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第二章
旅の始まり
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夜が白み始め、東の空が、かすかな薔薇色に染まる頃。リアンの家の扉が、静かに開いた。そこには、旅の支度を整えたリアンとフィン、そして、彼らに寄り添うように立つセラフィナの三人と、その三人の旅立ちを見送る、リアンの両親が立っていた。
「リアン…本当に、行ってしまうのですね…」
母が、震える声で言う。その手には、まだ温かい焼き立てのパンと、干し肉が包まれていた。
「途中で、お腹が空かないように…」
「母さん…」
リアンが何かを言おうとする前に、父が、その肩に、無骨だが力強い手を置いた。
「フィン君を頼む。…いや」
父は一度言葉を切り、二人の顔を真っ直ぐに見つめた。
「二人で、助け合って、必ず、生きて帰ってこい。…いいな」
その言葉に、フィンは、深く、深く頭を下げた。
「お父さん、お母さん。リアンのことは、僕が必ず…支えます。僕の知恵が、彼の盾になります。そして、必ず…必ず、二人でこの場所に、無事に帰ってきます。約束します」
「フィン君…」
母の目から、堪えていた涙が、一筋だけこぼれ落ちた。
その光景を、セラフィナは、静かに、しかし、慈しむような眼差しで見守っていた。そして、彼女は、リアンの両親に向き直り、厳かに、しかし、温かく告げた。
「お預かりする、二人の命。この命に代えても、必ずお守りすると、ここに誓います」
その言葉が、二人の親の、最後の不安を、そっと拭い去った。
リアンは、もう一度だけ、我が家を、そして、涙をこらえて微笑む両親の顔を目に焼き付けると、固く決意して、踵を返した。
「…行こう、フィン」
「ええ!」
三人は、朝靄の中へと、その一歩を踏み出した。
故郷の村が、丘の向こうに見えなくなるまで、誰も、何も話さなかった。
リアンは、何度も後ろを振り返りそうになるのを、唇を噛んでこらえていた。隣を歩くフィンの足取りも、どこか重い。
見慣れた牧草地が途切れ、鬱蒼とした森へと入っていく。世界の全てだった、あの小さな村が、今はもう、あまりに遠い。旅立つと決めたのは自分だ。だが、胸にぽっかりと穴が空いたような、この喪失感は、どうすればいいのだろう。
そんなリアンの心を見透かすように、フィンが、わざと明るい声を出した。
「見てください、リアン、セラフィナさん!あのキノコ、図鑑でしか見たことがない、『月光茸』ですよ!夜になると、青白く光るんだとか…」
フィンの気遣いが、重苦しい空気を、少しだけ和らげてくれた。
その日の夜、一行は、森の中の少しだけ開けた場所で、最初の野営をすることになった。
パチパチと音を立てる焚き火だけが、三人の顔をぼんやりと照らしている。虫の声と、風が木々を揺らす音。故郷の村で聞いていた音と何も変わらないはずなのに、リアンの耳には、それがひどく寂しいものに聞こえた。
沈黙を破ったのは、知的好奇心を抑えきれないフィンだった。彼は、燃える火を見つめながら、セラフィナに矢継ぎ早に質問を投げかけた。
「セラフィナさん、改めて教えてください。僕たちの最初の目的地は『森の聖地』とのことですが、そこで具体的に何をするんですか?それに…なぜ、リアンなんです?古代の魔法使いの末裔なら、他にもいるかもしれないのに、なぜ、彼だったんですか?」
セラフィナは、フィンの知性を見抜いた上で、静かに、しかし分かりやすく世界の構造を説明し始めた。
「聖地とは、この世界に『原初の魔法』を供給する、いわば世界の心臓。そして、王を封じる封印の『杭』でもあります。しかし、永い年月でその力は弱まり、杭は緩み始めている。私たちの最初の目的は、その杭の力を、リアン殿の力で回復させることです」
彼女は、そこで一度、リアンに優しい視線を送った。
「そして、『なぜ、リアン殿なのか』という問い。それは、血筋だけの問題ではありません。…フィン殿、あなたは、リアン殿の魔法を『奇跡』だと言いましたね。まさしく、その通りなのです」
セラフィナは語る。世界の理そのものである「原初の魔法」は、あまりに純粋で、あまりに強大。それを扱えるのは、その魂が、世界の始まりの『唄』と、完璧に共鳴できる者だけ。
「古代の魔法使いたちの血は、永い年月の間に薄まり、大陸中に散らばりました。今この時代にも、その血を引く者は、ごく僅かながら存在します。豪商として富を築いた者、騎士として名を馳せた者、あるいは、名もなき農夫として暮らす者…。私は、数百年という時をかけて、彼らをずっと見守ってきました」
彼女の瞳に、深い孤独の色が浮かぶ。
「しかし、彼らの魂は、日々の暮らしの中で、様々な『雑音』に満たされていました。富への渇望、勝利への執着、日々の生活への不安…。それらは、生きる上で当然の感情です。しかし、その『雑音』が、世界の『唄』を聴く邪魔をする。…ですが、リアン殿。あなたの魂は、まるで静かな湖面のようでした。あなたの、他者の痛みを自分のことのように感じる優しさ、見返りを求めない心…その、あまりにも純粋な魂が、世界の『唄』と、奇跡的なまでに共鳴したのです。世界が、その存亡を懸けて、彼を選んだ、と言うべきでしょう」
壮大な話に、リアンはただ黙って焚き火を見つめていた。彼の脳裏には、自分の力が暴発した時の光景と、村人たちの怯えた顔が焼き付いている。
「……僕に、そんなこと、できるんでしょうか…?」
その小さな、しかし切実な声に、セラフィナは、先ほどよりも、もっと深く、温かい声で答える。
「リアン殿。あなたは、何も一人で成し遂げる必要はないのです」
彼女は、熱心にメモを取るフィンと、自分自身を交互に指差した。
「フィン殿には、その知恵で道を照らす役割が。私には、その経験であなた方を守り、導く役割があります。そして、リアン殿。あなたには、あなたにしかできない、世界の心臓と『調和』する役割があるのです」
彼女は、リアンの不安を見透かすように、続けた。
「今は、ただ自分の内なる声に耳を澄ませなさい。あの時、あなたがフィン殿を守りたいと願ったように。その心が、力の正しい使い方を、自ずと教えてくれるでしょう」
セラフィナの言葉は、焚き火の炎のように、リアンの冷えた心を静かに溶かしていった。
「リアン…本当に、行ってしまうのですね…」
母が、震える声で言う。その手には、まだ温かい焼き立てのパンと、干し肉が包まれていた。
「途中で、お腹が空かないように…」
「母さん…」
リアンが何かを言おうとする前に、父が、その肩に、無骨だが力強い手を置いた。
「フィン君を頼む。…いや」
父は一度言葉を切り、二人の顔を真っ直ぐに見つめた。
「二人で、助け合って、必ず、生きて帰ってこい。…いいな」
その言葉に、フィンは、深く、深く頭を下げた。
「お父さん、お母さん。リアンのことは、僕が必ず…支えます。僕の知恵が、彼の盾になります。そして、必ず…必ず、二人でこの場所に、無事に帰ってきます。約束します」
「フィン君…」
母の目から、堪えていた涙が、一筋だけこぼれ落ちた。
その光景を、セラフィナは、静かに、しかし、慈しむような眼差しで見守っていた。そして、彼女は、リアンの両親に向き直り、厳かに、しかし、温かく告げた。
「お預かりする、二人の命。この命に代えても、必ずお守りすると、ここに誓います」
その言葉が、二人の親の、最後の不安を、そっと拭い去った。
リアンは、もう一度だけ、我が家を、そして、涙をこらえて微笑む両親の顔を目に焼き付けると、固く決意して、踵を返した。
「…行こう、フィン」
「ええ!」
三人は、朝靄の中へと、その一歩を踏み出した。
故郷の村が、丘の向こうに見えなくなるまで、誰も、何も話さなかった。
リアンは、何度も後ろを振り返りそうになるのを、唇を噛んでこらえていた。隣を歩くフィンの足取りも、どこか重い。
見慣れた牧草地が途切れ、鬱蒼とした森へと入っていく。世界の全てだった、あの小さな村が、今はもう、あまりに遠い。旅立つと決めたのは自分だ。だが、胸にぽっかりと穴が空いたような、この喪失感は、どうすればいいのだろう。
そんなリアンの心を見透かすように、フィンが、わざと明るい声を出した。
「見てください、リアン、セラフィナさん!あのキノコ、図鑑でしか見たことがない、『月光茸』ですよ!夜になると、青白く光るんだとか…」
フィンの気遣いが、重苦しい空気を、少しだけ和らげてくれた。
その日の夜、一行は、森の中の少しだけ開けた場所で、最初の野営をすることになった。
パチパチと音を立てる焚き火だけが、三人の顔をぼんやりと照らしている。虫の声と、風が木々を揺らす音。故郷の村で聞いていた音と何も変わらないはずなのに、リアンの耳には、それがひどく寂しいものに聞こえた。
沈黙を破ったのは、知的好奇心を抑えきれないフィンだった。彼は、燃える火を見つめながら、セラフィナに矢継ぎ早に質問を投げかけた。
「セラフィナさん、改めて教えてください。僕たちの最初の目的地は『森の聖地』とのことですが、そこで具体的に何をするんですか?それに…なぜ、リアンなんです?古代の魔法使いの末裔なら、他にもいるかもしれないのに、なぜ、彼だったんですか?」
セラフィナは、フィンの知性を見抜いた上で、静かに、しかし分かりやすく世界の構造を説明し始めた。
「聖地とは、この世界に『原初の魔法』を供給する、いわば世界の心臓。そして、王を封じる封印の『杭』でもあります。しかし、永い年月でその力は弱まり、杭は緩み始めている。私たちの最初の目的は、その杭の力を、リアン殿の力で回復させることです」
彼女は、そこで一度、リアンに優しい視線を送った。
「そして、『なぜ、リアン殿なのか』という問い。それは、血筋だけの問題ではありません。…フィン殿、あなたは、リアン殿の魔法を『奇跡』だと言いましたね。まさしく、その通りなのです」
セラフィナは語る。世界の理そのものである「原初の魔法」は、あまりに純粋で、あまりに強大。それを扱えるのは、その魂が、世界の始まりの『唄』と、完璧に共鳴できる者だけ。
「古代の魔法使いたちの血は、永い年月の間に薄まり、大陸中に散らばりました。今この時代にも、その血を引く者は、ごく僅かながら存在します。豪商として富を築いた者、騎士として名を馳せた者、あるいは、名もなき農夫として暮らす者…。私は、数百年という時をかけて、彼らをずっと見守ってきました」
彼女の瞳に、深い孤独の色が浮かぶ。
「しかし、彼らの魂は、日々の暮らしの中で、様々な『雑音』に満たされていました。富への渇望、勝利への執着、日々の生活への不安…。それらは、生きる上で当然の感情です。しかし、その『雑音』が、世界の『唄』を聴く邪魔をする。…ですが、リアン殿。あなたの魂は、まるで静かな湖面のようでした。あなたの、他者の痛みを自分のことのように感じる優しさ、見返りを求めない心…その、あまりにも純粋な魂が、世界の『唄』と、奇跡的なまでに共鳴したのです。世界が、その存亡を懸けて、彼を選んだ、と言うべきでしょう」
壮大な話に、リアンはただ黙って焚き火を見つめていた。彼の脳裏には、自分の力が暴発した時の光景と、村人たちの怯えた顔が焼き付いている。
「……僕に、そんなこと、できるんでしょうか…?」
その小さな、しかし切実な声に、セラフィナは、先ほどよりも、もっと深く、温かい声で答える。
「リアン殿。あなたは、何も一人で成し遂げる必要はないのです」
彼女は、熱心にメモを取るフィンと、自分自身を交互に指差した。
「フィン殿には、その知恵で道を照らす役割が。私には、その経験であなた方を守り、導く役割があります。そして、リアン殿。あなたには、あなたにしかできない、世界の心臓と『調和』する役割があるのです」
彼女は、リアンの不安を見透かすように、続けた。
「今は、ただ自分の内なる声に耳を澄ませなさい。あの時、あなたがフィン殿を守りたいと願ったように。その心が、力の正しい使い方を、自ずと教えてくれるでしょう」
セラフィナの言葉は、焚き火の炎のように、リアンの冷えた心を静かに溶かしていった。
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