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犯人の名前はドロシー
しおりを挟む未だガルロ殿が悲鳴を上げている最中、今ままでの経緯をリアン様に話した。時折、髪や腕を引っ張られた時や大声で怒鳴られた怖さを思い出して声が止まってもリアン様は急かさず、私が話すのを待ってくれた。労るように頭を撫でられ、強張る体からも力が抜けていく。全部を話し終えると王太子殿下が険しい声色でガルロ殿達を非難した。
「つまり、こういう事か? お前達は、フィオーレ嬢が窓の近くにいたから犯人と決め付けたのか? 普通、物を落とした犯人がずっと同じ場所に居続けると思うか?」
「で、でも僕達は!」
私の髪をガルロ殿と一緒になって引っ張った男子生徒が言い訳を紡ごうとするが「ではこうしよう」と王太子殿下は遮った。
「事は生徒同士のいざこざを超えている。下手をしたら、死人も出ていたかも知れない。真犯人が捕まったとリアンが言っているのにフィオーレ嬢を犯人と決め付けるんだ。相応の証拠があるのに違いない」
「あ……ぃや……その……」
「後日、話し合いの場を設けよう。
ガルロ=イースター君、マルコ=グリシェン君、アドラ=ウッドロウ君、フレッド=アシル君。君達の家には早急に今回の件を記した手紙をそれぞれの家の父君に届くよう手配する。ああ、ガルロ君は母君にするよ。イースター家の正式な主人はイースター伯爵家出身の君の母君で父君は婿養子に過ぎないから」
ガルロ殿はリグレット王女殿下の件で名前を知っているとはいえ、他の3人の名前を知っているのはさすがだ。
「オル……オーリー様も此処は私に任せて頂けますか?」
「僕は他国の隠居貴族だよ? この国の貴族の争いに首を突っ込む気はないよ。ただ、手を貸してあげるのは出来る。必要な事があれば言っておくれ」
「……では、当日彼等への聞き取りのご協力をお願い申し上げたい」
「構わないけれどいいのかい? 尋問官がいるだろう」
「あなたに任せた方が確実だと思いますので」
「そう。ところで真犯人は捕まってると言っていたけど誰だったの?」
私も気になっていた。リアン様を見上げると「ドロシーという女子生徒だ」と教えられ瞠目してしまった。ドロシー様といえば、新入生歓迎会の日にアウテリート様が隣国の公爵令嬢と知らずに侮辱しアクアリーナ様に切られてしまった方だ。その後の形跡を全く知らなかった。
何故ドロシー様が一歩間違えれば人を殺す凶行に走ったのか。心当たりはアクアリーナ様に切られたのを私にせいにしたとか? だが、今回は偶然私があの場に居ただけでもし外にいたらどうしていたのだろう。
「ドロシー様が真犯人だと分かったのは何故です……?」
「アクアリーナが捕まえたんだ」
「アクア様が……」
「……アクアリーナと親しいのだな」
「え? ああ、えーっと」
親しいと聞かれると悩む。アクアと呼ぶように言われただけで交流らしい交流がない。
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