あいつは消えない、さっき床に血が広がって死んだように見えたのに、またピンピン動き回っているのだ。

「フフフッ♪そういうことかよ。あいつのせいでネオグライドのAIが寄こしたbotがパラメータ異常を引き起こしたんだ。全員がプレイヤーだったらバレてなかったかもな。だから、上位ランカーか・・・」

フロランは、その事実を受け入れた。さらに通信で仲間に伝える「おい、お前ら!武器を解放するぞ!もう勝ち負けなんてどうでもいいだろ。試してみようぜ」3人が応答する「了解ラジャー!」

『UNIT-8』のチームは全員、武器を変えた。大型拳銃のマグナムに装備を変えると狙撃手役だったノエルとセシルも前線に出てきた。

フロラン「相手にするのはひとり1体だ。botを散らせろ。フィールドの中央から離れるまで攻撃せずにかく乱するんだ。獲物が追ってきたら反撃しろ」「了解ラジャー

フロランは、このめちゃくちゃな状況を楽しんでいた。『The Living Corpse』のエドメが酒場でケンカを売ってきたのも納得だった。エドメ自身がチータで死なないから相手が強そうでも関係なくケンカを吹っかけて対戦に持ち込んでいたのだ。相手が乗ってくれば、しめたものだ。それはエドメだけが知っている美味しい裏技だったに違いない。恐らく仲間の奴らも知らなかったのだろう。

オンラインゲームの中で不正プログラムを操る奴がいる。俗称はチータ、チートな不正プログラムで無敵になる奴=チータである。

最近、アップデートされたネオグライドでは、チータの数が大幅に減ったと言われている。アップデート前は、チータがいても複数のチームが揃えばそのままゲームが開始されていたがアップデート後はチータがいたときは必ずAIがパラメータ異常を起こしたbotを投入する仕様に変更されたらしい。エドメの奴は、アップデートの内容を見ていなかったんだな、きっと。仕様が変わったことに気づいていないんだ。

(まったくお前の自爆に巻き込んでんじゃねーよ!)フロランが心の中で叫ぶ。

ネオグライドの取扱説明書チュートリアルやアップデートの仕様変更は、イシドール・ラチエ博士から詳しく聞いていた。だから、オレフロランはそのことを知っていたんだ。その着眼点は流石、博士である。抜け目がない。

エドメのチータによってパラメータ異常を起こしたbot4体と戦うはめになったが、制限時間内に『赤 01』『黄 02』の2体のbotを『UNIT-8』のメンバーで倒すことができた。それも博士のおかげである。

大型拳銃、マグナムに装填する弾が不正に改良されたものであっても何回か素材マテリアルと錬成してプログラムの上書きを行えば、AIにはバレないらしい。それも弾の貫通力がパラメータ異常を起こしているにも関わらず、それがまかり通っている。

現にゲアルが撃ったマグナムでは貫通力が足りず、『赤 01』を倒しきれていなかったのに、オレフロランたちが使ったマグナムでは2体のbotを倒すことができたのだ。

魔改造の威力をラチエ博士は試したがっていたんだ、ちょうどいい機会になったぜ!

後日、エドメのアカウントは停止された。一週間以内に不正プログラムを元に戻さなければエルディオスの街へ入れなくなる。プレイヤーとして一番厳しい処分だ。

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