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☆第弌集
一変した生活
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紫折に出会う前日。政明は叔父であり、土御門家の当主である紫折の父親からの電話を受けていた。(紫折の母親は、政明の父・泰名(やすな)の妹なので、その夫である紫折の父は、政明からみたら叔母の夫、つまり、叔父(おじ)となる。)
*
その日の仕事が一段落し、眠り就こうとしていた、夜の10時頃。唐突に俺のスマホが鳴った。
政明(誰だ。こんな時間に。何か緊急の事か?それなら、式神〈式紙〉を飛ばした方が速い。
もしくは、霊力の強さの関係で式飛ばしが出来ないのか?)
俺はスマホを手に取り、誰からの着信かを確認した。
そこには、叔父の番号が表示されている。
政明「もしもし。」
光留(紫折の父)《政明。》
叔父が俺のことを、本家現当主の異称である”宗家”〈そうけ〉ではなく、名前で呼んだ。
つまりこれは、分家の当主として本家の当主に電話をかけているわけではないという事だ。つまりは、仕事の用じゃなく私的な用か。
政明「何です?」
光留《政明に頼みたい事がある。 》
政明「俺に頼みたい事?」
光留《ああ。》
しばらく間をおいて、叔父は俺の問いに答えた。
光留《お前のいとこを本家で預かってほしい。》
政明「従弟?留良のことですか。つまり、留良を直系の次期当主として本家で教育してほしい。と?」*安倍・土御門一族には、先祖が直接安倍晴明の血縁である直接家系と、そうでない傍系家系がある。
そんな事か。こんな時間にわざわざ電話をかけてくるから、何か悪い事でも起こったかと。
光留《いや。留良じゃない。留良の姉だ。》
......は?
留良(るい)に姉がいる?そんなこと、初耳だぞ。
政明「へぇ。俺に女の子のいとこがいたとは。何故、今まで黙っていたんです?」
光留《…..留良の姉、紫折は、産まれた時既に僕や政明達を凌ぐ強い霊力を持っていた。だけど.....直系の人間が周囲からの期待などで苦労する事は、僕がよく知っている。僕は娘に、早くそんな辛い思いはしてほしくなかったんだよ。だから、ある女性に頼んで紫折の霊力を一定の間封じてもらった。》
光留《僕にとってはもちろん、紫折も留良も大切な子どもだよ。だけどね、留良には次期当主としての力をつけてもらわなくてはならいけど、紫折は、15歳を過ぎてから”姫”としての知識や自覚を持っても遅くはないと思ったんだ。》
なるほど。だから女の子の方の霊力を封じ、一族の知識を教えず、俺達にもその子の事を伝えなかったのか。
政明「女の子の方は、いくつくらいなんですか。」
光留《今年で16だ。》
16歳か。13歳、15歳、16歳は霊力を持つ者にとって大きな転機になる歳。封じられていたその子の霊力が目醒めはじめても可笑しくは無い。
政明「じゃあ、その子を本家に住まわせて霊力のコントロール方法と一族の事を俺が教えれば良いんですね。」
光留《ああ。頼んだ。》
政明「わかりました。」
そこで通話は終了し、その翌日、俺は初めて自分の従妹に会う事になったのだった。
*
その日の仕事が一段落し、眠り就こうとしていた、夜の10時頃。唐突に俺のスマホが鳴った。
政明(誰だ。こんな時間に。何か緊急の事か?それなら、式神〈式紙〉を飛ばした方が速い。
もしくは、霊力の強さの関係で式飛ばしが出来ないのか?)
俺はスマホを手に取り、誰からの着信かを確認した。
そこには、叔父の番号が表示されている。
政明「もしもし。」
光留(紫折の父)《政明。》
叔父が俺のことを、本家現当主の異称である”宗家”〈そうけ〉ではなく、名前で呼んだ。
つまりこれは、分家の当主として本家の当主に電話をかけているわけではないという事だ。つまりは、仕事の用じゃなく私的な用か。
政明「何です?」
光留《政明に頼みたい事がある。 》
政明「俺に頼みたい事?」
光留《ああ。》
しばらく間をおいて、叔父は俺の問いに答えた。
光留《お前のいとこを本家で預かってほしい。》
政明「従弟?留良のことですか。つまり、留良を直系の次期当主として本家で教育してほしい。と?」*安倍・土御門一族には、先祖が直接安倍晴明の血縁である直接家系と、そうでない傍系家系がある。
そんな事か。こんな時間にわざわざ電話をかけてくるから、何か悪い事でも起こったかと。
光留《いや。留良じゃない。留良の姉だ。》
......は?
留良(るい)に姉がいる?そんなこと、初耳だぞ。
政明「へぇ。俺に女の子のいとこがいたとは。何故、今まで黙っていたんです?」
光留《…..留良の姉、紫折は、産まれた時既に僕や政明達を凌ぐ強い霊力を持っていた。だけど.....直系の人間が周囲からの期待などで苦労する事は、僕がよく知っている。僕は娘に、早くそんな辛い思いはしてほしくなかったんだよ。だから、ある女性に頼んで紫折の霊力を一定の間封じてもらった。》
光留《僕にとってはもちろん、紫折も留良も大切な子どもだよ。だけどね、留良には次期当主としての力をつけてもらわなくてはならいけど、紫折は、15歳を過ぎてから”姫”としての知識や自覚を持っても遅くはないと思ったんだ。》
なるほど。だから女の子の方の霊力を封じ、一族の知識を教えず、俺達にもその子の事を伝えなかったのか。
政明「女の子の方は、いくつくらいなんですか。」
光留《今年で16だ。》
16歳か。13歳、15歳、16歳は霊力を持つ者にとって大きな転機になる歳。封じられていたその子の霊力が目醒めはじめても可笑しくは無い。
政明「じゃあ、その子を本家に住まわせて霊力のコントロール方法と一族の事を俺が教えれば良いんですね。」
光留《ああ。頼んだ。》
政明「わかりました。」
そこで通話は終了し、その翌日、俺は初めて自分の従妹に会う事になったのだった。
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