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食堂2

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 食堂へ来たシェリは中を見る。ちらほらと人はいるが皆思い思いの時間を過ごしてる。シェリは購買へ行き、平民用メニューにあるウインナーの挟まったパンを頼んだ。前から気になっていたメニューの1つだ。

 紙に包まれたウインナーの挟まったパン――ホットドッグというらしく、後クリームたっぷりのカフェモカも購入し、代金を支払ったシェリはホットドッグとカフェモカのカップを持って庭へ出た。天気が良い日は、庭に設置されたテーブルで食べるのも良きだ。

 庭には幸い誰もおらず、シェリは陽当たりの良い席を選んだ。

 椅子に座り、購入した際教わった食べ方でホットドッグを一口食べた。


「美味しい!」


 美しい紫水晶の瞳が初めての味に輝いた。グリルされたウインナーをトーストしたパンに挟み、その上にトマトソースがかかっただけのシンプルなパンなのにとても美味しい。

 値段もお手頃で平民の生徒達から人気の高いパンだと聞いていたが貴族でもこの味を好く人はきっといる。内緒で食べるには打ってつけだ。
 半分食した辺りでカフェモカのカップを持った。シェリの頼むカフェモカは、通常よりクリームを多目にしてもらっている。

 甘い物が大好きなシェリのお気に入りだ。

 全て食べ終えるとナプキンで口元を拭いた。カフェモカも飲み干し、ゴミを捨てようと席を立った。

 ――時だった。

 図書室で見た時より更に髪が乱れているレーヴが食堂へやって来た。危うく見つかりそうになったシェリは慌てて隠れた。図書室の時と同じでやはり焦った様子で誰かを探していた。

 シェリの思う探し人ミルティーがいないと知ると顔を歪め早足で去って行った。一体何があって必死に探しているのか。


「……」


 心に影が差す。
 探されている人が――ミルティーが羨ましい。


「……わたしじゃ、レーヴ様は必死になって探してくれないもの」


 全ては自分の我が儘が引き起こしたこと。

 我が儘など言わず、時間をかけてレーヴと仲を深めた状態で婚約を打診していたら彼だってきっとシェリを好きになってくれた。
 一目惚れをしなければ良かった。

 折角の新しい発見も台無しになってしまうと、首をブンブン振って思考を捨て去った。レーヴと鉢合わせする前に帰ろう。

 ゴミをゴミ箱へ捨てたシェリは食堂を出て教室へ向かった。

 1年生の教室は3階にある。階段を上がって3階まで行き、自身の在籍する教室に入ったシェリは机の上に置いていた鞄を手に持った。

 チラリとミルティーの机を見た。荷物はない。帰宅しているか、まだ学院内の何処かにいるかのどちらかだ。

 すると、バタバタと慌ただしい音が響いた。もしや、と慌てて掃除用具入れに入った。


「くそっ、もう帰った後かっ」


 本当にどうしたというのか。レーヴはミルティーに何を伝えたいのか。教室の入り口に現れたと思うと顔を歪め、強く壁を殴った。吃驚したが声は出なかった。赤く染まった拳を強く握り締めるせいで指の隙間から血が出ていた。

 強い怒りが彼から発せられる。余程の事がシェリの知らないところで起きているらしいが、もうシェリはレーヴの婚約者じゃない。


 駆け寄って手当てをしたい衝動を必死に抑え、早くレーヴが去ってくれることだけを願った。


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