18 / 30
お菓子の街
しおりを挟むV-HUBの1階でショーケースに入った最新のハプティックスーツをノアとレナータ・ライは購入した。最新の商品の購入にふたりは舞い上がっている。ノア「もう頭痛は大丈夫なの?」「うん、平気。それよりどこか休憩できるところに移動しない?」ネオグライドで勝利できたのは彼女の活躍のおかげだが、何かいつもと違う違和感を感じる。何が違うかまでは言葉では言い表せないが・・・。
ノアはスマートグラスのAIにナビを任せる「どこか僕と彼女で休憩できる場所ない?」『おふたりですね、わかりました。では、ノクティスの街に移動されますか?』「わかった、いいよ。その街に行こう」『中央公園からノクティスの街に移動してください。』
スマートグラスのAIのナビに案内されるがままに、ふたりはノクティスの街に移動した。街全体がお菓子になっている。ノア「なんだ?ここ」まるでおとぎ話の世界に入ってしまったようだ。「ステキじゃない。じゃあチョコレートケーキの家を探しましょうよ」レナータ・ライがチョコの家を指名した。
ビスケットにバニラを挟んだ家、イチゴのショートケーキの家、モンブランの家、様々なお菓子の家が並んでいる。「あれ、チョコの家じゃない?」ノアが指差したところにチョコっぽい家がある。「ええー?ほんとにー?」彼女は半信半疑で応える。
近づいてみるとそれは板チョコの家だった。「これで良くない?」ノアがレナータ・ライにお伺いを立てる。「まぁしょーがないなー、じゃあ入ろっか♪」彼女が板チョコの家のドアを開けて中に入った。
ドアの横にはカウンターがある。モニターに空いている部屋の番号が表示してあった。1時間1ドルと安価だ。『101号室』空いている部屋を選んだ。
ノア「なるほどねー、面白いね。街全体がお菓子なんだ。初めて来たよ、ここ」「そうなんだ。私も実は初めて来たんだよね」彼女もどうやら初見のようだ。部屋のドアを開けて室内を見渡すと中は普通の部屋になっていた。部屋は、サラリーマンや副業のオンライン英会話講師が利用することがあるから、お菓子の部屋ではないようだ。
サラリーマンのリモート会議に使われたり、副業でやっているオンライン英会話講師が1時間1ドルで利用するためにやって来る。なんといっても1時間1ドルの利用料金、破格といってもいいぐらい安価である。しかし、世界中の人々が仮想現実に溶け込んでいる今の時代、需要が途切れたことはない。
AIが運営する街『ノクティス』は、お菓子の街の外観とリモートに使える仮想事務所しかないシンプルな構造である。仮想事務所は、開業申請するときに国に正式に提出することが可能となっている。
ノア「この部屋、何もないね」「そうね、絨毯が敷いてあるだけの部屋ね。ほんと殺風景」そう言いながら彼女はアバターの服を替え始めた。目の前に画面を映し出しアイテムをスクロールさせて選んでいる。ノアは絨毯に横になって天井を見つめている。何か想いふけているようだ。
Neon Dustを使った夜のこと、次の日の頭痛、ネオグライドの対戦、Neon Coreを発動させたこと、そして、今、なぜかレニータ・ライとふたりっきりで仮想事務所にいること、不思議な流れになっているなと感じていた。
「わぁ!何考えてるの?どうせエロイことでしょ?」彼女がニヤニヤしながら仰向けになった僕の胸に乗ってきた。よく見たら頭に猫耳をつけて、黒いキャミソール姿になっていた。ちゃんとお尻にしっぽまで付いている。
「なんだよー、その恰好。そりゃエロイこと考えるでしょ」ダメだ、笑ってごまかそう。仮想SEXしたいなんて言えない。それに、もしやるんだったら・・・ハプティックスーツを着てからにしたい(笑)
ハプティックスーツが届くのは2週間後、そのときならアリかも・・・。電気筋肉刺激と電気神経刺激を利用した感覚フィードバックに加え、お互いが同じスーツなら相手の心拍数までわかるという・・・メーカーも完全にそのために作ったとしか考えられない。
ここは男らしく今日はヤラないと伝えて、お互いに実のある話をしよう。ノア「今日は話したいことがあって・・・」目を見て話すつもりが胸を見てしまった。そりゃ見るよね(笑)
レナータ・ライ「どうしたのー?男らしくないなー(笑)」僕の体に触れながらじゃれてくる。彼女に弄ばれている気がしたが、それも仕方ない。彼女のほうが年上で経験も豊富だ。
この時間が永遠に続けばいいのに、とさえ思う。ただ楽しい時間はあっという間に過ぎてしまうのが現実だ。
お互いに話したいことはあったが、それは今じゃない気がして打ち明けられなかった。
ただお菓子の街を探索して板チョコの家でくつろいだだけ・・・。楽しいひと時だった。
0
あなたにおすすめの小説
【新作】1分で読める! SFショートショート
Grisly
ファンタジー
❤️⭐️感想お願いします。
1分で読める!読切超短編小説
新作短編小説は全てこちらに投稿。
⭐️忘れずに!コメントお待ちしております。
サイレント・サブマリン ―虚構の海―
来栖とむ
SF
彼女が追った真実は、国家が仕組んだ最大の嘘だった。
科学技術雑誌の記者・前田香里奈は、謎の科学者失踪事件を追っていた。
電磁推進システムの研究者・水嶋総。彼の技術は、完全無音で航行できる革命的な潜水艦を可能にする。
小与島の秘密施設、広島の地下工事、呉の巨大な格納庫—— 断片的な情報を繋ぎ合わせ、前田は確信する。
「日本政府は、秘密裏に新型潜水艦を開発している」
しかし、その真実を暴こうとする前田に、次々と圧力がかかる。
謎の男・安藤。突然現れた協力者・森川。 彼らは敵か、味方か——
そして8月の夜、前田は目撃する。 海に下ろされる巨大な「何か」を。
記者が追った真実は、国家が仕組んだ壮大な虚構だった。 疑念こそが武器となり、嘘が現実を変える——
これは、情報戦の時代に問う、現代SF政治サスペンス。
【全17話完結】
アガルタ・クライシス ―接点―
来栖とむ
SF
神話や物語で語られる異世界は、空想上の世界ではなかった。
九州で発見され盗難された古代の石板には、異世界につながる何かが記されていた。
同時に発見された古い指輪に偶然触れた瞬間、平凡な高校生・結衣は不思議な力に目覚める。
不審な動きをする他国の艦船と怪しい組織。そんな中、異世界からの来訪者が現れる。政府の秘密組織も行動を開始する。
古代から権力者たちによって秘密にされてきた異世界との関係。地球とアガルタ、二つの世界を巻き込む陰謀の渦中で、古代の謎が解き明かされていく。
【アラウコの叫び 】第3巻/16世紀の南米史
ヘロヘロデス
歴史・時代
【毎週月曜07:20投稿】
3巻からは戦争編になります。
戦物語に関心のある方は、ここから読み始めるのも良いかもしれません。
※1、2巻は序章的な物語、伝承、風土や生活等事を扱っています。
1500年以降から300年に渡り繰り広げられた「アラウコ戦争」を題材にした物語です。
マプチェ族とスペイン勢力との激突だけでなく、
スペイン勢力内部での覇権争い、
そしてインカ帝国と複雑に様々な勢力が絡み合っていきます。
※ 現地の友人からの情報や様々な文献を元に史実に基づいて描かれている部分もあれば、
フィクションも混在しています。
動画制作などを視野に入れてる為、脚本として使いやすい様に、基本は会話形式で書いています。
HPでは人物紹介や年表等、最新話を先行公開しています。
公式HP:アラウコの叫び
youtubeチャンネル名:ヘロヘロデス
insta:herohero_agency
tiktok:herohero_agency
ドマゾネスの掟 ~ドMな褐色少女は僕に責められたがっている~
桂
ファンタジー
探検家の主人公は伝説の部族ドマゾネスを探すために密林の奥へ進むが道に迷ってしまう。
そんな彼をドマゾネスの少女カリナが発見してドマゾネスの村に連れていく。
そして、目覚めた彼はドマゾネスたちから歓迎され、子種を求められるのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる




