31 / 48
打算
しおりを挟む
「ドミンゴ博士、そっちに2人向かわせたが荷台に載っている瓶に入った脳はイシドール・ラチエ博士のLaboratoryからRV車で運ばれて来たものらしい。調べたら何かわかりそうか?」ケネス・ブルックはドミンゴ博士に調査を指示した。「今、私の手元にあるよ。一応、調べてみるよ。何かわかったら連絡する」パストル・ドミンゴ博士は素っ気なく応えた。
ドミンゴ博士が荷台に載せた脳が入った瓶を調べ始めた。瓶と接続された機器のメーカーと型式をタブレットPCで検索している。それをドローンの映像でフロランが見て焦っていた。
(ヤバイ!これは非常にマズイことになった。オレの本体がここにあるということはLaboratoryには帰れない。それどころか瓶とつながった機器のバッテリーがなくなったらオレの脳の活動が停止する)
フロランはすぐに疑似現実にアクセスしてAIのラチエ博士にありのままを伝えた。「なるほど、それは非常に厄介なことになってしまったな。RV車の回収も困難だがキミの回収はもっと困難な状況に陥っている。私がキミを救う手立てはないようだ。現実世界のラチエに伝えるが彼の判断はもっとドライだと思うよ。期待しないでくれ」疑似現実にいるAIのラチエ博士は本物に現状を報告した。
「それなら・・・まぁ仕方がない。フロランは諦めよう。SSBRのドミンゴ博士は彼を弄り倒すだろう」AIのイシドール・ラチエ博士より本物のほうはドライだった。元々、研究対象としか見ていなかったフロランの安否など心配する素振りもない。自身の保身だけを考えているのだった。そんなことよりもSSBRの不正を暴き、国に報告して軍事産業メーカーとしての権限を奪うことのほうが博士にとって重要なのだ。
元は敵兵の自白剤として使用されていた快楽ホルモンが出る薬をNEXA MILITECHから”街で若者たちが遊びで使う流行りモノ”に改良してほしいと依頼され、Neon Dustを開発したがそれが街で流行ると今度はSSBRにナノテクノロジーのAIを混ぜることを依頼され、多額の報酬に目が眩んで引き受けてしまったところから話は拗れている。
ライバル同士の軍事産業メーカーが衰退して”職がなくなる”ことを危惧して、生き残りを賭けて秘密裏に進めた収入の糸口は決して世に公表できるものではなかった。どちらも世間にバレたら一発アウトである。その研究開発の資料はイシドール・ラチエ博士のLaboratoryにある。博士の身に何かあったときやLaboratory自体に何かが起きたときを想定して、疑似現実のほうにAIの博士を常駐させ、研究資料のコピーもそこに隠している。
NEXA MILITECHとだけ取引していればこんなことにはならなかったのにSSBRの依頼を引き受けたことで恨みを買って命を狙われるハメになってしまったのだ。ナノテクノロジーのAIの開発を私がやったとバレたら本当の終わりだ。私は消されるだろう。Neon Dustという流行りの薬を傷モノにしてしまったのだから・・・。
混ざりモノがあるNeon Dustを使用するとナノテクノロジーのAIが脳内に侵入して、使用者の脳をハックする。ハックされた人物のアカウントIDやパスワードはSSBRにあるパソコンの専用ソフトにアップロードされる仕組みになっている。もちろん博士のパソコンにもその専用ソフトは入っている。不正利用はしないが研究成果を確認するためとSSBRに納品する前のテスト稼働も兼ねて博士は所持していた。
仮想現実が主流となった世の中でアカウントIDとパスワードが流出するということは、旅先で使ったクレジットカードのIDとパスワードが流出して不正利用されるのと同じことだ。もしナノテクノロジーのAIをNeon Dustに混ぜたことが国にバレたら、それもまたほう助の罪を問われ、私は刑務所に入れられるだろう。
SSBRの依頼だったとはいえ実行計画の主犯者として罰を受けることになる。もしそうなればSSBRは『そんなことは頼んでいない』とシラを切るに違いない。ならばSSBRが秘密裏に開発を進めている戦闘用アンドロイドや兵器を国に密告して、SSBRを潰してしまえば私が助かる道がある。博士の打算が頭の中をグルグルとまわり始めた。
ドミンゴ博士が荷台に載せた脳が入った瓶を調べ始めた。瓶と接続された機器のメーカーと型式をタブレットPCで検索している。それをドローンの映像でフロランが見て焦っていた。
(ヤバイ!これは非常にマズイことになった。オレの本体がここにあるということはLaboratoryには帰れない。それどころか瓶とつながった機器のバッテリーがなくなったらオレの脳の活動が停止する)
フロランはすぐに疑似現実にアクセスしてAIのラチエ博士にありのままを伝えた。「なるほど、それは非常に厄介なことになってしまったな。RV車の回収も困難だがキミの回収はもっと困難な状況に陥っている。私がキミを救う手立てはないようだ。現実世界のラチエに伝えるが彼の判断はもっとドライだと思うよ。期待しないでくれ」疑似現実にいるAIのラチエ博士は本物に現状を報告した。
「それなら・・・まぁ仕方がない。フロランは諦めよう。SSBRのドミンゴ博士は彼を弄り倒すだろう」AIのイシドール・ラチエ博士より本物のほうはドライだった。元々、研究対象としか見ていなかったフロランの安否など心配する素振りもない。自身の保身だけを考えているのだった。そんなことよりもSSBRの不正を暴き、国に報告して軍事産業メーカーとしての権限を奪うことのほうが博士にとって重要なのだ。
元は敵兵の自白剤として使用されていた快楽ホルモンが出る薬をNEXA MILITECHから”街で若者たちが遊びで使う流行りモノ”に改良してほしいと依頼され、Neon Dustを開発したがそれが街で流行ると今度はSSBRにナノテクノロジーのAIを混ぜることを依頼され、多額の報酬に目が眩んで引き受けてしまったところから話は拗れている。
ライバル同士の軍事産業メーカーが衰退して”職がなくなる”ことを危惧して、生き残りを賭けて秘密裏に進めた収入の糸口は決して世に公表できるものではなかった。どちらも世間にバレたら一発アウトである。その研究開発の資料はイシドール・ラチエ博士のLaboratoryにある。博士の身に何かあったときやLaboratory自体に何かが起きたときを想定して、疑似現実のほうにAIの博士を常駐させ、研究資料のコピーもそこに隠している。
NEXA MILITECHとだけ取引していればこんなことにはならなかったのにSSBRの依頼を引き受けたことで恨みを買って命を狙われるハメになってしまったのだ。ナノテクノロジーのAIの開発を私がやったとバレたら本当の終わりだ。私は消されるだろう。Neon Dustという流行りの薬を傷モノにしてしまったのだから・・・。
混ざりモノがあるNeon Dustを使用するとナノテクノロジーのAIが脳内に侵入して、使用者の脳をハックする。ハックされた人物のアカウントIDやパスワードはSSBRにあるパソコンの専用ソフトにアップロードされる仕組みになっている。もちろん博士のパソコンにもその専用ソフトは入っている。不正利用はしないが研究成果を確認するためとSSBRに納品する前のテスト稼働も兼ねて博士は所持していた。
仮想現実が主流となった世の中でアカウントIDとパスワードが流出するということは、旅先で使ったクレジットカードのIDとパスワードが流出して不正利用されるのと同じことだ。もしナノテクノロジーのAIをNeon Dustに混ぜたことが国にバレたら、それもまたほう助の罪を問われ、私は刑務所に入れられるだろう。
SSBRの依頼だったとはいえ実行計画の主犯者として罰を受けることになる。もしそうなればSSBRは『そんなことは頼んでいない』とシラを切るに違いない。ならばSSBRが秘密裏に開発を進めている戦闘用アンドロイドや兵器を国に密告して、SSBRを潰してしまえば私が助かる道がある。博士の打算が頭の中をグルグルとまわり始めた。
0
あなたにおすすめの小説
本能寺からの決死の脱出 ~尾張の大うつけ 織田信長 天下を統一す~
bekichi
歴史・時代
戦国時代の日本を背景に、織田信長の若き日の物語を語る。荒れ狂う風が尾張の大地を駆け巡る中、夜空の星々はこれから繰り広げられる壮絶な戦いの予兆のように輝いている。この混沌とした時代において、信長はまだ無名であったが、彼の野望はやがて天下を揺るがすことになる。信長は、父・信秀の治世に疑問を持ちながらも、独自の力を蓄え、異なる理想を追求し、反逆者とみなされることもあれば期待の星と讃えられることもあった。彼の目標は、乱世を統一し平和な時代を創ることにあった。物語は信長の足跡を追い、若き日の友情、父との確執、大名との駆け引きを描く。信長の人生は、斎藤道三、明智光秀、羽柴秀吉、徳川家康、伊達政宗といった時代の英傑たちとの交流とともに、一つの大きな物語を形成する。この物語は、信長の未知なる野望の軌跡を描くものである。
至れり尽くせり!僕専用メイドの全員が溺愛してくる件
こうたろ
青春
普通の大学生・佐藤健太は目覚めると、自宅が豪華な洋館に変わり10人の美人メイドたちに「お目覚めですか、ご主人様?」と一斉に迎えられる。いつの間にか彼らの“専属主人”になっていた健太は戸惑う間もなく、朝から晩までメイドたちの超至れり尽くせりな奉仕を受け始める。
サイレント・サブマリン ―虚構の海―
来栖とむ
SF
彼女が追った真実は、国家が仕組んだ最大の嘘だった。
科学技術雑誌の記者・前田香里奈は、謎の科学者失踪事件を追っていた。
電磁推進システムの研究者・水嶋総。彼の技術は、完全無音で航行できる革命的な潜水艦を可能にする。
小与島の秘密施設、広島の地下工事、呉の巨大な格納庫—— 断片的な情報を繋ぎ合わせ、前田は確信する。
「日本政府は、秘密裏に新型潜水艦を開発している」
しかし、その真実を暴こうとする前田に、次々と圧力がかかる。
謎の男・安藤。突然現れた協力者・森川。 彼らは敵か、味方か——
そして8月の夜、前田は目撃する。 海に下ろされる巨大な「何か」を。
記者が追った真実は、国家が仕組んだ壮大な虚構だった。 疑念こそが武器となり、嘘が現実を変える——
これは、情報戦の時代に問う、現代SF政治サスペンス。
【全17話完結】
覚悟は良いですか、お父様? ―虐げられた娘はお家乗っ取りを企んだ婿の父とその愛人の娘である異母妹をまとめて追い出す―
Erin
恋愛
【完結済・全3話】伯爵令嬢のカメリアは母が死んだ直後に、父が屋敷に連れ込んだ愛人とその子に虐げられていた。その挙句、カメリアが十六歳の成人後に継ぐ予定の伯爵家から追い出し、伯爵家の血を一滴も引かない異母妹に継がせると言い出す。後を継がないカメリアには嗜虐趣味のある男に嫁がられることになった。絶対に父たちの言いなりになりたくないカメリアは家を出て復讐することにした。7/6に最終話投稿予定。
大絶滅 2億年後 -原付でエルフの村にやって来た勇者たち-
半道海豚
SF
200万年後の姉妹編です。2億年後への移住は、誰もが思いもよらない結果になってしまいました。推定2億人の移住者は、1年2カ月の間に2億年後へと旅立ちました。移住者2億人は11万6666年という長い期間にばらまかれてしまいます。結果、移住者個々が独自に生き残りを目指さなくてはならなくなります。本稿は、移住最終期に2億年後へと旅だった5人の少年少女の奮闘を描きます。彼らはなんと、2億年後の移動手段に原付を選びます。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる