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〜第一章〜其ノ四
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「すまない君…俺が願ったばかりに…眼と耳が…」
少し寂しそうな表情の愁とは裏腹に、もう光を通さない來夢の眼からは嬉しさからか涙が一筋流れ落ちていた。
「そんな事どうだっていいよ、やっと愁君に会えた…今まで何処に行ってたの…?」
「…俺はずっとここに居た。來夢が俺の事見えなくなっていただけだ。」
愁はありのままの事実を言った。
「えっ…!?見えなかったのは私だけ!?」
「…ああ、俺からは全て聞こえていたのだが?」
「ちょっと待って!?それじゃあ…っ!?//」
自身のこれまでの発言、独り言を思い出し、赤面した彼女を横目に愁は口を開く。
「えっと…それでその…実はだな…俺も…」
「待って!?何も聞いてなかったよね!?私別に変なこととか言ってなかったよね!?」
恥ずかしさで顔を真っ赤にして焦る來夢に言葉を遮られた愁は大きな声で言い放った。
「人の話は最後まで聞けっ!」
「…実は俺も來夢のことを…愛している…っ」
…彼女が嬉しさで泣き崩れるまでそう時間はかからなかった。
その後、愁は自身の身の上を全て話した。
自身が実は神の1人である事、以前いつも夕方居なくなっていたのは御役目があったからということ、自分がこことは異なった次元の空間に住んでいるという事も含めて…。
気が付けば結構な時間が経過した。
2人を祝福するかのように、まだ早咲きの桜の花弁が風に運ばれて舞い降りた。
しかしながら、彼女の眼にその暖かな薄桃色の花弁が映ることは決して無かった…。
「ねえ愁君、今年の桜は綺麗?」
少し寂しそうに彼女はそう言った。
「…ああ、勿論だ。」
「本当?…一緒に桜、見たかったなぁ…」
「なあ、俺から1つ提案があるのだが、良いか?」
「良いよ、何ですか?」
「…俺と一緒に来てくれないか?
但し簡単に決めていい事ではない。1度行くと決めたならば、君は二度と人には戻れない。だが…」
「…俺の世界に来てくれたら、一緒に桜が見られる。梅雨に咲くの紫陽花も、椛や銀杏の色とりどりの葉も、雪が積もった日の一面の銀世界も…」
「2人でずっと一緒に、居られるようになるんだ。御役目を少し手伝ってもらうことにはなるが…できる限り君に不自由はさせないと約束しよう。だから…」
「…はい、よろしくお願いします…。愁君、どうか私を連れていってください。」
彼女は少し考えた後、直ぐに決意したように言った。
「君…家族や親友はいいのか?会えなくなるんだぞ!?」
「いいの、親友なんていないから…。両親も昨年死んだばかりで、これ以上おばさんに迷惑かけるわけにもいかないから。」
「どうか私を連れていってください。お願いします、神様。」
彼女は微笑んだ。愁から提案したのもあり、愁は少し躊躇ったものの当然断ることなんて出来るはずがなかった…。
「…分かった、それじゃあ來夢、行こうか。俺達の家に…」
2人の姿は暖かな春の光に包まれて消えていった。
少し寂しそうな表情の愁とは裏腹に、もう光を通さない來夢の眼からは嬉しさからか涙が一筋流れ落ちていた。
「そんな事どうだっていいよ、やっと愁君に会えた…今まで何処に行ってたの…?」
「…俺はずっとここに居た。來夢が俺の事見えなくなっていただけだ。」
愁はありのままの事実を言った。
「えっ…!?見えなかったのは私だけ!?」
「…ああ、俺からは全て聞こえていたのだが?」
「ちょっと待って!?それじゃあ…っ!?//」
自身のこれまでの発言、独り言を思い出し、赤面した彼女を横目に愁は口を開く。
「えっと…それでその…実はだな…俺も…」
「待って!?何も聞いてなかったよね!?私別に変なこととか言ってなかったよね!?」
恥ずかしさで顔を真っ赤にして焦る來夢に言葉を遮られた愁は大きな声で言い放った。
「人の話は最後まで聞けっ!」
「…実は俺も來夢のことを…愛している…っ」
…彼女が嬉しさで泣き崩れるまでそう時間はかからなかった。
その後、愁は自身の身の上を全て話した。
自身が実は神の1人である事、以前いつも夕方居なくなっていたのは御役目があったからということ、自分がこことは異なった次元の空間に住んでいるという事も含めて…。
気が付けば結構な時間が経過した。
2人を祝福するかのように、まだ早咲きの桜の花弁が風に運ばれて舞い降りた。
しかしながら、彼女の眼にその暖かな薄桃色の花弁が映ることは決して無かった…。
「ねえ愁君、今年の桜は綺麗?」
少し寂しそうに彼女はそう言った。
「…ああ、勿論だ。」
「本当?…一緒に桜、見たかったなぁ…」
「なあ、俺から1つ提案があるのだが、良いか?」
「良いよ、何ですか?」
「…俺と一緒に来てくれないか?
但し簡単に決めていい事ではない。1度行くと決めたならば、君は二度と人には戻れない。だが…」
「…俺の世界に来てくれたら、一緒に桜が見られる。梅雨に咲くの紫陽花も、椛や銀杏の色とりどりの葉も、雪が積もった日の一面の銀世界も…」
「2人でずっと一緒に、居られるようになるんだ。御役目を少し手伝ってもらうことにはなるが…できる限り君に不自由はさせないと約束しよう。だから…」
「…はい、よろしくお願いします…。愁君、どうか私を連れていってください。」
彼女は少し考えた後、直ぐに決意したように言った。
「君…家族や親友はいいのか?会えなくなるんだぞ!?」
「いいの、親友なんていないから…。両親も昨年死んだばかりで、これ以上おばさんに迷惑かけるわけにもいかないから。」
「どうか私を連れていってください。お願いします、神様。」
彼女は微笑んだ。愁から提案したのもあり、愁は少し躊躇ったものの当然断ることなんて出来るはずがなかった…。
「…分かった、それじゃあ來夢、行こうか。俺達の家に…」
2人の姿は暖かな春の光に包まれて消えていった。
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