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分からない2
「ラウルの真意を聞かせて。私と婚約解消したくないのは何故なの」
「そ、それは」
「ホロロギウム家との繋がりがなくてもソレイユ家にはあまり損失はないわ。私がお父さんと行っても、お父さんはきっと王国に留まってくれる。お父さんがいなくなる心配はないの」
ラウルが婚約解消を拒否する理由にガブリエルが含まれないのなら、大魔法使いたるお父さんが王国を去るのではと危惧しているからではと至ったエイレーネーが説得を試みるも。聞いていく内に項垂れていくラウルに首を傾げた。
ガブリエルでも大魔法使いでもないのなら、ラウルが婚約解消を嫌がる理由が何かもうエイレーネーには分からなくてお手上げである。
「……ガブリエルも大魔法使い様も関係ない」
「……」
「……私は、私個人の願いとして、エイレーネーと婚約破棄も婚約解消もしたくないんだ」
「それは……」
顔を上げたラウルは今まで見た事がないくらい昏く、傷付いた相貌だった。
「エイレーネーは……他に誰か好きな人でもいるのか?」
「好きな人? いいえ、いないわ。それを言うなら、ラウル、貴方は」
「……私が馬鹿だった……それは認める。けど、ガブリエルの事が好きなのは絶対にないっ」
「……」
「信用出来ないのなら誓約魔法を使ったっていい」
口で言うのは簡単だが誓約魔法は偽りの気持ちを持ってでは成功しない。ソレイユ家の嫡男たる彼が知らない筈がない。ラウルの言葉に嘘はないのだ。逆に疑問が増えるばかり。
ふう、と息を吐いたエイレーネーはガブリエルとの親密さに指摘をした。好きじゃないと言う割に誰が見ても仲睦まじいし、この間は腕を組んで2人で歩いていたと言うと見るからに顔を青褪めた。所詮その程度なのだと嘆息したらラウルはソファーから離れエイレーネーの横に来たかと思うと――足と手を床につけ、額を床に擦り付ける勢いで頭を下げた。
慌てる羽目になったエイレーネーだが、死にそうな掠れた声で固まった。
「違うんだ……っ! 本当に、今ここで、誓約魔法で誓ってもいい!」
「ま、待って顔を上げて!」
「エイレーネーが来ない代わりに毎回話相手になってくれたガブリエルには感謝しているっ、私の知らないエイレーネーの話もしてくれるから、あまり素っ気なくも出来なくてっ」
「……」
「勘違いをさせるような行動を取った私が悪かったっ、エイレーネーが来ないのを疑問に思いながらもガブリエルが私の代わりに君に伝えるという言葉をいつも信じていた。……エイレーネーが私と会うのを嫌がっているとガブリエルに言われた時は、嫌われるような事を何時してしまったのかと悩んだ」
「え?」
後妻とガブリエルが来てからラウルとの距離が遠くなったのは、ラウルが一目見てガブリエルを気に入ったからだ。初めて彼を見た時の自分がそうだったから、彼がガブリエルに惚れたのも分かってしまった。ロナウドには憎まれ疎まれ、後妻やガブリエルから嫌がらせをされ続け、彼等側の使用人達からも冷遇され続けた。ラウルを早々に諦めたのは期待したところで負けを見るのは自分だと悟ったからだ。後は父親譲りの諦めの速さ。これについてはイヴが語っていた。
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